ベタの飼育は難しい?初心者がまず見るべきベタの飼い方・水槽のカンタンな立ち上げ方

ベタの飼育は難しい?初心者がまず見るべきベタの飼い方・水槽のカンタンな立ち上げ方

ベタは、もう知らない人はいないほど有名な熱帯魚ですよね。
iPhoneのパッケージにも使われたことで、地球を代表する熱帯魚と言ってもいいと思います。

しかし、正しい飼育方法となるとどうでしょうか。
いまだにコップで飼えるとコマーシャルしているお店があったり、コップよりも小さなボトルで販売しているお店も少なくありません。

ベタの飼育は本来初心者にも難しくありませんが、そういった誤った情報をもとに飼育してしまうことで、失敗して死なせてしまい、「難しい魚」と誤解してしまうこともあるでしょう。

そこで今回は、ベタブリーダーの経験もある元熱帯魚屋さんが、ベタ飼育のイロハを解説します!

ベタは初心者向きじゃない?

ベタ スーパーデルタ フレアリング

このページを開いてくれた方のなかには、これまでにベタの飼育に挑戦し、失敗してしまったという方も少なくないと思います。
では初心者にベタの飼育は難しいのかというとそうではないですし、逆に飼育がかんたんかといわれればそうとも言えません。
一言でいえば、ちゃんと考えないと失敗するけど、基本を押さえれば初心者でも十分飼育できる魚です。

まずはベタの飼育を始める前に、心がけてほしいことを手短に解説します。
当たり前のことのように思えるかもしれませんが、とっても大切なポイントです。

初心者に瓶飼育(ボトルアクア)はハードモード!

ベタの魅力の一つに、ほかの魚を買うような水槽設備が必要ないというセールスポイントがありますよね。
実際、本格的な水槽でなくてもベタは快適に生きられますし、むしろそのほうがベタ本人にとっては快適な環境です。

しかし、巷でよく言われるような「瓶で飼える!」「コップで飼える!」というふれこみは、ちょっと大げさなのも事実です。
実際、私が瓶やコップで飼育しろと言われれば、そう難しいことではありませんし、ボトルで飼育しているベタが我が家にいます。
しかし、初心者でコップや瓶で飼育するとなると、そうかんたんではありません。

つまり、いきなりボトル飼育に挑戦するのは、ゲームの初心者がいきなりハードモードに挑戦するようなものなので、どんなにかんたんなゲームでもクリアするのは難しくなってしまいます。
もちろん飼育レベルが上がればそういった方法も可能なので、最初は水槽で飼育して、基本を学んでから挑戦してくださいね。

ベタ飼育の3つのポイント

ベタ プラカット コイベタ 鯉

これからベタの飼育をするにあたって、覚えてほしい3つのポイントがあります。
ベタは非常に丈夫な魚で、この3つを守るだけでも十分飼育できるので、必ず覚えておいてあげてくださいね。

もちろん水槽掃除に洗剤を使わないなど、ごく基本的な部分は守ったうえでなので、本当の基礎的な部分にも十分注意してあげてくださいね。

丈夫だけど侮ることなかれ

ベタは非常に丈夫な魚ですが、生き物なので病気になったり、ケガをすることはあります。
とくにヒレが長いことで、ヒレの病気やケガはよくありますし、小さなケガや軽い病気でも、そのままにしておけば悪化して死んでしまうこともあります。
なので、丈夫だからと言って甘く見て、手を抜くことだけは絶対にやめましょう。
この意識をしっかり持つだけでも飼育できるほど、ベタの飼育はシンプルです。

温かい水が好き

ベタはあくまで熱帯魚なので、温かい水を好みます。
これも丈夫なので無加温で飼育されることも多いのですが、負担がかかっていることには変わりありません。

みなさんも室温が20度以下でも生活できるけど、常に寒い思いをしますし、風邪をひいたりすることも多くなりますよね。
それと同じで低水温はベタにも負担がかかり、病気のリスクも上がるので、水温の管理は最低限行ってあげましょう。

基本的には24~28℃であれば快適に生きてくれますが、この範囲内で「水温変化をなくす」ことが大切です。

水流が苦手

ベタは本来の体格からすると、異常にヒレが大きくなっています。
品種改良によって、必要以上にヒレが大きいため、水流の影響をもろに受けてしまい、姿勢を制御するのが難しくなってしまいます。
このため、ろ過装置やぶくぶくなど、魚の飼育に必要に思えるものでも、ないほうがベタにとっては生活しやすい環境になります。
そのぶん人が手を加えて管理してあげなければいけないので、そういった意味ではほかの魚よりもこまめな管理が必要だといえるかもしれませんね。

最もシンプルなベタの水槽を立ち上げる手順

ベタの飼育の鉄則は「シンプルイズベスト」です。
手をかけようと思えばいくらでも手をかけられるのですが、ベタはそれを好まない傾向があります。
というわけで、今回もシンプルかつベストなベタの水槽を立ち上げる方法を解説しようと思います。

ベタを飼うために用意するもの

ベタを飼育する水槽は、とてもシンプルな用品でOKです。

最低限必要なものは、水槽とヒーター、水温計だけです。

水槽は20~30㎝幅で、高さも30㎝程度までがおすすめです。
それ以上でも問題はないのですが、そこまで活発に泳ぐ魚でもないですし、ろ過フィルターは使わないので掃除の手間を考えると小さめがおすすめです。

ヒーターは「熱帯魚用オートヒーター」でOKです。
ワット数はかならず水槽の容量に合わせましょう。
出力が足りないと温度の変化が生まれやすく、出力が大き過ぎるとヒーター周りが熱くなりすぎてしまいます。

ベタの飼育でとくに重要なのが温度管理なので、安いものでもいいので水温計を用意しましょう。
最近ではダイソーにもたくさんの種類がありますね。

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これ以外にも水槽に入れるといいものはありますが、順次用意すればOKです。

①塩素を抜いた水を用意しよう

まずは塩素を抜いた水を用意します。
塩素は水道水に入っていて、人間が飲む分には問題ないのですが、魚が暮らす水としては不適切です。
魚のエラにダメージを与え、水槽内の有用な微生物を殺菌作用で殺してしまうからです。

塩素を抜く方法としては、ベタをお迎えする日が前もってわかっているなら、その2,3日前に水をバケツなどに汲んでおいて、日光の当たる場所に置いておきます。
もしくは、塩素を抜く薬剤、通称「カルキ抜き」を使って塩素を抜きます。
ここらへんはもう熱帯魚を飼ったことがなくても知っている人がほとんどですよね。

塩素を抜くということに関しては、どんなカルキ抜きでも問題ありませんが、テトラ社のアクアセイフは粘膜保護成分も入っていて、それでいて高くないのでオススメです。


②水槽に水を入れ、ヒーターを設置しよう

水槽 ベタ

ベタをお迎えしたら水槽に水を入れましょう。

水槽に水を入れたら、ヒーターを設置しましょう。
ベタは小型水槽で飼育することが多いので、加熱しすぎないようかならず水槽の容量にあったヒーターを用意します。
おそらく10~30W(ワット)のものを使うことになるかと思います。
ヒーターは空中だと以上加熱してしまうので、電源はかならず水の中にヒーター本体を完全に沈ませてから入れてくださいね。

ふつうは、水槽には砂利を入れるイメージがありますよね。
ベタの水槽に関しても、もちろん入れてもいいのですが、個人的にはあまりおすすめしません。
というのも、鋭い砂利だとベタが泳いだ時にヒレを破ってしまうこともありますし、こまめに掃除することを考えると邪魔になってしまうことが多いからです。
こまめに掃除できるなら、角のない砂利や、ソイルのように水質を安定してくれる床材がおすすめです。

濾過フィルターに関しては、基本的に入れない方がいいでしょう。
水流を嫌うのと、作った「泡巣」への影響を考えてです。
泡巣はベタが水面に作る泡をまとめたもので、ベタのテリトリーを主張するものです。
もちろん無いから死んでしまうということはないのですが、水流やぶくぶくによってなくなると探し回って可哀想なので、なるべく崩さないようにしてあげるといいですね。

③水温が上がったらベタを袋のまま浮かせよう

水槽 ベタ

ヒーターの電源を入れると、自動で設定温度まで水温を上げてくれます。
ヒーターが作動しているときは、ヒーターの上はとても高温になるので、水温がまんべんなく上がるのを待ちましょう。
オートヒーターの場合は、だいたい26℃程度に上げてくれるはずです。

水温が上がったのを確認できたら、ベタを袋のまま水槽に浮かせます。
これは温度を合わせるための作業で、だいたい30分も浮かせておけば十分です。
寒い時期などは、ある程度時間をおいてから袋の中の水温と水槽の水温を計ってあげるといいですね。

ヒーターの電源を入れた時点で水槽に入れてもいいのですが、ヒーターの真上は40度以上になることもあるので危険です。
寒い時期は早めに水槽に浮かせてあげたほうがいいので、その場合はヒーターから離れた場所に袋を固定してあげると安心ですね。

④水合わせしてベタを放そう(完成!)

水温を合わせたら、あとはベタを水槽に離してあげるだけです。
離すときも、ザバッと水槽に流しいれるのではなく、袋の中に水槽の水を入れ、水槽の水に慣らしてあげましょう。
これを「水合わせ」といいます。

ポイントとしては、なるべく少量ずつ、水流を起こさないようにするのがコツです。
せっかくここまで慎重にやって、最後にザバザバ水を入れて、水流でベタのヒレを破ってしまうことも少なくありません。

袋の中の水がおおよそ水槽の水に入れ替わったら、ベタをそっと水槽に放してあげましょう。
これで作業は完了です!

初心者にありがちな疑問・失敗

ベタ 尾ぐされ 病気

ショップ店員をしていたときにも、やっぱりベタは人気でした。
初心者の方におすすめしていたというのもありますが、そうでなくても初めての熱帯魚にベタをと考える方が多かったようです。
ただ、店頭でしっかり説明したつもりでも、しばらくしてなにかトラブルが起こって相談に来る方が多かったです。
今回も初心者の方に向けた解説ですので、初心者の方から受けたよくある質問やトラブルも紹介しておこうと思います。

Q.水質(pH)は調整したほうがいい?

熱帯魚を飼育するときに、水質を調整する指標の一つとして「pH(ペーハー)」があります。
ベタに関しても調整してあげたほうがいいのですが、なにか調子を崩していなければする必要はないでしょう。

ベタは野生種では弱酸性の水を好みますが、養殖されたベタは弱アルカリ性を好む場合があるんです。
これどちらが合っているかは試してみなければわからないのですが、日本の水道水はうまいことにその中間、つまり中性であることが多いです。
つまり、pHのせいで大きく体調を崩すということは考えにくいので、無理に調整する必要はありません。

もし、購入したお店がこだわって水質を調整し、ベタも調子がよさそうであれば、どういう風に調整しているか聞いて、家でもそれに合わせてあげるといいですね。

Q.どうしてもろ過したいのですが…

水槽が大きくて、どうしてもこまめに水替えをするのが難しかったり、水面に油膜が張るのでフィルターを付けたいという場合もありますよね。
個人的にはフィルターをつけないことを推奨していますが、つける方法がないわけではありません。

悪いのは強い水流なので、水流がベタに当たらないようにしたり、水槽内に水流を起こさないようにすれば付けてもOKです。
たとえばスポンジフィルターを壁側に排水するように設置したり、エア量を調整して水流を弱める工夫をすればベタのストレスはかなり軽減できますね。

この方法で考えると、使えるのはエアリフト式(空気で動かすタイプのフィルター)で、「スポンジフィルター」か、水槽に砂利を使っているなら「底面式フィルター」ということになります。

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Q.ヒレがボロボロになってしまったんですがどうしたら・・・

ベタのヒレは非常に弱く、傷ついてしまったり、病気によってボロボロになることがあります。

傷ついたのであれば、傷になってしまった原因(レイアウトなど)を取り除き、塩浴という方法で傷が悪化しないようにしながら様子を見ましょう。
基本的には、若いベタで軟骨が切れていなければきれいに治るはずです。

病気の場合は早めに薬を入れて、病原菌をやっつけたうえで塩浴で復活するのを待ちましょう。
ベタのヒレをボロボロにしてしまう病原菌として有名なのが尾ぐされ病のカラムナリス菌です。
カラムナリス菌はグリーンFゴールドまたエルバージュエースなどが効果的で、投入は早いほどいいです。

傷と病気の違いとしては、傷はやぶれたように切れ口がきれいで、尾ぐされ病は腐ったように切れ口がもやもやし、ヒレの軟骨(条)が残る形で溶けます。

年老いたベタでは難しいですが、若いベタであれば徐々になくなったヒレが復活してきます。

Q.市販のエサを食べません

市販のエサをなかなか食べてくれないベタは意外と少なくありません。
原因は2つあって、エサが口に合わないのと、環境にまだなじんでいないことです。

皆さんもいきなり知らないところに連れてこられて、美味しそうなものがあっても口にしないのと同じで、警戒しているベタはエサを食べません。
水槽に入れてすぐにエサを与えても食べないので、数時間、もしくは1晩程度様子を見てあげましょう。
しっかり管理さているお店で購入したベタであれば、1晩ぐらい餌を食べなくても問題ありません。

エサが口に合わない場合は、違うメーカーの餌も試してみましょう。
よく手に入ベタ用のエサは7種類ぐらいあるなずなので、きっとどれかは食べてくれます。
そうしても配合餌を食べてくれない場合は、冷凍赤虫や、生きたイトミミズなどを試してみましょう。

Q.暴れるように泳ぐ原因は?

よく、持って帰ったベタが暴れるように泳ぐという相談の電話を受けることがありましたが、たいていは以下の3つのいずれかが原因です。

1つ目は水合わせ不足の「pHショック」
水質が突然変わったことで、ベタの体が拒絶反応で苦しんでいる状態です。
この場合人間にできる対処はないので、じっと耐えられるよう見守るしかありません。
こうならないよう、しっかり水合わせをしてあげましょう。

2つ目はフィルターの水流に驚いている状態
ベタは基本的に水流のない環境で育っているので、フィルターを付けた水槽で飼育すると体が流されて、歯向かうように激しく泳ぎます。
フィルターを切って止むようであれば、水流が原因でしょう。

3つ目は、水槽のガラスに自分が写っているのに驚いてフレアリングしている状態です。
ベタは縄張り意識が強いので、ほかのベタがテリトリーに入ると威嚇します。
ヒレを大きく開いて体当たりするようなら、フレアリングしているのでしょう。
おそらく水槽に白い覆いをかけてあげたり、ライトを切ってあげると落ち着きます。

もし長期飼育していて、突然暴れるようになったら、病気の可能性もあります。
とくに「白点病」は寄生虫がくっついているため痛痒いのか、からだをこすりつけるように暴れます。
塩で駆除できるので、塩浴を試してみましょう。

Q.ボトルアクアで飼育したいけど、保温はどうしたら?

今回は水槽での飼育を前提に解説しましたが、ボトルアクアリウムはベタ飼育のだいご味でもありますよね。

ボトルには基本的に水槽用ヒーターは設置できません。
サイズが合わなかったり、コードの反発で水槽を倒してしまうこともあります。

水槽用ヒーターほどしっかり温度を調整はできないのですが、パネルヒーターと呼ばれる水槽の下に敷くヒーターがあります。
爬虫類用としてよく使われているものですが、ボトルアクアリウムにも流用できます。
ただし、水槽用ヒーターが水温に応じてオンオフするのに対し、パネルヒーターはパネルヒーターの温度に応じてオンオフ、もしくは常時オンなので、温度調節が的確ではありません。
加熱しすぎてしまうこともあるので、使い始めのうちは付きっ切りで温度を確認し、設定温度を調整しましょう。



というわけで、今回はベタの飼育の基本についての紹介でした。

紹介した通りベタの飼育は非常にシンプルで、初心者にも簡単です。
しかし、巷で紹介されている飼育方法はさすがにシンプルすぎて、基本を抑えられていない場合があります。
あくまで生き物を飼育するうえでの基本は理解し、相応の環境を作らなければ、死なないまでも病気になってしまい、せっかくシンプルに飼育できるのに、いろいろな対処をしなければいけなくなる場合もあります。

今回は初心者でも最低限守ってほしいポイントを網羅したつもりなので、これからベタを飼育しようと思っている方は、ぜひ参考にすばらしいベタの飼育に挑戦してくださいね。

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