ヒョウモントカゲモドキはもはやペットとしての爬虫類の代表格になり、ごく小さなベビーサイズもよく流通するようになりました。
特にセールなどで売られているレオパではベビーサイズも多く、可愛さに負けて飼ってしまい、さまざまなトラブルに悩む飼い主さんも多いと聞きます。
そこで今回は、レオパベビーの飼い方や扱い方から、基本的な餌や飼育環境から成長の推移まで徹底的に解説します。
レオパをベビーから飼いたい方へ
もしこれからベビーサイズのレオパを買おうと考えている方がこのページを見ているなら、ぜひ心得てほしいことがあります。
すでに連れ帰っているという方も、読んでおいて損のない内容なので、お時間が許せば目を通してみてください。
初めてのレオパでベビーはおすすめしない
もしあなたが初めてヒョウモントカゲモドキを迎えようと考えているなら、ベビーサイズはおすすめしません。
もちろん一番かわいい時期ですし、長く一緒にいられる上に、成長ごとの模様の変化も楽しめますし、ヒョウモントカゲモドキとしても飼い主に慣れやすいなどメリットも多いです。
しかし、ベビーサイズはどうしても弱いです。
正確に管理しなければ、元気だった次の日に死んでしまうということもあり得ますし、先天的に問題があり、飼育に問題がなくても死んでしまうこともあります。
また、エサとなるコオロギの脚を外すという必須の管理も、爬虫類初心者の方には苦行になるかもしれません。
それらに対処できる経験や心構えがあればいいのですが、初めてのヒョウモントカゲモドキ、ましてや初めての爬虫類という場合には、ベビーサイズはおすすめしません。
どうしてもベビーがいいのであれば、信頼できて気軽に相談できるショップなどから購入するようにしましょう。
初めてのレオパは生後半年以上を
初めてヒョウモントカゲモドキを迎えるのであれば、私としては最低でも生後半年以上の個体をおすすめします。
筆者の経験上、しっかりしたブリーダー、信頼できるショップで購入した個体であれば、かなり高い確率で健康に育ってくれることが多いです。(もちろんモルフによってはその後遺伝病が現れることはあります)
逆に言えば、すでにベビーサイズでお迎えした方は、生後半年程度までしっかり育てられることができれば、一つ安心できる材料になるかと思います。
レオパベビーの飼育環境
ベビーを飼育する場合、飼育環境もアダルト、またはヤングサイズのヒョウモントカゲモドキと同じで良いとは限りません。
専門書の飼育手引きでも、多くがヤング以上に合わせて書かれている場合もあり、厳密に言えば最適とはいえない場合もあります。
まずは筆者が考える、レオパベビーに最適な飼育環境についてご紹介します。
・ケージ(飼育容器)
ケージについては、ヤングやアダルトのヒョウモントカゲモドキを飼育するものと大きな違いはないと考えていいでしょう。
コストを考えれば、最初にアダルトサイズまで対応できるサイズや強度のものを用意しておくと、のちのちコストがかからないのでおすすめです。
耐久性を考えるなら、プラスチックやアクリル製はキズでどうしても傷に弱く、寿命が短いので、長く使うことを考えればガラス製をおすすめします。
交換前提であれば特にこだわらなくてもいいですが、最低でも20㎝四方、高さ15㎝以上のケージには入れてあげるようにしましょう。
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・底材(底砂)
底材とは、ケージの底に敷く土などのことを指します。
ヤング~アダルトのヒョウモントカゲモドキの場合は、ヤシガラやソイル、ウォールナッツサンド、デザートサンド、キッチンペーパー、ペットシーツなどを使用する方が多いでしょう。
しかしベビーサイズの場合は、誤飲などのリスクが高くなるため、安全に使用できる商品は限られてきます。
筆者の経験上、生後1か月程度でもソイルすら飲み込む個体がいたので、それ以下のサイズになるウォールナッツサンド、デザートサンドは使用していません。
ヤシガラも隙間に入り込んでしまうことがあるので避け、ペットシーツはフンの頻度が高くコスト的なことを考えると使用しません。
筆者の場合は、生後3~4か月程度まではキッチンペーパーをおすすめします。
・シェルター(隠れ家)
隠れ家については入れないという方も多いようですが、筆者としては入れてあげることをおすすめします。
実際には、シェルターを設置しても入らない個体が多いのですが、シェルターを入れる理由は湿度管理と脱皮のためと考えてください。
入れる隠れ家は、素焼きのウエットシェルターをおすすめします。
湿度を管理しやすくなるのはもちろんですが、脱皮のために体を擦りつけることを考えても、素焼きのウエットシェルターが最適だと考えられるからです。
湿度に関しては霧吹きも有効ですが、ベビーは極端に霧吹きを怖がり、ストレスになったり尻尾の自切につながるため、霧吹きはケージの一面を濡らす程度など最低限に抑え、ウエットシェルターにも頼るのが安全です。
ただし、サイズは安心して隠れられるよう体に合わせたサイズで、上の皿部分に入れる水はごく薄く、レオパベビーが落ちても溺れない量にしておきましょう。
加湿効果は落ちますが、溺れるリスクと、カビの掃除を考えれば、GEX(エキゾテラ)さんのモイストロックもおすすめです。
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保温器具と温度管理について
レオパベビーの温度管理は、いまの健康だけでなく、その後の成長やカラーにもかかわるので、絶対に手を抜いてはいけないポイントです。
保温器具に関しては、「表面温度」と「気温」を管理できるものを必ず取り付けましょう。
表面温度はケージの底の保温で、パネルヒーターやシートヒーターと呼ばれるものを使用します。熱すぎることのないよう、温度調節できるものがいいでしょう。
気温に関しては、みどり商会さんの暖突という商品で管理するのがおすすめです。割と燃費がよく、ケージから距離を取って温められるため、レオパにとってストレスになりにくいためです。
温度に関しては、湿度管理等をしっかりできるのであれば30度、最低でも28度以下にならないようにしましょう。
特にマックスノーやアルビノに関しては、低温飼育は色がくすむ原因になるので、しっかり温度管理してあげてくださいね。
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レオパベビーの餌について
では次に、気になっている方も多いであろうレオパベビーの餌についてです。
餌のトラブルが最も多いので、あくまで筆者の実践している方法にはなりますが、よければ参考にしてください。
餌はコオロギがおすすめ
大人のヒョウモントカゲモドキでは、コオロギ、ディピア、ミルワーム、ピンクマウス、人工餌など、いろいろなものを与えられます。
しかしベビーの場合は、圧倒的にコオロギ、とくにイエコ(ヨーロッパイエコオロギ)がおすすめです。
筆者はアダルトサイズにはデュピアをメインにすることが多いのですが、ベビーも食べられる小さいデュピアは手に入りにくく、管理も大変です。(逃げやすくすぐ大きくなるので)
ミルワームに関しても小さいサイズは珍しく、また皮が思いのほか消化に悪いため、消化不良や嘔吐の原因にもなりえるので、ベビーには適しません。
ピンクマウスもサイズ的に難しく、小さいサイズを刻んでも骨が鋭いので避けたほうがいいでしょう。
人口餌も食べるならいいのですが、ベビーは食べなかったときに栄養不足が怖いので、一度試して食べない場合は、食べる餌に切り替えたほうがいいでしょう。
1㎝以下のイエコがコンスタントに手に入るならそれに越したことはなく、比較的繁殖もさせやすいので、初期飼料としてはベストと考えています。
消化不良と食べやすくするために後ろ足は取り除いて、必ずビタミンとカルシウムの添加(ダスティング)を行いましょう。(活き餌を長期キープする場合はガットローディングも)
1日に与える餌の量
与える量に関しては、生後半年程度までは食べきる量を与えて問題ありません。
体長5㎝程度であれば、1㎝弱のイエコを3~5匹食べてくれるでしょう。
専門店曰く、できれば1日3回、それぞれ食べきる量を与えるようにとのことでしたが、さすがに一般家庭では朝晩が限界かと思います。
後ほど解説しますが、筆者の場合は朝晩2回、食べきる量を与えて、成長具合は問題ありませんでした。
生後半年ほど経つと成長スピードが落ちるので、それまでは1日2回、食べきる量を与えましょう。
毎日餌を与えている間は、毎日フンをするはずです。
もし嘔吐した場合は、食欲が旺盛すぎるので、飼い主さんで少し量をコントロールする程度で問題ありません。
もし量を調整しても変わらず嘔吐する場合は、ほかに問題がある可能性があるので、専門店、もしくはヒョウモントカゲモドキに慣れている動物病院で相談するといいでしょう。
餌を毎日食べない、または拒食について
基本的に、レオパベビーはかなり食欲旺盛で、黙っていても毎日しっかり餌を食べてくれます。
もし食べない場合は、まずは飼育環境を見直してみましょう。
ヒョウモントカゲモドキの健康管理において、ケージの底面温度は重要で、もし底面温度が不足している場合、胃腸の調子が整わず、エサ食いに影響することがあります。
気温に関しても同様で、温度が足りない場合はエサ食いが悪くなることがあります。
もし温度管理を見直しても全く食べないという場合、餌との相性を疑ってみましょう。
単純にサイズが合わない場合や、稀にコオロギから逆襲されて餌を怖がるということもあり得ます。
本来おすすめしないのですが、もしコオロギのサイズを落としても食べないという場合は、短く切ったミルワームや、ハニーワームを試してみましょう。
それでもダメな場合は、専門店や動物病院への相談をおすすめします。
人工餌への切り替え時期について
昆虫などの活き餌は嗜好性が高く、ヒョウモントカゲモドキの本能を刺激して健康維持にもつながると考えているので、筆者としてはなるべく活き餌での飼育を推奨しますが、やはり管理と栄養バランスでは人工餌にはかないません。
人工餌に慣らしやすいのもヒョウモントカゲモドキをベビーから飼育する大きなメリットで、経験上、たいていは人工飼を食べるようになってくれます。
人口餌へ慣らすためには、まずピンセットで餌を与えることに慣らす必要があります。
コオロギが好きなのであれば、ピンセット(竹や樹脂製の物)でコオロギを与えることに慣らし、その後人口餌をピンセットで与えます。
ピンセットで持っているものは美味しいと覚えさせるというわけですね。
時期に関しては、しっかり餌を食べているのであれば、迎えた当日から始めても構いません。
もしピンセットからひどく逃げるようなら、何かの拍子に自切してしまうこともあるので、避けたほうが無難です。
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レオパベビーのサイズと体重の推移に関して
レオパベビーを飼育する上で、成長度合いをチェックすることは重要です。
しっかり餌を食べ、消化していることの裏付けになるからですね。
ハンドリングに慣れている個体であれば、週に1回程度、体長と体重を測定してあげるといいでしょう。
もちろんできない場合は、目視でチェックしても意味はあります。
筆者が前回迎えた個体も、おおよそですがサイズと体重をチェックしていたので、一つのデータとして残しておこうと思います。
体重は正確に計測できていますが、体長はしっかり測るわけにいかないため、おおよそですので目安として考えていただければ幸いです。
1周目 | 2週目 | 3週目 | 4週目 | 5週目 | 6週目 |
8.5㎝ | — | 8.5cm | 10cm | 11cm | 11cm |
4.3g | — | 5.1g | 6.6g | 8.1g | 9.2g |
7週目 | 8週目 | 9週目 | 10週目 | 11週目 | 12週目 |
12㎝ | 13cm | 15cm | 15cm | 15cm | 16cm |
11.2g | 13.8g | 17.6g | 19.6g | 21.4g | 23.9g |
13週目 | 14週目 | 15週目 | 16週目 | 17週目 | 18週目 |
16cm | 17cm | 17cm | 18cm | 18cm | 18cm |
30g | 32g | 34.6g | 36.9g | 41.4g | 44g |
こう見ると結構ぐいぐい成長しているのがわかりますね。
ちなみに餌は、だいたい12週目ぐらいまで毎日食べきる量を、イエコとレオパドライを中心に、その後はデュピアもしくはイエコをメインに、レオパドライやミルワームを含めて与えていました。
体長が伸びるということは骨も成長しているので、特にカルシウムの添加は気を使ってしていました。
他の方が飼育した場合どうなるのかはわかりませんが、現在お迎えから約9か月で、体長21㎝、体重60g程度(やや太り気味?)ですので、成長度合いに問題はないかなと思います。
脱皮の頻度について
成長度合いをチェックするのと共に重要なのが脱皮の頻度ですが、ベビーについては把握するのがやや難しいです。
というのも、アダルトのように皮膚が白くなる期間が短く、気づいたら脱皮を終えているということが多いからです。
かなり気を付けて観察していたときには、だいたい週に1回、10日に1回程度だったかと思います。
脱皮の頻度が高いということはそれだけ脱皮不全のリスクも上がるので、湿度湿度の管理と、ビタミンやミネラルなどのバランスを整えてあげることは、抜かりないよう注意してあげましょう。
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ハンドリングについて
最後に余談にはなりますが、ハンドリングについても紹介しておきましょう。
ハンドリングはヒョウモントカゲモドキを飼育する上でのスキンシップとしておなじみですが、本来は生体の負担になることにほかなりません。
喜んでしてくれるというよりは、慣れてくれるという認識で行うことは忘れないようにしたいですね。
ただし筆者の経験上慣らしておくに越したことはなく、とくに脱皮不全を起こした時には、ハンドリングに慣れていない個体のサポートは難しくなってしまいます。
ハンドリングに慣らす時期に関してですが、筆者はだいたい体長が10㎝を超えたあたりから始めます。
あまりに小さいと骨が弱く、何かの拍子に骨折などが起こるリスクや、もし逃げたときに見つかりにくいを考えて、やや大きくなってからにしています。
もちろん管理のために移動させることもあるので、そういう場合には虫かごに移動してもらうようにしていました。
小さいうちはかなり激しく威嚇することもあるので、威嚇された場合は素直に引き下がりましょう。
最後に
というわけで、今回はレオパベビーに関してでした。
長くなったことからもわかる通り、かなり神経質に飼育しなければいけないということは伝わってくれたらいいなと思います。
ヒョウモントカゲモドキは初心者にも飼いやすいということは否定しませんが、あくまでそれはヤング以上のことであり、ベビーは文字通り赤ちゃんなので、飼育が簡単なわけがないです。
今回これだけ紹介してもすべて網羅できているわけでもなく、場合によってはお住まいの地域によっても、特別に注意しなければいけないこともあるでしょう。
そういった場合のためにも、信頼でき、長く付き合えるショップでお迎えして、いざというときに気軽に的確なアドバイスを貰いに行ける動物病院を探しておいてくださいね。