命の危険も?ベタが便秘になってしまう原因と対処法をブリーダーが解説

命の危険も?ベタが便秘になってしまう原因と対処法をブリーダーが解説

ベタは初心者にも飼育しやすい魚ですが、病気のリスクがないわけではありません。

とくに注意したいのが便秘ですが、じつはよくある病気と比べてもとてもリスクの高い病気で、対処しないと死んでしまうことも珍しくない厄介な病気です。

今回はベタが便秘になってしまう原因と、対処法をベタブリーダーが解説します。

ベタのお腹がパンパンに!?

ショウベタデルタテ スーパーデルタール

ベタを飼育していると、まれにお腹がパンパンになってしまうことがあります。

さまざまな病気が予想されますが、ベタによくある病気の一つとして便秘があります。

人間の便秘はあまり気にされないかもしれませんが、ベタにとってはとても負担のかかっている状態で、早急に対処しなければいけません。

ベタの便秘は死につながる!

人間であれば、少しお腹が張っていても、そこまで気にせずに様子を見ることも多いでしょう。

しかしベタにとってはとても大きな負担で、放置すると高確率で死につながります。

ベタは消化器官が弱い魚といわれていて、実際私も飼育してきた魚の中でも特に便秘になる確率が高いです。

予防することも大切ですが、便秘になってしまったら即座に対処しましょう。

メスは抱卵と見分けが難しい

ベタのメスの場合、お腹が膨らむことが珍しくありません。

ベタは体のわりに大きな卵を産み、しかも数も数百と多いです。

このため、抱卵しているメスのベタの場合、お腹が大きくてもおかしくないのです。

しかしメスのベタも便秘にならないわけではないので、便秘だと確信を持ったら対処してあげるようにしましょう。

ベタの便秘の症状を見分けるポイント

ショウベタダブルテール

お腹が膨らんでいる!と思っても、焦って対処するのは悪手です。

もし便秘でない場合、その対処が間違っているとその対処自体がダメージを与えてしまいますし、本来行わなければいけない対処が遅れ、結果的に死なせてしまうこともあるからです。

まずはしっかり様子を見て、便秘だと確信を持ってから対処しましょう。

お腹のふくらみ

一番わかりやすいのが、お腹のふくらみです。

便秘になると目に見えてお腹が膨らみ、まるでパチンコ玉を飲み込んだかのようにパンパンに膨らみます。

しかし単純にエサを食べ過ぎていたり、メスであれば抱卵の可能性もあります。

また、腹水という別な病気の可能性もあるので、お腹が膨らんでいるからと言って、焦って対処するのは避けたほうがいいでしょう。

フンが数日見当たらない

お腹が膨らんでいるほかに、便秘になるとフンをしなくなります。

このため、お腹が膨らんでいるうえに、数日(毎日エサを与えているなら3日以上)水槽の底にフンがない場合は、ほぼ便秘だと確信をもっていいでしょう。

しかし普段からしっかりフンの除去などをしていないといつのフンなのかわからず、判断が遅れてしまう原因にもなります。

予防の一環として、水槽内のフンはこまめに除去しておくことも重要ですね。

泳がなくなる・泳ぎが下手になる

お腹にフンがたまっているのは、ベタにすればかなりつらい状態です。

また栄養が十分に摂取できず、血流も阻害されるなどの要因から体全体の調子が悪くなり、泳ぎの様子がおかしくなります。

たとえば斜めに泳いだり、ほとんど動かなくなるなど、普段とは様子が違うことが目に見えるでしょう。

具合が悪そうに見える、というのは、動かないことや栄養を十分に摂取できないことからヒレの状態が悪くなったり、発色が悪くなるからという要因もあります。

そこまでいくと長期間負担がかかり、かなり弱っていると思っていいでしょう。

腹水との違い

お腹が膨らむ病気に、腹水という病気の症状もあります。

エロモナス病の症状の一つで、その場合便秘とは対処法が変わり、基本は投薬治療になります。

大きな違いとしては、外見的な症状がお腹が膨らむだけの便秘に対し、腹水病の場合は体が赤くただれたり、ウロコが逆立つなど、別な症状も現れてくることがあります。

しかしエロモナス病を発症して腹水だけ症状として現れている場合もあるため、明確な見分け方はないとも言えます。

まだどちらか断定できない場合でも早く対処するべきなのには変わりありませんが、薬を投入するのは便秘だった場合に負担にしかならないため、なるべく避けたいところです。

なので、まずは便秘にもわずかながら効果があり、体への負担も少ない塩浴から始め、様子を見るのも一つの方法です。

もし他のエロモナス病の症状が出たときにすぐ対処できるよう、グリーンFゴールド顆粒、観パラD、エルバージュエースなどの薬を用意しておくといいでしょう。

ベタの便秘の治療法

では便秘だと確信をもって治療にあたる場合の対処法を解説します。

紹介する順番にリスクが低い対処法なので、段階的に試し、状態を確認しながら次の対処をするようにしましょう。

絶食

基本的には、便秘が確認されたら餌をいったんやめるのがセオリーです。

というのも、排泄できていないのにお腹に物を入れるということが負担になるからです。

場合によっては便秘を悪化させてしまうこともあるので、いったん餌を抜いてあげます。

それまで十分エサを食べているようであれば数日の絶食で死ぬことはないと思っていいでしょう。

残念ながら絶食したからと言って治ることはあまり考えられないので、あくまで悪化させない方法になります。

塩浴で体調を整える

魚の調子が悪いと思ったときにまず試すべきは塩浴です。

塩は適量を守れば魚への負担が低く、かつ魚の自己治癒力を高める効果があります。

便秘においてもベタの体にかかっている負担を軽減し、体力を回復する効果が期待できます。

入れる塩は食塩やあら塩、海水の元など、調味料などが入っていないものを用い、かならず分量を量って少しずつ投入します。

分量は水槽の水の量に対して0.1~0.5%程度。

もちろん少ないほどベタへの負担は少なくなりますし、多いからと言って治療効果が高くなるというわけではありません。

便秘の対処として投入する場合は、0.25~0.3%を上限とし、様子を見ながら濃度を上げるようにしましょう。

水温を高めに

ベタは暖かい地域の魚ですが、小型水槽で飼育することも多く水温が安定しない環境で飼育されている場合も多いです。

お店で働いていたとき、便秘になったという相談を受けたお客さんに飼育環境を訪ねると、ヒーターなしで飼育していたという確率が非常に高かった(ほぼ全員と言ってもいいです)ことから、水温と便秘にはなにかしらの因果関係があると推察されます。

おそらく、もともと弱い消化器官の活動がより悪くなり、便秘を誘発するなどの原因があるのでしょう。

便秘で体力が落ちているうえに低水温で飼育するとほかの病気になる場合もあるため、どんな対処をするにしてもまず水温をしっかり上げてあげることが必要です。

もちろん適温を大きく外れれば負担になるので、27度前後をキープするようにしましょう。

フレアリング

便秘ではあるがベタがまだ元気な場合、試すべきはフレアリングです。

フレアリングとはベタの威嚇行動で、鏡を見せたり別なベタが見えたりすることで、ヒレを大きく開いてビラビラと泳ぎます。

これは私の経験上、フレアリングを行わせない、もしくはあまり行わないベタに便秘の症状が出やすいためです。

本来便秘の予防のために行わせるべきではあるのですが、まだベタに体力が十分あり、弱っていない場合に関しては試す価値はあります。

飼育しているベタや、お店でキープしていたベタに便秘の症状が出た場合、こまめにフレアリングをさせたら翌日排便したという経験もあります。

もちろんやりすぎると負担になりますし、弱っているベタには大きなストレスにもなるので、あくまで便秘の初期で体力があるベタにのみ試すようにしましょう。

ココア玉で排便促進

これは巷でもよく言われている対処法ですが、ココアを与えると便秘が治る、という治療法です。

実際、私の飼育するベタでもココアをしみこませ、乾燥させた餌、通称ココア玉で便秘が治ったこともありましたが、正直おすすめはできません。

というのも、ココアは非常に水を汚すため、それによって水質悪化が起こりベタを殺してしまうことがあるからです。

食べ残しはもちろん、ベタはココアを消化できないので、仮に排泄できても水質が悪化してしまうのです。

与えたからと言って確実に治るわけでもないですし、もろ刃の剣といえますね。

基本的には水温や塩欲など地道な対処を続けて、なるべく弱らないようにし、自然に排便を待つというのが最善の手だと考えています。

便秘はほとんどが環境的や管理の問題なので、なってしまってから焦るよりも、便秘にさせない対処がなにより重要です。

ベタが便秘になる原因と予防

ショウベタデルタテール スーパーデルタ

ベタの便秘は、なってしまうとほぼ効果的な対処がないのが事実です。

なにより大切なのが便秘にさせない対策で、それには日々の管理が重要です。

便秘になる可能性が高い原因と、その予防策を抑えて飼育しましょう。

水温の低下

ボトルなどで飼育されることの多いベタの場合、ヒーターを入れるのが難しくて水温管理をしていない方も多いです。

しかし水温管理は飼育の基本で、便秘に限らずさまざまな病気の原因になります。

ベタを飼育する場合も、必ず水温管理は行うようにしましょう。

老化による消化機能の低下

生き物である以上、年を取って体の機能が衰えることは仕方のないことです。

ベタももちろん同じで、年を取ると体調を維持するのが難しくなり、便秘になることも多くなります。

老ベタの場合、衰えた消化機能を考えて、なるべく消化にいい人工のベタ用フードなどを中心に与えるようにすることで、便秘のリスクを下げることができます。

とくにひかりベタアドバンスは糞の状態がとてもよくなるので、私も老ベタによく用いる餌です。

餌のバランスによる消化器官への負担

餌の与え方や餌の量など、餌の与え方はフンの状態に影響します。

与えすぎれば胃腸への負担になりますし、頻度が高くても同じく負担になります。

実はベタはそこまでたくさん食べなくても健康に生きられる魚なので、状態を見ながらなるべく少なめの餌が適切です。

また餌の種類によっても消化のしやすさが変わり、乾燥赤虫や乾燥イトミミズなどの乾燥餌は消化しにくく、人口のベタフードは消化しやすいといわれています。

乾燥餌はなるべく砕いて与えるようにし、老ベタには避けたほうがいいでしょう。

冷凍赤虫なども、1~2mm程度にカットして与えることで消化への負担を抑えられます。

人工のベタフードだけでも何ら問題はありませんので、一度便秘を起こしたベタの場合は、人口のベタフードを数種類用意して、嗜好性を維持するようにしてあげるのがいいでしょう。

運動不足

あまり体を動かさないベタの場合、便秘になる確率が上がる傾向にあります。

もともとグイグイ泳ぐ魚ではありませんが、狭い水槽で運動量が下がるとほとんど動かない状況はよくありません。

フレアリングなどをさせて運動する機会を与えるなど、飼育する中で少し刺激があったほうが、健康を維持するのに役立ちます。

まとめ

ベタの便秘は、命に係わるほどリスクの高い病気です。

なってしまった場合の対処も必要ですが、回復の見込みはやや低いため、なるべく便秘にならない飼育管理をすることも必要です。

とくに餌の管理は重要なので、この機会に餌の種類や与え方を見直してあげてくださいね。

やさしい熱帯魚さんサテライトでは今後もベタについての情報を紹介していきますので、興味のある方ぜひまた遊びに来てくださいね。

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