暖かい季節になってくると餌を求めて虫の集まる外灯や家の外壁にくっ付いている姿をよく見掛けるニホンヤモリ。その可愛らしい姿に惹かれ連れ帰ったものの、どう育てていいのかわからない…そんな方の為にニホンヤモリの餌やりについて紹介していきます!
何を食べる?食べる餌の種類!
まずはニホンヤモリの飼育を始めたら、どんな餌を用意するべきなのか覚えておきましょう。
もちろん1つにこだわる必要はなく、いろいろな餌をローテーションで与えてもOKですよ!
コオロギ
ペットショップなどで一番手に入りやすく、オススメの生き餌がコオロギです。
ヨーロッパイエコオロギとフタホシコオロギの2種類がいます。
イエコは、動きがすばしっこく、ジャンプ力があり臭いはあまりしません。
逆にフタホシは動きがゆっくりでジャンプ力も低いですが、イエコに比べると臭います。
また、フタホシは噛み付く力が強く、ヤモリに噛み付いてしまう事があります。
イエコの方が柔らかく、食べやすいなど違いがあるので、入手のしやすさや個体の好みに合わせて与えると良いでしょう。
デュビア
デュビアは餌用として知られるゴキブリで、高い繁殖力、飛ばない、臭いがない、鳴かない、体が丈夫など様々な理由で人気の生き餌です。
ニホンヤモリ以外の爬虫類を飼っている筆者も主にこのデュビアを与えています。
デメリットとしては成虫になると5cm前後になるので、ニホンヤモリの餌として与えられなくなってしまう事。
繁殖させて生まれたばかりの小さい物を与えるか、Sサイズの物を買い足して与えるようにしてください。
ミルワーム
爬虫類だけでなく様々なペットの餌としてよく使われているのがミルワームです。
保存が楽で人気ですが、脂肪分が多いわりに栄養価はあまりよくないと言われています。
また、消化も悪いので、与えすぎないように注意が必要です。
与えるなら主食ではなく、おやつ程度がいいでしょう。
人口餌
ヒョウモントカゲモドキなど、昆虫食性の爬虫類用に、ドッグフードのような乾燥餌(水でふやかす)や、ゼリー状の餌が売られています。
食べてくれる確率はかなり低いですが、ごく稀に食べてくれる個体がいます。
どうしても生き餌が無理だ、という方はレオパゲルなどヤモリが食いつきやすい成分が多く含まれている物を与えてみましょう。
捕獲した虫
蛾、ハエ、クモ、蛾や蝶の幼虫など、小さく柔らかい昆虫であれば、公園などで捕獲した昆虫でも食べてくれます。
逆にカナブンやダンゴムシなど硬い昆虫は食べない事が多いです。
ニホンヤモリが食べる物をしっかり理解した上で、公園などの自然環境の中で餌を探してみるのもいいでしょう。
どう食べさせたらいいの?餌の食べさせ方!
では用意した餌は、どうやって与えたらいいのでしょうか。
じつは人間のように3色毎日しっかり食べる生き物はかなり珍しく、爬虫類であるヤモリの食事はまったく違います。
餌を与える前に、しっかり適切な与え方について覚えておきましょう。
餌の頻度と量
餌を与える量と頻度は子どもの時と大人になってからとで違いがあります。
子どもの間は成長期なので、1日1回、食べるだけ与えて大丈夫です。
大人になると太りやすくなるのでの3日に1回程度。量は2~3cmのイエコであれば2、3匹程度を基準に与えましょう。
痩せていないか腹部をよく観察して、たまに量を調節してあげてください。
餌の大きさ
とらえた獲物は丸のみにするため、あまり大きすぎる物は食べません。
大きさの目安としては、個体の頭部より小さい物を与えるようにしてください。
爬虫類ショップでは、コオロギやデュピアなどはサイズ別に売られていることもあるので用意しやすいですね。
コオロギの足やミルワームの頭などは口の中に引っ掛かってしまうこともあるので、喉に詰まらないように注意して、できれば取り除いてからあげてくださいね。
餌の与え方
ニホンヤモリは基本的に動いている物しか食べないので、ケージの中に適量の餌を放り込んでください。
レイアウトが入り組んでいる場合、餌を見つけられない事があるので、餌容器に入れてあげると見つけやすいでしょう。
慣れてくるとピンセットでも食べてくれるようになります。
顔の前で小刻みに揺らすと反応して食べてくれるのでやってみてください。
栄養面について
生き餌だけだと栄養不足になってしまい、健康状態が悪くなってしまいます。
紹介した通り、ミルワームなどはリンの含有率が多く、カルシウムの吸収を阻害してクル病を引き起こすこともありますし、ほかの餌でもビタミンが足りないなどの問題が出る場合もあります。
市販で売っているカルシウムやビタミンを餌にまぶすなどして与えてください。
このように、餌にカルシウム剤やビタミン剤をまぶして与えることを「ダスティング」といいます。
餌を食べない!?拒食の時の対処法
ニホンヤモリは適切な餌を適切な方法で与えているはずなのに食べてくれないということも少なくありません。
もともとペットとしてなじんでいる生き物ではないですし、環境的な要因も考えられます。
ニホンヤモリが拒食状態になったときは、以下のようなポイントをチェックして改善してあげましょう。
ストレスで食べない
環境に慣れていないとストレスで餌を食べなくなります。
人間が緊張で食事がのどを通らないのと同じ状態ですね。
静かな所にそっとしておいて、環境に慣れてくれるまで様子を見ましょう。
ケージ内の温度が低い
温度が低いと体温が上がらず、消化ができなくなります。
温度計を設置し、気温が低い時はヒーターなどを設置してケージ内の温度は適温に保つようにしてください。
餌を怖がっている
生き餌をケージ内に入れていると、餌である昆虫が生体に噛み付いてしまう事があります。
ニホンヤモリは臆病な性格なので、それが原因で怖がって食べなくなる事があります。
その場合、餌を変えると食べるようになることも多いので、餌を変えてみましょう。
それでも食べない時は強制給餌
考えられる原因をすべて対策したのにそれでも食べてくれない、という場合は強制給餌を行いましょう。
餌である昆虫のハラワタ部分など、流動性のある部分を口の周りに塗り付け、舐めさせます。
手の上でやらないと壁に擦り付けて取ってしまうので手の上で行ってください。
鼻を塞いでしまうと息が出来なくなってしまうので、口以外に餌が付かないように注意しながら行ってくださいね。
その後は、自然に食べてくれるようになるまで根気よく続けてください。
捕獲した場所に逃がすのは最終手段
何をしても餌を食べてくれない場合、ニホンヤモリを捕獲した場所へ返す事も考えましょう。
しかし、これはあくまで最終手段です。
捕獲してすぐであれば問題ないかもしれませんが、人間に飼われる事に慣れてしまった個体は自然界に戻すとうまく餌が取れず、死んでしまう可能性があります。
飼育を始めるときも逃がすときも、1つの命である事を忘れないようにしてください。
まとめ
今回はニホンヤモリの餌について解説しました。
とても愛嬌があり、多くの地域ではおなじみの生き物なので飼育してみたいという方も多いですが、基本的に生き餌しか食べないので、虫が苦手な方には飼育が難しい生き物かもしれませんね。
拒食になってしまった時は、個体の様子をよく観察しながら対処してあげてください。
せっかく飼育を始めたのなら、しっかり様子を観察し、試行錯誤してベストな飼育方法を見つけ出して、健康で長生きさせてあげてくださいね。