爬虫類などの飼育において、湿度の管理は重要なポイントになります。
素焼きのウェットシェルターは湿度管理が容易で、価格も安いので人気のアイテムですよね。
特に最近人気のヒョウモントカゲモドキなどの生態では、脱皮時にメリットが多く、愛用する方も多いでしょう。
しかし素焼きのウェットシェルターはカビやすく、実はカビは人体に対しても害があることもあり、対策は必須です。
今回は便利だけどカビやすい、ウェットシェルターのカビ対策について解説します!
ウェットシェルターがカビるとどうなる?
ウェットシェルターは特に夏場など、放っておくと2,3日でカビが生えてしまいます。
なので、メンテナンスが面倒で、ちょっとのカビは放置するという方も少なくありません。
しかしカビを放置するのは景観を乱すだけでなく、実は怖い弊害もあります。
保湿効果が落ちる
ウェットシェルターがカビで覆われてしまうと、通水性が落ちてしまうため、加湿効果も落ちてしまいます。
もちろん加湿が十分でなければ、飼育している生き物にも脱皮不全の原因になるなど悪影響があります。
また、通水性が落ちると、上皿の部分に水がずっと残ることになり、水が腐って臭いの原因にもなりえます。
床材などにカビが移る
カビは胞子を飛ばして増えていくので、ウェットシェルターのカビが床材に飛んでしまうこともあります。
ウェットシェルターは洗って殺菌すれば再度使えますが、床材はそうもいかないので、飼育コストも上がってしまいますよね。
床材などに移る前にウェットシェルターをメンテナンスするのはもちろん、もし床材がカビたときはできれば全交換しましょう。
人体に害も
あまりカビたウェットシェルターで生体が病気になったという話は聞きませんが、実はカビは人間に害があります。
特定のカビの胞子を吸い込むことで、肺や気管支を犯したり、怖いものでは腫瘍などの原因になる場合もあります。
かくいう筆者も、テラリウムのカビを長期間放置したことで、気管支炎や鼻の異常を感じたこともあり、病院では原因不明でしたが、テラリウムをリセットして体調が戻った経験があります。
カビにも多数の種類があり、必ずしも強い毒性があるわけではありませんが、早めに対処するに越したことはないでしょう。
ウェットシェルターがカビる原因
ではウェットシェルターがなぜカビてしまうのか、その原因を考えてみましょう。
後ほど紹介しますが、洗ったり除菌するのはもちろん、対策しなければ頻繁に再発してしまうので、原因を考えてみましょう。
常に上皿に大量の水が入っている
良くやりがちなのが、ウェットシェルターの上皿に常に大量の水が入っている場合です。
メンテナンスを簡略化するためにたくさん水を入れたい気持ちはわかります。
しかし、水が多いということは余計な湿気を生み、ケージ内の湿度が不要に高くなるため、カビには格好の環境となってしまいます。
ウェットシェルターの上皿には、大体1~2日で蒸発する程度の量を入れておくようにしましょう。
ケージ内が蒸している(通気性が悪い)
特に自作ケージなどで、通気性がしっかり確保されていないケージの場合、ケージ全体がじめじめした環境になり、これもカビが発生しやすい環境になってしまいます。
ヒョウモントカゲモドキなどの場合は、ケージ全体が湿気ている必要はなく、ウェットシェルターで加湿すれば、ケージ全体はある程度乾燥していても問題ありません。
水気が多く必要な両生類や、ケージ内を高温に保つ必要がある種類では難しいのですが、湿気がとどまらない、なるべく通気性のいいケージを用意するようにしましょう。
ウェットシェルターが汚れている(洗っていない)
カビは清潔な環境では発生しにくいですが、ウェットシェルターを長く使い、汚れている場合はカビを誘発してしまいます。
フンなどはもちろん、床材の粉が付着することで湿気が滞りやすくなり、カビの原因になりえます。
新品のウェットシェルターではしばらくカビが発生しませんが、しばらく使っていると頻発することからも、ウェットシェルター自体の清潔さの重要性がわかりますね。
細かい洗い方は後ほど解説しますが、ウェットシェルターの手入れは水を足すだけでなく、適切に洗うことも重要になります。
床材を長期間変えていない
カビは原因となる胞子がない場合は発生しにくいので、頻発する場合はどこかにカビの原因が潜んでいる場合もあります。
例えば床材にカビが潜んでいる場合、床材は乾燥しているので爆発的に増えなくても、ウェットシェルターに飛んで爆発的に増えることもあります。
床材はフンを取り除いたり、汚れのひどいところを捨てるという方も多いかもしれませんが、カビが頻発するなら全交換したほうがいいでしょう。
ウェットシェルターがカビてしまったら【洗い方と予防】
ではウェットシェルターがカビてしまった場合ですが、基本的には捨てなくても、しっかり洗って予防すれば、再度使うこともできます。
ウェットシェルターはただ洗うだけでなく、しっかり対策することでカビを生やしにくい状態にもできます。
もちろん新しい物を用意しても良いですが、いたちごっこになるので、せっかくなら洗って再利用してみましょう。
見えるカビと汚れをしっかり洗い流す
カビが生えてしまったら、まずは見えるカビと付着した汚れをしっかりと洗いましょう。
洗い方は古い歯ブラシなどを使い、流水で流しながら洗うことが重要です。
洗剤などは素焼きの場合しみ込んで除去しにくいので、使わない方がいいでしょう。
除菌して再発を予防
目に見えるカビをしっかり落としても、おそらくまた使ったらすぐにカビが生えてしまいます。
素焼きの場合は表面がざらざらしているので、手洗いだけではカビの根が残ってしまうためです。
しっかり洗った後、除菌することで再発を予防することができます。
もちろんカビキラーのような強い薬剤は使えないので、生体に影響が出にくい方法で除菌します。
加熱・煮沸
カビを除去する低コストで効果的な方法は、熱を加えることです。
一部耐熱性の高いカビも居ますが、筆者の経験上では、洗った後に加熱するとしないでは再発までの期間が大きく変わります。
加熱する方法としては、ウェットシェルターが軽く湿った状態で電子レンジで加熱するのが最も手軽ですが、食品を普段使う器具に爬虫類用品を入れるのは抵抗がありますよね。
なので、ウェットシェルターの煮沸専用に鍋を買ってきて、水を張って煮沸するのがおすすめです。
沸騰してから大体5分もすれば十分加熱できます。
もちろん加熱したウェットシェルターはかなり熱いので、しっかり冷ましてから触るようにしましょう。
また、洗わない状態でカビたウェットシェルターをお湯に入れると、カビが散って大変なことになるので、必ず洗ってから投入してください。
木酢液
これは筆者が昔木材を扱っているときに、おじいちゃん棟梁から聞いた話ですが、カビ予防には木酢液が効くそうです。
筆者は熱帯魚用に木酢液を持っていたので、試しに使ってみたところ、たしかにカビの再発が抑えられました。
木酢液は酸性ですが、基本的には天然素材なので生体への影響も少なく、安いので比較的低コストな方法と言えます。
筆者はタッパーに木酢液を入れて、ウェットシェルターを半日ほど浸し、大きなバケツに移して大量の水で数回水替えをしながらしみ込んだ木酢液を抜いて、乾燥させてから使用しています。
加熱殺菌が難しいという場合にはおすすめの方法ですね。
しっかり乾燥させる
綺麗に洗って除菌もしたら、しっかり乾燥させてあげましょう。
カビの再発を抑えられますし、一度乾燥させることで適度に湿度を保つことができます。
乾燥させる方法としては、しっかりキッチンペーパーなどで水けを取った後、天日干しがおすすめです。
時期にもよりますが、48時間程度置けば十分乾燥しているでしょう。
床材を交換
先ほども紹介しましたが、せっかくウェットシェルターを綺麗にしても、別なところからカビが移っては意味がありません。
しっかりウェットシェルターの再発予防をしたのなら、床材も思い切って変えてしまいましょう。
もしくは、まだ全然使えそうな床材なら、ウェットシェルターと同じく加熱して除菌するのも一つの方法です。
ヒョウモントカゲモドキ飼育のカビ予防
ここまで紹介した対策は、多くの両生類や爬虫類飼育に対応するものです。
このブログではヒョウモントカゲモドキについての飼育方法を紹介し、それに関連して見に来てくださる方が多いので、ついでに筆者も実践する、ヒョウモントカゲモドキ飼育におけるカビ対策についてもご紹介します。
フンをする場所にウェットシェルターを置かない
ヒョウモントカゲモドキは、ある程度フンを決まった場所にする傾向があります。
ウェットシェルターがその場所付近にあると、ウェットシェルターがフンで汚れ、ヒドいカビの原因になります。
フンをする場所はあまり変えられませんが、ウェットシェルターを動かしてもしっかり入ってくれることが多いので、フンをする場所から離れた場所にウェットシェルターを置くといいでしょう。
ケージ内に霧吹きをしない
これは飼い主さんそれぞれこだわりがあるかと思いますが、ケージ内に霧吹きをする方、しない方がいるかと思います。
筆者ももともとウェットシェルターを設置した上に霧吹きをしていたのですが、ベテラン飼育者さんいわく、シェルターに入る子ならウェットシェルターを使えば十分なので、ケージ内は加湿しなくてもいいとアドバイスをもらいました。
そこでケージ内の霧吹きをやめたところ、カビの発生が抑えられたという経緯があります。
もちろん、壁面へ飲み水としての霧吹きは必要ですが、床材を濡らすような霧吹きはしない、もしくは量を抑えるのも一つの方法かもしれませんね。
湿気を吸収してくれる床材を選ぶ
これも筆者の経験上とても効果があったのですが、吸水性が高く、湿気を吸ってくれる床材を使うと、カビの発生頻度が低くなる傾向にあります。
具体的に言えばソイル、ウォルナッツサンド、赤玉土などですね。
ソイルはややコストが高く、ウォルナッツサンドは誤飲の率が高く、赤玉土は一度カビると全交換しなければ再発しやすいなど、それぞれデメリットがあるので、適材適所選ぶといいでしょう。
素焼きのウェットシェルターを使わない
極論ですが、もう素焼きのウェットシェルターを使わない、というのも一つの方法でしょう。
実際筆者もいろいろ試してみましたが、必ずしも素焼きのウェットシェルターでなければいけないということはありません。
素焼きのウェットシェルターのメリットは、適度に加湿できるのはもちろん、脱皮するときに体をこすりつけやすいというのがあります。
なので、適度に加湿できるシェルターを設置し、脱皮するときに体をこすりつけやすいレイアウトを置けば、何ら問題ないということになります。
具体的な商品を言えば、GEXさんのモイストロックがおすすめで、筆者はこれがカビたことはないですし、脱皮不全が起こったこともありません。
ゴジラジャイアントに使ったときはひっくり返してしまったので注意が必要ですが、基本的にはトラブルもないですし、さらっとした表面は洗いやすいのでお勧めです。
あとはビバリアさんのハイドロボックスもおすすめです。
これは本体は樹脂製で、上皿が独立して素焼きになっているので、加湿効果がありながらカビにくい、もしカビても手入れしやすいメリットがあります。
ただし樹脂の本体では脱皮ができないので、流木や表面のなだらかな石など、脱皮の手助けになるレイアウトを一緒に使うといいでしょう。
まとめ
というわけで、今回はウェットシェルターのカビ対策についてでした。
素焼きのウェットシェルターについては、加湿させるならまったくカビさせないというのは、毎日洗わない限りはほぼ不可能で、大体使っていればカビます。
大事なのはこまめな掃除でひどくカビさせないことなので、日ごろのお手入れのルーティーンに、週に1、2回洗ってあげるという管理を追加するようにしてあげましょう。
最後にちょっと触れましたが、そこまで苦労してウェットシェルターを使わなければいけないという理由も実はないので、手間を考えればほかの商品を試してみるのもいいかもしれませんね。
当サイトでは、ヒョウモントカゲモドキをはじめとしたさまざまな生き物のお役立ち情報を紹介しているので、興味のある方はぜひまた遊びに来てくださいね!