2020年初頭からのコロナ禍で、ペットの需要が上がっているようですね。
熱帯魚ももちろんおすすめなのですが、残念ながらまさに新型コロナウイルスの影響が強く、海外産熱帯魚の流通も滞りぎみで、お店の水槽もスカスカな様子が見られます。
そこでコロナ禍での新しいペットとしておすすめしたいのが、今回紹介する「ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)」、通称レオパです。
非常に奥深くかつ愛らしい生き物で、 管理人も飼育しはじめてからドップリ陶酔中です。
飼育方法も確立され、まさに「これから爬虫類の飼育を始めてみたい!」と思っている方にぴったりの生き物ですね。
まず今回は、「ヒョウモントカゲモドキの基本」からご紹介していこうと思います。
ヒョウモントカゲモドキとは?
ヒョウモントカゲモドキは、アフガニスタンやインド、パキスタンなど中東を中心に生息しているヤモリの仲間です。
ヒョウモントカゲモドキは和名で、英名は leopard gecko、それを略して「レオパ」と呼ばれています。
大きな瞳に小さい手足、太いしっぽが特徴的で愛らしいですね。
ヒョウモンの名のとおり、体には独特な柄が出現しますが、ペットとしてのヒョウモントカゲモドキは改良が進み、様々なカラーを出現させることでも知られています。
現在においても企業や個人においてブリードが活発に行われ、どんどんカラーパターンも増え、もはや管理人もほとんど把握できないレベルの品種(いわゆるモルフ)が存在します。
トカゲモドキなのにヤモリ?
トカゲモドキと言われているもののじつはトカゲではなく、ヤモリの仲間に分類されます。
皆さんにもよくおなじみのニホンヤモリなどは、 趾下薄板(しかはくばん) と呼ばれる毛の発達した器官をもち、垂直な壁にも張り付いて動きます。
ニホンヤモリはその様子から「カベチョロ」とも呼ばれますね。
一方ヒョウモントカゲモドキを含むトカゲモドキの仲間は、ヤモリに近いものの 趾下薄板を持たず、岩などには爪を突き立てて移動するので、ニホンヤモリのように壁を這うような移動はできません。
また、通常ヤモリは魚と同じく瞬きができませんが、ヒョウモントカゲモドキは瞬きをしますし、眠るときは目をつぶります。
これがヒョウモントカゲモドキの愛らしさの源なのかもしれませんね。
トカゲモドキにはこういった特徴があり、ヒョウモントカゲモドキもヤモリながらヤモリと名前がつかないのです。
太いしっぽは何のため?
ヒョウモントカゲモドキの特徴のひとつが、体に不釣りあいなほどに太いしっぽですよね。
これにもしっかり理由があって、しっぽには活動に必要な以上の栄養を摂取したときに、その栄養を無駄にしないようため込む性質があります。
人間がお腹周りに体脂肪をため込むのと基本的には同じですね。
人間ではメタボなんて言われてしまいますが、ヒョウモントカゲモドキにおいてはしっぽが細すぎるのがむしろ栄養失調状態に近く、しっぽメタボが健康のバロメーターのひとつでもあります。
体も栄養状態がいいと肉が付き、とくに前足の付け根(ワキの部分)に肉溜ができることもあります。
これらが一概に肥満の証明になるとは言えませんが、骨格的に手足に筋肉がつきにくいので、体回りがあまりに太くなってしまうと歩行にも負担がかかりかねないので、太りすぎはほどほどにしてあげたいですね。
「モルフ」とは?
ヒョウモントカゲモドキを語るうえで無視できないのが「モルフ」です。
お店で実際にヒョウモントカゲモドキを見てみると、「ハイイエロー」や「マックスノー」、「タンジェリン」などの名前がついていますが、これがモルフです。
ほかにも目の特徴を表すモルフや、体のサイズを表すモルフもあります。
簡単に言えば品種を表しているのですが、レオパ改良の歴史はまだまだ浅く、表現しているカラーが血統と呼べるまでの確立された品種とまでは言えないのが現状です。
このため同じモルフを掛け合わせても、親とは違う色になることがあり、同じく改良で様々なカラーを表す熱帯魚のベタなどよりも多いように思います。
このため厳密な品種などではなく、「特定の個体があらわしているカラーパターン=モルフ」という認識のほうが正しいといえるでしょう。
モルフに関しては細かく書くとそれだけで新聞1部分程度になってしまうので改めますが、基本は買った(買いたい)個体がなんと呼ばれているか把握するためのもので、繁殖などを目的にする以外は、あまりモルフの呼び名に捕らわれず、お気に入りの個体を選ぶだけで十分なように思います。
ここからはレオパのあれこれをQ&A形式で解説していこうと思います。
爬虫類飼育の価値観は人それぞれですが、これから飼いたいと思っている人は以下のポイントだけは抑えておいてくださいね。
Q.飼育が楽(簡単)って本当?
A.爬虫類の中では簡単ですが、楽とは言えないかもしれません。
ヒョウモントカゲモドキは、爬虫類の中ではかなり飼育が簡単な部類です。
というのも、原産地の気候が日本の住宅の室温に似ていて、熱帯雨林のようなところから連れてこられた爬虫類よりも、飼育環境を作ってあげるのが簡単だからです。
とは言え、頻繁にフンをするので掃除の頻度は高めですし、やや精神的にデリケートなところがあるので拒食などのトラブルも少なくありません。
個人的に評価するなら、本格的な熱帯魚を飼育できる人であれば、十分飼育はできると思います。
これまでしっかり生き物を飼ったことがない人は、ヒョウモントカゲモドキを販売するお店でしっかり飼育方法を確認してくださいね。
Q.夜行性でほとんど見られないんじゃ?
A.たしかにお昼に活動することは稀です。
ヒョウモントカゲモドキは夜行性で、これも飼育が簡単な要因の一つです。(昼行性に比べてビタミンやライトに気を使わなくていい)
しかしその弊害で、人間がよく活動している時間帯は隠れ家にこもっていることも少なくありません。
爬虫類の飼育の基本は「爬虫類に全面的に合わせる」ことなので、ここは妥協点ですね。
ただ、慣れると昼間も活動するようになりますし、おなかがすくとケージ内を散策するので、まったく観察できないというわけではありません。
Q.なつくって本当?
A.なつきません。
レオパがなつくというのはよく言われることで、実際飼育している人もなついていると言う人もいます。
たしかに人に近づいて来たり、手の上で眠ることもあります。
しかしこれらはどちらかというと「慣れる」に近く、犬や猫のように人に対して愛情をもっているとは言えません。
人に近づいてくるのは餌がもらえることを記憶しているからで、手の上で眠るのは眠たいときに心地いい温度の場所だったから眠るだけです。
人間の都合でいじくり回せばどれだけ愛情をもって飼育してもそっけない態度を取られるのは当たり前ですし、犬や猫のようなイメージを持っているのであれば飼育をおすすめしません。
Q.手の上で遊べるって本当?
A.できますが、どの個体もできるわけではありません。
いわゆるハンドリングと呼ばれるスキンシップですが、レオパは比較的動きが遅いので不可能ではありません。
しかし、捕まえられるのは本能的に嫌う(捕食されることを連想する)ため、はじめのうちは絶対に嫌がりますし、慣れが必要で、慣れない個体もいます。
管理人宅のレオパはテラリウムで生活した歴が長いこともあり、基本的にハンドリングが嫌いです。
ただし、脱皮不全のときなどはハンドリングに慣れさせておいた方が手伝ってあげやすいですし、ケージの手入れもしやすくなるので慣れさせておくことも必要です。
もちろん慣れればある程度のハンドリングも楽しめますが、ストレスがたまると尻尾を自ら切ってしまう(自切)することもあるので、慎重に行いましょう。
Q.虫しか食べないって本当?
A.自然界では昆虫食性ですが、飼育下ではそれに限りません。
レオパは自然化では昆虫を中心に、小型の哺乳類も食べるといわれています。
飼育下でもコオロギやデュピアなどの生きた昆虫、もしくは乾燥や缶詰入りの昆虫などを中心に与えます。
しかし最近ではハンバーグやソーセージのような餌や、ゼリー状の餌などもあります。
これらに関しては自然では食べることがないので昆虫を中心に与えながら慣らす必要があり、また拒食になったときに生きた昆虫は強い味方になるので、絶対に虫は触れない、あげられないという方は飼育しないほうがいいかもしれません。
Q.保温が必要?
A.寒い時期の加温は必須で、地域や住宅環境によっては常時必要になることもあります。
先述したとおり、レオパの原産地の気候は日本の住宅の室温に似ています。
年間の月別平均気温が18~30度ほど。
外気温となると日本のほとんどの地域が該当しませんが、室温だとこれに近いですよね。
このため、レオパが快適に暮らせる環境を再現するのは難しくありません。
しかし大きな違いがあります。「最低気温」と「人間の都合で温度が変わる」ことです。
まず最低気温に関しては、主な原産地では冬でも15度を下回ることは稀です。これは沖縄の最低気温よりも暖かいので、冬場長時間暖房を入れていないとこれを下回る場合、ケージに加温が必要です。
また、レオパは室内で飼育することがほとんどですが、室内はクーラーや暖房でかなり温度変化が大きくなりますよね。この人為的な温度変化は自然にはないものなので、体調を崩す原因になります。
室内であれば15度を下回ることは稀ですが、暖房を入れればそこから急に暖かくなったりすることもありますし、逆に暑い日にクーラーで室温が急降下することもあるので、基本は温度変化を極力緩やかにするために、爬虫類用ヒーターで温度調整してあげたほうが安心です。
レオパでエキゾチックアニマルの世界を楽しもう
以上が、管理人が飼育するうえで感じたヒョウモントカゲモドキの基礎知識です。
爬虫類の飼育は癖があったり、十分な知識がなければ飼育できない種類も多いですが、ヒョウモントカゲモドキに関しては初心者の方もセオリーを守れば十分飼育できる種類です。
ヒョウモントカゲモドキは奥深い生き物で、まだまだ語りつくせないも多いので、今後も飼育に必要な情報を公開していきますので、ぜひまた優しい熱帯魚さんサテライトに遊びに来てくださいね。