熱帯魚の餌として、冷凍赤虫は定番ですよね。
栄養価、嗜好性ともに高い餌ではあるのですが、ベタには与えてはいけないという情報も散見されます。
今回はベタブリーダーの経験もある筆者が、ベタに赤虫を与えていいのか、また正しい与え方などを解説します。
ベタに赤虫はあげちゃだめ?
赤虫は、肉食性のある魚は好んで食べる餌ですが、ベタには与えてはいけないという意見もありますよね。
実際、ベタに赤虫を与えてもいいのでしょうか?
ベタも赤虫は大喜び
赤虫は肉食性の魚がとても好む餌です。
ベタも肉食性が強いので、もちろん赤虫は大喜びで食べます。
たんぱく質が豊富なので、ベタの成長にも効果的だといわれていますね。
においも強いため、魚の食欲を刺激し、食いつきも抜群です。
注意点もある?
そんないいことづくめな赤虫ですが、注意点があります。
とくにベタの場合、赤虫が原因で病気になったり、場合によっては死んでしまう可能性もあります。
筆者自身今飼育しているベタにも与えていますし、多くのベタ飼育者の方も愛用しているため、デメリットがメリットを上回るほどではないのですが、よく注意して与えてあげましょう。
ベタに赤虫を与えてはいけないといわれる理由は?
では、具体的にベタに赤虫を与えないほうがいいといわれる理由を解説します。
このデメリットが起こらないよう注意して与えればとても心強い餌なので、あらかじめ覚えておいてあげましょう。
消化不良の原因に
もっとも注意するべきが、赤虫を与えたことによる消化不良です。
ベタはほかの熱帯魚に比べて消化器官が弱く、消化不良をよく起こします。
赤虫を含めたワーム類は消化がしにくく、消化不良を起こす原因となってしまうことがあるのです。
かんたんに言えば便秘なのですが、ベタの便秘は死に直結するほど注意が必要なので、赤虫を与える際には十分してほしいデメリットです。
水質悪化につながる
これは赤虫に限らないデメリットではありますが、人工飼料に比べると、赤虫は水を汚しやすいというデメリットがあります。
大きな水槽では影響がないレベルではあるのですが、ベタは小さい水槽で飼育することも多いですよね。
このため、赤虫から出た汚れの影響が大きく、病気を誘発してしまうこともあります。
赤虫に限らず、与えて食べなかったエサはなるべく早く取り除いてあげましょう。
熱帯魚用の赤虫の種類
そんなメリットデメリット両方ある赤虫ですが、じつは一口に赤虫といってもいくつかの種類があります。
それぞれメリットが大きかったり、デメリットが大きかったりするので、ベタに与える際はどれがいいのかよく選んで購入しましょうね。
冷凍赤虫
赤虫といえば、基本的に冷凍された赤虫が一般的です。
シート状やキューブ状などがあり、解凍して適量与える形ですね。
再冷凍はできないので、ベタ一匹だけ飼育している場合は持て余してしまうこともあるかもしれません。
栄養価は高く、ビタミンを添加している商品もあるので、基本的にはこれだけで十分な栄養素をを賄えると考えてOKです。
しかし、嗜好性が高すぎて食べ過ぎる傾向にあるので、与えすぎによる消化不良を起こさせないように注意しましょう。
ちなみにクリーンやUVといった記載は赤虫をどう処理したかの違いで、ベタに関して言えばどれでも問題はありません。
乾燥赤虫
赤虫を乾燥させて販売しているものです。
冷凍と違い保存が楽なメリットがありますね。価格も高くはありません。
栄養価も冷凍と同様に十分ですが、水分がないため消化不良をかなり起こしやすい印象があります。
サクサクと砕けるので、なるべく小さくして与えて、与える頻度もおやつ程度にした方が安心でしょう。
パックDE赤虫
GEX社の製品で、これは赤虫そのままではなく、人工餌の一種です。
いわば赤虫風の餌で、人間でいえばサイコロステーキのようなものでしょうか。
もちろん常温保存が可能で、水面に浮いてくれる浮上性なので、魚も食べやすく食べ残しも掃除しやすいというメリットがあります。
が、やはりそのままの赤虫に比べれば嗜好性が低く、ベタがまったく見向きもしないということもあります。(金魚はよく食べる印象がありますね)
これらを踏まえると、ベタ専用フードを与えるのとそう変わりないため、あえてベタに与えるメリットはないように思います。
もちろん食べるベタもいますし、よく試供品を貰うので、試しにあげてみて喜ぶようなら購入してみるのもいいでしょう。
ベタへの赤虫の与え方
では、実際の赤虫の与え方について解説します。
これは個体差も大きいですし、飼育環境によっても左右されるので、あくまで筆者の実践している方法です。
実際に与える際には、ちょっと慎重に、ベタの様子をよく観察しながら与えてあげてくださいね。
何日に何匹?量と頻度
まずは大切な量と頻度についてです。
量が多かったり、頻度が多すぎると消化不良につながるので、ぜひ注意してほしいポイントですね。
まず量ですが、体長5㎝ほどのベタの場合は、冷凍赤虫でいえば3~5匹程度が限度です。
だいたい頭の大きさが胃の許容量といわれているので、頭のサイズを参考にしましょう。
ただしこれはあくまで限度なので、負担がかかってしまうこともあります。
心配であれば、その半分程度に抑えてもやせ細ってしまうようなことはありません。
次に頻度ですが、筆者は赤虫は週に1~2度与えるにとどめています。
その間はベタ用の配合飼料を与えています。
これも消化不良を避けるためで、基本的に調子のいいベタはこの方法でほとんど消化不良は起こしていません。
便秘予防!カットして与えよう
赤虫を与える際にもう一つ注意したいのが、赤虫をまるまんま与えないことです。
赤虫の皮は触ってみるとよくわかりますが、かなり弾力があります。
なので、まるまんま与えてしまうと皮が消化しきれず、消化不良の原因になってしまうことがあるのです。
それを避けるために、赤虫はカットして与えるようにしましょう。
乾燥赤虫の場合はサクサク崩れるので軽くつぶして、冷凍赤虫の場合は専用のはさみを用意して、1~2㎜程度にカットしてあげると安心です。
老ベタには避けたほうがいい?
ベタの状態としては、自体調を崩しているベタはもちろんですが、歳を取ったベタにも赤虫は避けたほうがいいでしょう。
筆者も昔消化不良で死なせてしまったベタが数匹いましたが、たいてい飼育から数年経った年老いたベタでした。
年老いたベタは消化する力も弱くなっていることがあるので、赤虫は避けて、人工飼料などで飼育してあげたほうがいいでしょう。
瓶飼育のベタに多用は避けよう
飼育環境を考えると、瓶など小さな容器で飼育している場合は、赤虫は避けたほうが安心です。
理由の一つとして、瓶飼育の場合温度や水質が安定しにくく、ベタの体調が万全でない可能性があります。
体調が悪い時に無理に消化に悪い赤虫を与えてしまうと、消化不良を誘発する可能性が高くなります。
もちろん、水温や水質の管理が十分であれば与えても問題ありません。
もう一つ、水質悪化が懸念されるという理由もあります。
水量が少ないと汚れが充満しやすく、食べ残しなどによって水質悪化してしまう可能性があります。
もちろん水質悪化してしまうとベタの健康を害するので、なるべく避けたほうが安心ですね。
まとめ
以上が、ベタに赤虫を与える場合の注意点と、私が実践する与え方です。
赤虫はベタの健康を維持するための強い味方ですが、消化不良や水質悪化などの注意点もあります。
もちろん消化不良などを起こさせないよう配慮してあげれば害のあるものでもありませんし、ベタも大喜びするので、ぜひ活用してあげてくださいね。
やさしい熱帯魚さんサテライトでは今後もベタについての情報を追加していきますので、興味のある方はぜひまた遊びに来てくださいね!