爬虫類の飼育において、健康管理の重要な要素になるのが温度管理です。
人間をはじめとした哺乳類は、気温に合わせて体温を調整する機能が備わっていますが、爬虫類など変温動物は、温度の変化に合わせて活動を変化することで生命維持を行っているためです。
今回はヒョウモントカゲモドキの温度管理について、私が飼育する中で重視しているポイントを解説します!
野生のヒョウモントカゲモドキの生活環境
飼育管理の基本は野生での生活環境を適度に再現してあげることにあります。
ヒョウモントカゲモドキは中東の乾燥地帯が主な産地です。
乾燥地帯と言っても様々で、皆さんがイメージするような赤熱の砂漠というわけではなく、岩がゴロゴロとした環境や、その周辺の住宅街でもヒョウトントカゲモドキの姿が見られるとか。
そんなヒョウモントカゲモドキには、どんな温度管理が必要なのでしょうか。
野生の環境から温度管理をイメージしよう
問題の気温ですが、実はそこまで特別ではありません。
中東というとすごく暑いイメージがあるかもしれませんが、緯度で言えば東京と被っている場所もあります。
アフガニスタン全体の平均気温でいえば、最高気温はやや高いものの、最低気温はアフガニスタンのほうが低い月も多いです。
とはいえ、暖かい地域であることは間違いなく、日本の四季のはっきりした気候では、温度調整は必須です。
変温動物として寒い時にも生命を維持する機能は備えていますが、寒い環境に負担がない訳ではありません。
つまり、繁殖など環境変化が必要になる場合を除いて、ヒョウモントカゲモドキ自身が快適に過ごせる温度管理で通年飼育して問題ないでしょう。
気温と表面温度の管理が必要!
それらを踏まえてひとつポイントになるのが、空気の暖かさである気温と、地面の暖かさにあたる表面温度、それぞれが必要になるということです。
ヒョウモントカゲモドキの野生での生息環境では、気温が上がるのはもちろん、太陽に照り付けられた地面の温度が上がり、夜間でもじんわり暖かく、ヒーターのような役割をもっと聞きます。
直立二足歩行の人間はあまり意識することはないかもしれませんが、四足歩行で手足が短く、地面で生活する地表性のヒョウモントカゲモドキは、地面の温度というのも体調に大きく影響し、場合によっては体調不良の原因になることがあるのです。
つまり気温を上げる温度管理は大前提として、それを補うための表面温度の管理もしてあげるのが理想的というわけです。
気温の管理方法
まずは、基本になる気温の管理について解説します。
これは時期や住宅環境にもよるので、基本を覚えたうえで、実際の環境を加味して調整してあげてくださいね。
28℃を基準に管理
まず基準となる気温ですが、ヒョウモントカゲモドキの場合は一般に25~32度が適温と言われています。
これは野生での生息地の環境を基準にしたものですが、我が家では28度を目安にしています。
私の経験上では30度がもっとも活性が高く、餌もよく食べてくれるのですが、あえて30度に上げることはほとんどありません。
例外的にベビーは30度を基準にしていますが、アダルトでは気温は27℃前後にしています。
その理由は二つあり、まず一つ目の理由は、あまり活性が高い状態が続くのも負担になるからです。
人間も常にもりもり食べてギンギンで動き続けるわけではないですし、動き続ければその分疲れますよね。
爬虫類は本人の意思と関係なく温度で活動が変わってしまうため、その負担も加味して、あまり活動的になりすぎる気温は避けています。
次に、外気温の影響のためのマージンという意味合いで少し下げ気味にしています。
仮にヒーターを30度に設定していたときに、室温がそれ以上に上がるとケージ内もそれに合わせてぐんぐん温度が上がってしまい、負担になる可能性があるからです。
もちろん冬やクーラー動作時は逆に室温に引っ張られてケージ内の気温も下がってしまう可能性もあるので、逆にやや高めにすることもありますね。
今は温室飼育なので、基本的には通年で27度前後の設定で安定しています。
ここらへんはやはり温度計を確認しながら、なるべく大きな変化のないよう調整してあげるのが望ましいですね。
繁殖準備に寒くすることも
先に解説した通り、レオパの生息地の温度は、1年を通して温度の変化もあります。
野生のレオパはそれに合わせてバイオリズムがあり、とくに繁殖は外気温の変化に対応して行います。
簡単に言えば寒い時期が明けると卵の育成にちょうどいい時期になったと判断して交尾するのですが、自家繁殖ではそれを再現して繁殖を促す方法もあります。
それを「クーリング」と言いますが、この場合は突然寒くするわけではなく、徐々に気温を落としていくので、ヒーターは細かく出力を調整できる、ワンランク上のものが必要になります。
表面温度の管理
次に、とくに筆者が重要視しているケージ底の表面温度の管理についてです。
レオパ自身は丈夫な生き物なので、多少気温が低くなったとしても即座に悪影響が出ることは稀ですが、地面の表面温度は低くなるとすぐに影響が見え始めます。
なので、レオパの飼育ではとくに気をつけたいポイントになりますね。
パネルヒーターでじんわり温めよう
表面温度を温める場合、気温を上げるためのヒーターとは別なものが必要です。
既に使っている方も多いと思いますが、飼育ゲージの下に設置するパネルヒーターが一般的です。
シート状でそれ自体が発熱し、底材を温めてくれると言うものですね。
設置する場合は、ケージの素材と見合わせて、もし熱に弱い素材であれば、ケージをプラ段などで低い台座を作り、直接触れないようにするなど工夫するか、ケージそのものを熱に強いガラス製などに交換しておくようにしましょう。
パネルヒーターのみでの飼育は?
価格も安いですし、手軽に使えるので、パネルヒーターだけでレオパを飼育していると言う方も少なくないですよね。
しかしパネルヒーターの目的はあくまでケージ底の温度を上げるだけのもので、ゲージ全体を温めるには適しません。
パネルヒーターで気温を上げようとすると地面が熱くなりすぎて、ケージ全体が蒸してしまったり、レオパのストレスにもなりかねません。
あくまでパネルヒーターは表面温度を上げるにとどめ、気温が寒くなる時期は別途ヒーターを用意しましょう。
表面温度が足りないとどうなる?
パネルヒーターがなく、気温の管理だけ行った場合はどうなるのでしょうか。
結論から言えば、仮に気温の管理がしっかりしているとすると、即座に悪影響はでないと考えていいでしょう。
しかし例外的に、室温が低いのにケージ内の気温だけ暖めている場合、さまざまな影響が出ることがあります。
まず一番の違いが餌食いです。
筆者自身飼育初期にやってしまったミスなのですが、ケージ内の温度に捉われて底の保温に気が回っていない環境のとき、明らかにレオパの餌食いが悪くなったんです。
これは腸が冷やされてしまったために、消化の効率が落ちたことが原因だと推察されます。
また、さらに冷え込むと、餌を全く食べなくなったり、発色が落ちると言った症状も見られました。
この時のケージ内の温度は27度ぐらいだったのですが、外気に冷やされた底材は20度前後と、レオパにはやや厳しい温度になっていたのです。
寝るときはおかなを底材に付けることになるため、底材の温度の影響が顕著に出るんですね。
まとめ
以上がレオパを飼育する上で注意している温度管理です。
温度管理が必要ということ自体はわかっていても、表面温度と気温の両方を保持し忘れている方は意外と多いように思います。
とくに表面温度に関しては体調にも大きく影響し、筆者も失敗した経験があるので、よく注意してあげてくださいね。
やさしい熱帯魚さんサテライトでは今後もヒョウモントカゲモドキの飼育管理について解説しますので、興味のある方はぜひまた遊びに来てくださいね!