ベタ ショウベタ│生き物図鑑

ベタ ショウベタ│生き物図鑑

ベタ

もはや熱帯魚の代表格になったベタ。

野生のベタを品種改良し、綺麗なヒレや色を表すベタを「ショウベタ」といいます。

最近ではあまりみなくなりましたが、一昔前は雑貨屋さんで売っていたり、ゲームセンターの景品になる姿も見られましたね。

安くて飼いやすい魚というイメージですが、実は本来奥が深い生態を持ち、まさにショウの舞台に立つ魚もいるのです。

 

 

学名:Betta splendens var. 

ベタ スプレンデンスの改良種の意。

トラディショナル、クラウン、デルタ、ハーフムーン、プラカットなどショウベタにも様々な種類がいますが、いずれのテールタイプも同じ学名です。

 

ベタ トラディショナル トラジショナル トラベタ

尾びれがスペードのような形の「トラディショナル(トラジショナル)」タイプ。
「ノーマル」とも呼ばれ、ショウベタのなかではもっとも安く、よく流通しています。
最近はカラーにこだわり、価格がやや高い場合もあります。

 

ベタ ダブルテール ショウベタ

ダブルテールベタ(DT)。尾びれが根元から2枚に分かれています。
ハーフムーンなどと交配し、より大きくひれが開くダブルテールを「フルムーン」と呼びます。
トラディショナルの次に安いショウベタでが、フルムーンになると価格が上がります。

 

ショウベタクラウンテール

ヒレの柔条(軟骨)が突出した「クラウンテール(CT)」タイプ。
ハーフムーンと交配した「ハーフサン」、柔条が束のようになるタイプを「キングクラウンテール」などとも呼びます。
ノーマルのクラウンテールはダブルテールと同じぐらいの価格で、キングクラウンテールやハーフサンなどは高級な部類に入ります。

 

ショウベタデルタテ スーパーデルタール

ヒレが扇型に広がる「デルタテール(DT)」タイプ。
とくに大きくヒレが広がるものを「スーパーデルタ(SD)」と呼びます。
ハーフムーンよりやや安いですが、最近ではハーフムーンになりきれなかった優良個体も多いので、注目の品種です。

 

ショウベタハーフムーン フレアリング

扇型の尾びれが、180°開く「ハーフムーン(HM)」タイプ。
尾びれの開きが180°を大きく超す個体を「オーバーハーフムーン」とも呼びます。
ヒレが長い品種のなかで、カラーミックスにおいては価格がもっとも高いベタです。

 

ショウベタプラカットコイ

ひれが短いタイプの「プラカット(PK)」。
胴体が太く、たくましいのが特徴で、昔は賭けの闘魚に使われていた品種。
近年は色の改良が進み、ヒレも短いながらハーフムーンやクラウンテールを表すものもいます。
流通量が他に比べて少なく、価格も高いものが多いです。

 

 

別名:「闘魚」 「改良ベタ」 「ショウベタ」

まさに闘う魚で「闘魚」です。
縄張り意識が強く、オス同士で激しく戦う習性がその由来です。
原産国のタイでは、いまでいうプラカットタイプのオス同士を戦わせて、勝敗を賭けの対象にしてきました。

より強いベタを作るうちに美しい発色が生まれ、現在では強さよりを美しさを重視して繁殖を重ねられるようになり、様々なヒレの形や色を表すようになっています。

その後美しさを競うコンテストも世界各国で開催され、「ショウベタ(ショーベタ)」と呼ばれるようになりました。

 

 

原産地:なし(改良種) 

ショウベタは改良種のため、本来野生には存在しない魚です。

タイやインドネシアなどのファームで繁殖させた固体が日本に流通しています。

ショウベタの基になっているベタ スプレンデンスの原産地は主にタイのメコン川流域の湿地帯で、ベタはタイの国魚に選ばれているほど国民的な魚です。
最近では、改良種のベタの流入により、原種の形質が変わる遺伝子の混濁が問題になっています。

 

 

体長:6cm程度

頭の先から尾の先までで、おおよそ6cm程度と比較的小型の魚です。
その大半がヒレで、頭の先から尾の根元まではおおよそ3~4cmです。
プラカットタイプはヒレこそ短いものの、ボディが大きく、体長は5cmほどです。

メスはおおよそ3~4cm程度で、ヒレは全体的に短くなっています。

 

 

適切水温:25~28℃

タイの年間平均気温はかなり高く、そこで生活するベタも高水温が適しています。

ボトルでも飼育できるほど丈夫な魚ですが、ヒーターが設置しにくくなるので、やはり水槽で飼育する方がおすすめですね。

生体への負担を考えると、1年を通して25~28度程度で推移させておくのが安心です。

 

 

適切pH(ペーハー):弱酸性or弱アルカリ性

原種のベタ スプレンデンスの生息地は弱酸性の水なので本来弱酸性の飼育水が適しています。

ただし、一部ベタファームでは中性~弱アルカリ性の水でブリードしているため、成体になってもその性質を好む場合があります。

急激でなければpHの変化は問題ないので、体色が落ちている場合などに、pHを調整してあげるといいでしょう。

 

 

寿命:3年~5年

小型の魚なので、寿命は比較的短いです。

生後半年ほどの比較的若い固体が流通するので、購入後も3年程度は飼育することが可能です。

 

 

参考価格:300~数万円

比較的価格の安いトラディショナルベタは、おおよそ300円程度から流通しています。

ただし、プラカットタイプやハーフムーンなどの改良種の特異なカラ-では、数万円ほどの値が付くこともあります。

とくに、新しいカラーやヒレのタイプが発現したときには、価格が高騰します。

 

 

混泳:原則不可

ベタはとても攻撃的な魚なので、同種のオス同士を1つの水槽で飼育することはできません。

別の水槽にいても見える位置にいるだけで威嚇し、ストレスになるので、目隠しなどが必要です。

 

 

好んで食べる餌:「ベタフード」 「冷凍アカムシ」 「イトメ(イトミミズ)」など

専用のフードがあるので、基本的にはベタ専用フードのみで問題ありません。

冷凍アカムシや、活イトメなども喜んで食べますが、消化器官が弱いので便秘になることもあり注意が必要です。

 

 

飼育下での繁殖:やや難しいが可能

改良種なので、飼育下でも繁殖が可能です。

「バブルネストビルダー」と呼ばれる方法で、泡で巣をつくり、オスが育児をする繁殖方法を取ります。

主にオスとメス一対で繁殖させますが、同種に対しても攻撃的な魚なので繁殖はやや難しく、オスメスともにヒレを痛めることが多いです。

とくに、オスに攻撃されることで繁殖行動に入るメスは傷を負いやすく、最悪死んでしまうことがあります。

 

 

優しい熱帯魚さんからワンポイント

ベタはとても丈夫な魚です。
少ない量の水でも飼育でき、ぶくぶくも必要ありません。

ただ、それを過信しすぎて劣悪な環境で飼育されるベタが多いのも事実です。
ベタも水の量が多いほうが健康維持に有効で、管理もしやすいので、ある程度サイズのある容器で飼育したほうがいいでしょう。
長く美しいヒレは傷つきやすく、一度傷つくと直らないこともあります。

ベタの健康はもちろん、ヒレの維持にも注意して飼育してあげてくださいね。

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