繁殖前に知りたかったベタのペアリング・お見合いのコツ

繁殖前に知りたかったベタのペアリング・お見合いのコツ

ベタは闘争心の強い魚で、繁殖時のトラブルも多いです。

トラブルを防ぎ、繁殖を成功させるためにはペアリングの「お見合い」と言われる段階が必要ですが、お見合い事態に失敗してしまったり、どうしたら成功なのかわからないという方もいますよね。

そこで今回は、管理人がベタを繁殖させる前に知りたかったペアリングのポイントを解説します!

ペアリングの方法

まずは基本的なペアリングの手順について解説します。

もちろん方法はこれだけではないのですし、ぶっちゃけもっと乱暴なやりかたでも成功しますが、あくまで飼育下で観察を前提に、飼っている大切なベタに極力ダメージが少ない方法を解説します。

①繁殖用水槽を用意し、オスを入れる

まずは繁殖用の水槽を立ち上げて、オスを入れましょう。

繁殖用水槽は最低でも幅20㎝、水深が10㎝程度のものがいいでしょう。

ただし、稚魚をそのまま飼育することを考えると、水質維持には水量が多いほうがいいです。

一方で、大きすぎる水槽では、オスメスが蜜に接することができなくなるので、繁殖成功の確率が落ちてしまうこともあるので、大きさのバランスを考えましょう。

水質としては、当サイトでは弱アルカリ性の飼育水も試すよう進言していますが、繁殖についてはブラックウォーターで弱酸性の水をおすすめします。

オスはどちらの水質でも繁殖行動に入りますが、メスの産卵率がブラックウォーターでは非常に高くなります。

②オスが落ち着くまで待つ(泡巣を作ればベスト)

オスを繁殖用水槽に移し、すぐにお見合いを始めるのは得策とは言えません。

ただでさえ環境が変わってストレスを受けているのに、そこに別な魚(メス)が現れても、ストレスで攻撃性を出してしまう可能性が高いからです。

まずは一晩、落ち着くための時間を作ってあげて、それからメスを隔離した状態で入れてあげましょう。

このときに、泡巣を作るようなら、繁殖の準備ができている成熟したオスである証明にもなります。

もしヒーターの陰に隠れて動かなかったり、あまりにグイグイ泳いで興奮しているような状態が見られるなら、もう少し時間をおいて様子を見てあげましょう。

③ボトルや袋に入れてメスを水槽に入れる

オスが水槽になじんだら、メスを隔離した状態で水槽に入れます。

この時のポイントは2つ。

まずは水槽内の水が、メスの隔離ボトルや袋に穴をあけ、水槽の水と循環するようにすること。

論文などを見つけたわけではないのですが、魚もフェロモンによって交尾に入るので、オスもメスもお互いの存在をにおいでも感じられるようにするため。

実際、メスはオスの作る泡巣の成分によって繁殖を促されるという実績があるそうです。

もうひとつは単純に隔離ボトルの中の水質悪化を避けること

場合によっては、1週間程度様子を見ることもあるので、ただボトルの中にほおっておくというわけにはいきません。

穴をあけて循環するようにしても、やはりアンモニアなどは滞留してしまうので、定期的に水槽内の水と入れ替えたり、フンや餌の食べ残しを除去してあげるようにしましょう。

タイのベタファームでは、この工程をすっ飛ばしていきなり水槽にメスを放つこともありますが、怯えたメスが不要に逃げまどい、オスメスどちらもケガをしたり、体力を消耗して死んでしまうこともあります。

効率ではなく、魚の生存率や健康を考えるのであれば、やはり隔離してのお見合いはしたほうがいいでしょう。

④オスがメスになじむまで待つ

水槽に入れたメスは、隔離状態でもしばらくは怯えてオスを避けるような様子が見られるでしょう。

しばらくするとメスはオスの存在に慣れてきますが、オスはひどく興奮している場合があります。

興奮しすぎたオスはメスをボロボロにしてしまうので、まだ一緒にするのは待ったほうがいいでしょう。

オスメスそれぞれ相手の存在になじんで来たら、水槽内にはなって交尾を待ちます。

ペアリング失敗の原因

ベタ 尾ぐされ 病気

この手順に沿ってペアリングを行っても、100%繁殖が成功するとは限りません。

むしろ、初産のペアにかんしては失敗のほうが多いように思います。

絶対に成功させる方法はありませんが、失敗しやすいシチュエーションはあるので、以下のような兆候があるときは、仕切りなおすか別なベタを用意したほうがいいでしょう。

ペアのどちらかが未成熟

繁殖に挑むオスメスどちらかが未成熟の場合、ペアリングは失敗しますし、繁殖に入っても産卵に至らないことが多いです。

オスが未成熟の場合、交尾がうまくいかずに無精卵の確率が上がったり、そもそも攻撃してしまってメスを痛めつけてしまう場合があります。

とはいえ、自家繁殖でなければ売っている個体は十分成熟していますし、自家繁殖できる方はこのサイトに来ないかと思うので大丈夫でしょう。

メスが未成熟の場合、繁殖行動に入ろうとせず、逃げ回ることがあります。

ベタも肉食魚なので、逃げ惑うものにたいしては獲物をしての認識が強くなり、ケガをさせてしまうだけになってしまうことがあります。

とくにお店に売っているメスは若い個体が多いので、メス選びは慎重に行ってあげてくださいね。

オスが興奮しすぎる

これは性格的な問題ですが、オスがやる気過ぎて執拗にメスを追いかけまわしたり、付きっ切りでフレアリングしたりして、メスを怯えさせてしまう場合があります。

この場合はメスには少し耐えてもらって時間をかけて隔離お見合いさせるか、いっそ一度仕切りなおすのもいいでしょう。

経験上それで繁殖できなかったというオスはほとんどいないので、じっくり時間をかけて、丁寧にお見合いさせることで成功につながります。

メスがフレアリングする

ベタのメスは比較的おしとやかで、メス同士での混泳もできます。

しかし、まれにメスもオスのように攻撃性を出すものがいて、これを「オス化」と呼びます。

オス化してしまったメスは繁殖には適しておらず、オスに対して喧嘩をふっかけて、繁殖に入ることはまずありません。

この場合は残念ですが、別なメスを用意したほうがいいでしょう。

水槽の環境が整っていない

水槽の環境が整っていない場合、オスもメスも繁殖行動に入らないことが多く、産卵しても卵が孵化しない可能性もあります。

重視するべきは「水温」と「水質」「周辺環境」です。

水温に関しては、比較的高めをキープしておくようにしましょう。

理想は28度程度ですが、卵にカビが生えてしまう可能性が高くなるので、26度程度にしておくといいでしょう。

水質に関しては、すでに解説しましたが弱酸性のブラックウォーターがおすすめです。

ただの弱酸性ではなくブラックウォーターにしてあげることで、メスの反応がまったく違うので、アンブレラリーフなどを用いてブラックウォーターを再現しましょう。

また、繁殖用水槽からほかの魚などが見えるのもストレスになります。

オスが非常に気の立った状態になるので産卵に至らず、産卵した後に食卵してしまうこともあります。

管理人宅でも何度やっても食卵してしまい、よくよく原因を探ってみると、少し離れた場所のザリガニの水槽にストレスを感じていたようで、目隠しをすることで成功した経験があります。

お見合いが成功した合図は?

お見合いは、ただ一定時間させればいいというわけではなく、お見合いが成功したかはベタの様子から見て取れます。

とくに、繁殖に成功しやすいペアはどちらかの態度と取ります。

もちろんこうでなければ絶対に失敗するわけではありませんが、なるべくベタに負担をかけない繁殖を目指すなら、以下のような様子のペアを選ぶと安心です。

オスが「交尾のためのフレアリング」をしている

ベタのフレアリングというと、鏡を見せて攻撃を誘発させる方法が一般的です。
しかし繁殖させる場合には、また別なフレアリングを見せてくれます。

攻撃する場合のフレアリングはヒレを開いて、相手に正対して顔を突きつけるようにフレアリングしますよね。

横を向くときもグッとヒレを開いて、胸ビレだけでスーッと泳ぎます。

繁殖のためのフレアリングは少し違って、メスにたいして横向きで、ヒレを開いて体を柔らかく使います。

ヒレを開いたままクネクネと体を揺らして、まさに誘惑するような動きをします。

この違いを見極めるのが重要で、後者はメスを交尾の相手として認識していますが、前者は敵として認識した行動です。

誘惑するようなフレアリングをしている場合は、オスが繁殖の準備ができている可能性が高いです。

オスがメスを、メスがオスを無視する

水槽に離すタイミングに関しては、オスがメスを交尾の相手として認識している前提で、お互いが少し落ち着いている状態が理想的です。

誘惑するフレアリングをしていたとしても、あまりにメスの固執するオスをメスは嫌うので、メスが逃げまどって繁殖が失敗してしまう可能性が高いです。

すでに解説していますが、オスがメスにちょっと興味を失って、泡巣の下に入ったり、すこしメスから距離を置いている状態が好ましいです。

メスに関しても、逃げ惑うとオスの攻撃を誘発してしまいます。

オスがフレアリングしても、逃げたり暴れたりしない状態になっているのが好ましいです。

我が家の前回の繁殖でも、この2つの条件が整っていたので、オスメスともども無傷で産卵にこぎつけました。


以上が、ベタの繁殖でペアリングするときに注意するポイントです。

ベタの繁殖ではペアリングがとくに重要で、大切にしているベタをなるべく傷つけず、死なせないためにはもっとも気を遣ってほしいポイントですね。

今回は繁殖させたいペアがいる前提での解説でしたが、ベタへのダメージを最小限にするのであれば、ペアの相性が最も重要だと考えます。

初産であっても、しっかり成熟し、繁殖の準備ができているペアであればスムーズに産卵に入ることができます。

アクアリウムの最大の楽しみは観察ですので、無理な繁殖は避け、安心して観察できるペアを見つけて繁殖させてあげてくださいね。

優しい熱帯魚さんサテライトでは、ベタの繁殖についての記事をどんどんアップロードしていますので、ぜひ他の記事も参考にしてください。

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