皆さんがよく知るベタはショーベタと呼ばれる改良種で、本来の体格よりヒレが大きくなっています。いわば不自然な体形なので、それを維持するには人の管理が必須です。今回はその体格を維持するために大切なフレアリングについて、ベタブリーダーが解説します!
ベタの健康にはフレアリングが必須!
ベタのオスは攻撃性の強い魚で、ケンカしてしまうため同種同士のオスでの混泳は厳禁です。
ベタのケンカでは、自分の体を大きく見せて敵を威嚇します。
その行為を「フレアリング」と呼びます。
ケンカの行為というとよくない事のように思いますが、じつはこのフレアリング、ベタを飼育するうえでは必須の行動です。
便秘を防ぎヒレの状態を維持する!
ベタは小さい水槽で飼育されることも多いですし、そもそもあまり活発にグイグイ泳ぎ回る魚ではありません。
その要因の一つには、品種改良でヒレを大きくしてしまったことにもあります。
ベタは本来ヒレの短い魚で、いわば大きなヒレは本来の体系ではありません。
このため、長い期間ヒレを使わないと固着してしまい、開かなくなってしまうことがあるのです。
それを防ぐために、定期的なフレアリングは必須です。
また、ベタは消化器官の弱い魚で、よく便秘を起こします。
ベタの便秘は生死にかかわるほど負担が大きく、なるべく予防してあげるのが理想的です。
餌の種類や頻度を調整してあげるほかに、体を動かせて排便を促すのも有効で、その方法がフレアリングです。
また、そのベタの色やひれの形を見て楽しむこともできます。
このように、ベタの飼育にはフレアリングは必要な管理の一つといえますね。
フレアリングさせないとどうなる?
では逆に、フレアリングさせないとどうなってしまうのでしょうか。
まずは紹介したように、ヒレの固着を起こすことがあります。
ヒレが一度固着してしまうと、ほとんど戻ることはありません。
固着したヒレは病気になりやすく、それがきっかけで死んでしまうこともあります。
そのほかにも、フレアリングなど刺激のない生活をしていると活発さがなくなり、繁殖できなくなってしまったり、人間でいうと鬱のような状態になるベタもいます。
生涯元気に生きてほしいなら、やはり適切な方法でフレアリングさせてあげるのが望ましいでしょう。
フレアリングの基本的な方法と注意点
ベタを飼育するならぜひするべきフレアリングですが、やりすぎたり、やりかたを誤ったりするとそれ自体が負担になってしまうこともあります。
注意点を覚え、基本的な方法でフレアリングしてあげましょう。
鏡や別のベタを見せよう
フレアリングは威嚇なので、敵がいなければすることはありません。
基本は、水槽の外から鏡を見せて敵だと勘違いさせたり、ベタを複数飼育しているなら水槽同士を近づけてお互いを見せてあげるなどの方法があります。
間違っても同じ水槽に入れないであげてくださいね。
ちなみに、メスを見せてもフレアリングすることがあります。
繁殖を促す場合には、メスをカップなどに入れて隔離し、オスの水槽に投入する方法もありますが、長期間興奮状態になってしまうため、普段の管理としてのフレアリングでは避けたほうがいいでしょう。
まれに飼い主さんの顔を見てフレアリングすることもありますが、もちろんそれでも問題ありません。
ただし、あまり頻繁にフレアリングさせないよう注意してあげましょう。
時間は短めを厳守
フレアリングさせる時間は、長くならないように注意しましょう。
あまりに白熱してフレアリングしていると、ヒレが裂けてしまったり、体力を消耗して弱ってしまうこともありますし、慣れてフレアリングしなくなったりします。
生き物なのでこれといった基準はなく、あまりに興奮しやすいベタや、年老いたベタは短めにしてあげましょう。
あくまで様子を見ながらですが、私は基本的に2~3分程度で留めています。
頻度は週に数回
フレアリングしているベタは命がけなので、かなり体力を消耗します。
このためさせすぎはリスクになり、時にはけがをしてしまうこともあります。
こちらもこれといった基準はありませんが、私は週に3~4回、中1日のイメージで行っています。
ただし、ベタのヒレが病気やケガで損傷している場合、その間はフレアリングは避けてあげましょう。
フレアリングによって損傷が大きくなってしまう可能性があるためです。
フレアリングしないベタの対処法
まれに、鏡や他のベタを見せてもフレアリングをしないことがあります。
上記したとおりフレアリングをしないのもよくないですし、もしかするとなにか不調をきたしている場合もあります。
なるべく対処してあげて、健康にフレアリングしてくれるようにしてあげましょう。
ショップで「敵慣れ」してしまった可能性
よくあるのが、ショップでキープされている間、隣のベタが常に見えている環境にあり、ほかのベタに対して慣れてしまっていることがあります。
この場合はまずベタが落ち着ける環境を作り、しばらくフレアリングはさせなくて大丈夫です。
その後、週に1回程度鏡を見せてあげて、気長にフレアリングしてくれるのを待ちます。
場合によっては、活イトメなどを入れてあげることでテンションが上がり、それをきっかけにフレアリングすることもあるので、活イトメを見かけたらぜひ入れてみてください。
また、慣れてしまう原因は、「見えていても近寄ってこないので無害」と思い込んでいる場合もあるため、ベタに害を及ばさないタンクメイト(コリドラスなど)を入れてあげることで、外敵という存在を思い出してフレアリングすることもあります。
ただしタンクメイトが攻撃されるようなことがあれば、すぐに別な水槽に移してあげられる環境を作ってあげてくださいね。
病気の可能性
病気で体調を崩している場合、基本的にベタはフレアリングをしません。
外見からわかりやすい異常があれば対処しやすいのですが、必ずしもそうとは限りません。
もしエサ食いが悪かったり、発色が悪いなどの小さな異変があれば、早目に対処してあげたいですね。
まずは塩を入れるなど負担の少ない処置をしてあげて、もしその後明確に病気の兆候があればそれぞれの対処をしてあげます。
病気については魚病薬を販売しているニチドウさんのWebサイトで詳しく紹介されているので、そちらをチェックしてみてくださいね。
http://www.jpd-nd.com/n_jpd/shinryo/shinryo.html
鏡から逃げる場合
もし、鏡を怖がってフレアリングしない場合は、かなり臆病な性格で、以前なにか怖い思いをした可能性が高いです。
その場合はフレアリングが負担になってしまっているので、無理にしなくていいでしょう。
じつはベタの本場タイでは、あまり鏡を使うフレアリングはさせません。
ではなにでフレアリングさせるかというと、ほかのベタを見せるのはもちろん、ガチョンというベタ専用の網の柄に飾りがあり、それに対しフレアリングさせています。
魚に対しておびえてしまうベタも、自分よりはるかに小さいガチョンの柄なら怖がらない可能性もあるので、もしガチョンが手に入るなら試してみるのも一つの方法です。(ガチョンとして売られていても飾りがない場合もあるので要注意)
また紹介した通り、メスを見せることで交尾のためのフレアリングをすることもあります。
今後繁殖を想定しているのであれば、メスのベタを購入し、一度お見合いさせてあげるのもいいでしょう。
まとめ
このように、ベタとフレアリングは切っても切れない関係で、飼育するうえで大切な管理の一つです。
私自身、フレアリングさせてやっとベタの以上に気づくこともありますし、1000匹以上のベタとかかわってきた今でも大切にしている管理です。
しかし適当にやってしまえばフレアリング自体が負担になることもあります。
しっかりベタの様子を見ながら、あくまでベタのために行ってあげてくださいね。
やさしい熱帯魚さんサテライトではベタブリーダーをはじめ、全国のベタマニアからの情報を掲載していきますので、ぜひまた遊びに来てくださいね!