ベタは繁殖する姿も美しい魚ですよね。
オスがメスを抱きかかえて産卵させ、オスが稚魚を育児する姿は、ベタ好きなら一度は見てみたい光景でしょう。
繁殖に必要な準備の一つとして、泡巣があります。
ベタが口に含んだ空気を積み上げて、もこもこに盛り上げる産卵床ですね。
しかしまさに水の泡なので、よく注意しないと崩れてしまいますし、崩れてしまえば産卵がうまくいきません。
というわけで今回は、ベタの泡巣が壊れてしまう原因と、その対策法をベタのホームブリーダーが解説します。
原因その1.オスが成熟していない
泡巣は成熟したベタしか作らないので、若いベタだとなかなか作らないことがあります。
流通しているベタはおおよそ6か月程度の個体が多いですが、個人的にはこれは泡巣を作るか作らないかのボーダーにいる時期だと思います。
まずはしっかり飼育し、十分に育ててあげましょう。
生後8か月以上のベタが理想的
これも個人的な意見にはなってしまうんですが、繁殖させるなら、最低限8か月以上の個体がおすすめです。
家庭飼育下での成長は、ベタファームでの成長よりも遅いですが、それでも8か月しっかり育成すれば十分繁殖に対応する体力と体格に育ってくれます。
もちろん、お店で買うベタは正確に何か月の個体かわかりませんが、体調を整えたり、環境に慣れさせることも考えれば2か月は待ったほうがいいかもしれませんね。
この時期に隣のベタが常に見える状態などで飼育されていると、そもそも自尊心のようなものが失われて泡巣を作らなくなることもありますが、その後しっかり飼育すればしっかり作ってくれるようになります。
メスを見せて繁殖を意識させよう
生き物の成熟は体が大きくなるだけではありません。
泡巣作りもそのひとつですが、行動的にも変化が出て、それはただ時間が経つだけでは成長できないこともあります。
とくに繁殖のきっかけになりえるのがメスの存在で、これまで単独で飼育されてきたオスのベタにとっては大きなきっかけになります。
もちろんいきなり一緒にしてしまえば喧嘩のリスクがあるので、見える状態で水槽内に隔離してあげることも必要です。
筆者が今回繁殖させようとしているベタも、泡巣をなかなか作ってくれなかったのですが、メスを見せるとこんなに立派な泡巣を作り上げてくれました。
原因その2.ベタの元気がない
泡巣作りはかなりアクティブな行動なので、ベタに元気がなければやることはありません。
お店でベタを買うときも、泡巣を作っているオスを選ぶのが基本になりますよね。
泡巣はどんどん補充しなければ小さくなってしまうので、活動が活発でないと泡巣がどんどん壊れてしまいます。
もちろん飼育しているときにも、ベタが元気に生活できるような環境を作ってあげなければいけません。
エサと水温にこだわろう
ベタはかなり丈夫な魚なので、厳密に水質を維持しなくても好調でいてくれますよね。
こだわるべきはエサと水温で、これだけをしっかり管理するだけでも、十分元気に飼育できます。
エサはベタの専用餌で十分です。
ひかりベタなどでも健康維持には十分で、かえって栄養豊富な赤虫などを中心にすると消化不良も起こしやすくなります。
水温に関してはやや高めの27~28度がいいですが、26度設定のオートヒーターでもまったく問題ありません。
出力が大きすぎると、水槽内での温度差が大きくなるので、なるべく小さいものを選んであげましょう。
最近はベタ専用にやや温度設定が高いヒーターも発売されていますね。
塩を入れるのも効果的
ベタの不思議なところの一つですが、淡水魚でありながら塩が少し溶けだした水を好むことがあります。
これは原産地が塩害で海水の染み出したエリアにあるというのも一つの要因かと思いますが、淡水で繁殖したホームブリード個体も同じです。
海水並みに入れる必要はなく、10Lに大匙1~2杯程度で十分です。
食塩でもOKですが、ミネラルを豊富に含んだ海水の元を使うとよりいいでしょう。
原因その3.水の濃度が足りない
せっせと泡巣を作っていても、泡がすぐに散ってしまい、巣にならないこともありますよね。
これもよくあるのですが、この場合は対処法は比較的簡単です。
単純に水に濃度がなく、泡を維持できていないだけなので、水質を調整してあげることですぐに立派な泡巣を作ってくれるでしょう。
ただし、急激に水質を変化させてしまうと、体調を崩して泡巣を作らなくなってしまうので、ゆるやかに慎重に調整してあげてくださいね。
水替えの頻度を落とそう
ベタは水流を嫌いますし、泡巣を散らしてしまうのでろ過フィルターは設置しないことが多いですよね。
その代わりに、水替えを頻繁にして汚れを除去することも多いかと思います。
しかし水替えをすると水に溶けだした不純物が少なくなり、泡巣の維持が難しくなります。
バクテリアの維持のためにも水替えの頻度を落とし、フンや食べ残しはスポイトでこまめに取り除いてげましょう。
アクアセイフを入れてみよう
どうしても水替えの頻度を落とせない場合には、添加剤で水の濃度を上げてあげるのも有効です。
個人的におすすめなのはテトラのアクアセイフで、ベタの健康維持にも効果的です。
ただしアクアセイフにはpHを下げる効果もあるので、規定量そのまま入れてしまうと水質の変化が激しいです。
泡巣の維持にアクアセイフを使うなら、規定量の1/3~1/5程度で十分です。
ヤシャブシやマジックリーフを入れてみよう
これは割と有名なアイテムですが、ベタにヤシャブシの実やマジックリーフ(アンブレラリーフ、モモタマナの葉)を入れるのが有効と言われていますね。
水質を弱酸性にしてくれるのがその理由ですが、ベタは弱酸性の水が適しているとは限りません。
ただ泡巣には有効で、水に成分が染み出すことで、泡巣の維持がしやすくなりますし、マジックリーフなら浮いている状態で泡巣のベースになってくれるので有効です。
アクアセイフもですが、アルカリ性を好むベタの場合には適さないので、水替えの頻度を落とすなどして対応しましょう。
原因その4.テリトリーが定まっていない
ベタはテリトリーの狭い魚で、決まった場所に泡巣を作り上げます。
そもそも水槽が小さいからかもしれませんが、あまり2か所に泡巣を作るベタは見たことがないですね。
つまり自分のテリトリーが定まっていない状態だと、泡巣を作る場所も決めかねていている、ということも考えられます。
水槽が大きすぎ?
ベタは小さい水槽で飼育されてかわいそう、と言われることもありますが、広すぎるとベタにとってデメリットも多いです。
泳ぎすぎてヒレが切れてしまうこともありますし、テリトリーが定まらず落ち着かないこともあります。
繁殖するときは、メスの逃げ場所を考えてある程度広い水槽に移しますが、なるべく狭いほうが成功率が高いように思います。
筆者も置き場所の関係などから繁殖用水槽は同じ大きさに固定したいのですが、泡巣を作らないけどこの個体を繁殖させたい!という場合には、水槽のサイズを変えてチャレンジすることがあります。
今回の繁殖水槽は、Qboxという昆虫飼育用のコンテナです。
泡巣のベースを入れてあげよう
泡巣といってもしょせん水泡なので、どんどん作っても散っていってしまうことがあります。
これも対処は簡単で、泡巣をまとめてくれる基礎になるものを入れてあげると、泡巣を作りやすく、テリトリーを意識しやすくなります。
先述したマジックリーフもおすすめですが、長く浸していると沈んでしまうので、人工物で作ってあげるのもおすすめです。
今回繁殖の準備をしている水槽では、発泡スチロール板を切り抜いたものを入れていますが、その付近になぜか外して泡巣を作っていますね。
どうしても耐久性がないので別なものも模索していますが、たいていのベタが発泡スチロールを好んで泡巣を作っています。
以上が私がベタを繁殖させるときに、立派な泡巣を作らせてあげるための環境です。
少し特殊なものもありますが、基本は環境を整えてあげることにあります。
体調さえ整えて、基本的な飼育方法を守れば普段の飼育の中でもしっかりと泡巣を作ってくれることがありますよね。
まずは基本の飼育方法に立ち返り、それでもだめなら工夫してあげましょう。
管理人も繁殖をさせているので、その経過も紹介できればと思っています。
ベタの繁殖に興味のある方は、ぜひまた当サイトに遊びに来てくださいね。