Q.アカハライモリの混泳といじめの対処法は?原因と対処法をプロが解説

Q.アカハライモリの混泳といじめの対処法は?原因と対処法をプロが解説

元熱帯魚屋さん店員が、皆さんの質問にお答えするコーナーです。

今回はぽーちゃんさん(20代男性)から、アカハライモリの複数飼育について質問をいただきました!

1ヶ月くらい前にアカハライモリを飼育している友人から何匹か譲ってもらい、自宅の水槽で5匹のアカハライモリを多頭飼いしています。

多頭飼いが出来るということは友人からも聞いていたし、両生類の飼育解説サイトなどでも見て知っていたのですが、どうやら1匹だけやけに他の個体から噛みつかれています。

その噛みつかれている個体は、他の固体に比べて少し小さいのですが、いったんその1匹だけ隔離して餌を多めにやり、他の個体と同じくらい成長したら戻しても良さそうでしょうか?

とりあえず隔離して、飼育環境の見直しと性別を確認してみましょう!

アカハライモリ、私も大好きな生き物です。

日本にも生息する生き物なので、飼育も簡単で、表情愛くるしくて最高です。

餌を見つけたとき、見つめながらゆっくりゆっくり近付いて、食いつく勢いで後ろに飛んでいく姿なんて一日中見ていてもいいほどですね。

アカハラ愛を語るのはこのへんにして、質問をまとめてみましょう。

アカハライモリを5匹多頭飼育し、うち一匹だけいじめられているという状態ですね。

体格も小さく、それもいじめに拍車を掛けている可能性がある。

これはさまざまな対策と原因が考えられるので、順を追って原因を考えてみましょう。

そもそもアカハライモリの多頭飼育はOK?

アカハライモリ


ぽーちゃんさんがお調べになったとおり、アカハライモリは多頭飼育が難しくない生き物です。

お店でも飼育ケースに複数匹入れてキープしている様子が見られますね。

私のお店でもアカハライモリは人気だったので、とくに冬眠前の時期には少し多めに入荷してキープしていました。

しかし本質としては肉食動物なので、同居している仲間へ攻撃する可能性も考えて飼育しなければいけません。

喧嘩はかなりまれでしたが、たしかに小さい固体がターゲットになることが多かったです。

多頭飼育を検討している方は、なるべくサイズ差のない個体をそろえてあげるといいかもしれませんね。

まずは隔離しましょう

ぽーちゃんさんがおっしゃるとおり、まずは隔離が必須です。

一緒に飼育している他のアカハライモリに比べて小さいということは、うまく餌が食べられていない可能性が高いです。

アカハライモリは非常に飢餓に強い生き物ですが、それでも限界はありますし、もし内蔵系の疾患が原因で成長が遅れているとすれば、混泳水槽で他のアカハライモリに成長が追いつくことは無いと考えていいでしょう。

噛み付かれて、もし傷があるようであれば水はきれいに保ちましょう。

傷にも強いですし、あまり病気をしないアカハライモリですが、水カビ病にはやや弱いので、発症しないよう配慮してあげると安心です。

餌は通常通りでOKです!


なるべく早く大きくしてあげて、みんなと同じ水槽に戻してあげたいと考えておられるようですね。

ただ、餌の量を増やすのはちょっと待ったほうがいいです。

もし内蔵が弱く、うまく消化できないのだとすれば、餌を増やしたことが負担になり、逆に弱ってしまうことも考えられます。

また量を増やしたからといって成長度合いが上がるわけではなく、太る原因になってしまいます。

あくまでいつもどおりの量でOKです。

可能であれば、アカハラフードを中心に、たんぱく質の多い冷凍餌(赤虫・糸ミミズなど)を組み合わせてあげることで、傷の治りを助けられます。

同じ水槽に戻して大丈夫?

親心としてはやはり仲間の下に戻してあげたい気持ちもありますが、基本的にはやめておいたほうが安心です。

もし、他のアカハライモリよりも泳ぎが下手だったり、餌を食べるのが下手なのが成長が遅い原因だとすると、多頭飼育に戻すとまた餌が取れなくなる可能性もあるからです。

戻すとしても、一時的にお試し期間を設けて、問題ないのを確認してからのほうがいいですね。

同時に、5匹が十分に隠れられるよう、少し多めに隠れ家も用意してあげるといいでしょう。

いじめられる原因は?

アカハライモリ


では、そもそもケンカしたり、いじめられる原因は何なのでしょうか。

アカハライモリは元々温和な生き物なので、比較的ケンカの原因を突き止めるのは簡単です。

それぞれ解説しますので、ひとつひとつつぶしこんで対策してあげてくださいね。

水槽が小さすぎる?

まず考えられるのが、水槽のサイズです。

アカハライモリは餌だと認識するととりあえず噛み付いてみるので、目に入る範囲に別なアカハライモリがいるとかじってしまう可能性が考えられます。

小さい固体や弱っている個体は逃げ切れず、かじられてしまうリスクも高いことも予想できますね。

また、タンクメイトを完全に敵として認識してしまっている場合、あえて攻撃しに行く可能性もあります。

目に入る確率が高いと噛み付くリスクも上がるので、少し大きめのサイズの水槽を用意して、簡単にレイアウトしてあげてはいかがでしょうか。

5匹飼育するなら、理想を言えば60cmぐらいの水槽を用意してあげましょう。

どうしても水槽サイズが用意できない場合は、水草やアクセサリーなどで、「高さもスペースとして行かせるレイアウト」を組むのもかなり有効です。

本家サイトでアカハライモリは水陸上下に遊べるレイアウトをしてみたので、よければ参考にしてください。

餌が少ない・分配できていない

アカハライモリは大食漢で、餌をあげすぎて親指のように太った個体もたまに見かけるほどです。

つまり食欲が旺盛なので、餌が少ないと、食欲から他の個体をかじってしまっている可能性もあります。

とくに5匹となるとうまく全員が満足する量をあげるのは難しいので、もしかすると餌が十分にいきわたっていないのかもしれません。

一匹ずつ丁寧に与えるか、こまめに餌を与えるなどの対処が必要になる可能性もあります。

オスメス間での喧嘩の可能性

自然界では、あえて同種を狙って攻撃することもまれで、平穏なアカハライモリの生活ですが、唯一他の個体と接触するのが繁殖期です。

繁殖期になると、野池でもアカハライモリがかたまっている姿を見られることもありますね。

この時期のアカハライモリは非常に攻撃的で、オス同士やメス同士での争いも起こります。

また、オスがメスに噛み付くこともあります。

繁殖期でなくとも、漏れ出した卵を餌だと思って食いつく固体もいます。

もしいじめられている個体がメスだとすれば、この可能性も考えられますね。

この場合は個別飼育にしたほうが間違いないでしょう。

まとめ:一人のほうが幸せかも?

アカハライモリ

アカハライモリは本来平和で多頭飼育も難しくない生き物ですが、今回のようにまれにケンカしたり、いじめが起こったりする可能性もあります。

アカハライモリは基本的にろ過装置がなくてもOKですし、隔離するのも簡単なので、トラブルが起こったらまずは隔離して様子をみましょう。

ケンカの原因にはさまざまですが、「水槽のサイズ」「餌の量」は最低限注してあげると安心ですね。

オスメス間のトラブルは、人間と同じで修復が困難です。

飼育しやすいというメリットを逆手にとって、その子にはその子が安心できる環境を作ってあげるのも、アカハライモリの幸せに繋がるかもしれませんね。

というわけで今回はこのへんで。

ぽーちゃんさんや、同じ悩みを抱えるアクアリストのみなさんのお役に立てれば幸いです。

今後もアクアリストのみなさんから質問にどんどんお答えしていきます!!

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