ベタはよく飼育される熱帯魚で、飼育下の寿命は飼い主によって左右されます。
かわいいベタの寿命を全うさせるには、飼い主さんの知識と管理が不可欠です。
今回はベタの寿命と、健康に飼育するためのポイントをベタブリーダーの私が解説します!
ベタの寿命は何年?
どんな生き物を飼うときも、その生き物と一生添い遂げる覚悟は必要です。
寿命が長い生き物はその責任も大きくなるので、買う前にあらかじめ知っておきましょう。
ベタの寿命は3~5年ほど
ペットフィッシュとしてもおなじみのベタは、おおよそ3~5年が寿命といわれています。
生き物の寿命は体の大きさにおおよそ比例しますが、体長5㎝程の魚としては一般的な寿命といえます。
飼育する際には、その寿命をまっとうさせられるようにしたいですね。
買ったベタは寿命が短い?
寿命は5年ほどですが、よく一年程度で死んでしまうという話も聞きますし、お店でも1年程度としている場合が少なくありません。
その理由は様々ですが、1つが流通している個体がすでに歳を重ねたベタである可能性があるためです。
たいていお店に並ぶベタは生後6か月ほどで出荷され、問屋を通して全国の熱帯魚屋さんに届けられます。
問屋さんで何か月キープされているか、お店に入荷してから買うまで何か月かかったかによっても残りの寿命は変わります。
ちなみに私のお店では、最長で1年以上お店にいたベタもいました。もはや看板魚ですね。
個体別に入荷日を把握するのは難しいので、お店ではその安全マージンを取って短めに紹介している場合もあるのでしょう。
一般的には入荷してからお客さんの家に行くまでに長くても生後1年以内になるので、お迎えしてから2年以上は生きると考えておきましょう。
ベタの健康を重視した飼育方法
では、その寿命を全うさせるにはどのような管理で飼育するといいのでしょうか。
ごく基本的な部分ではあるのですが、この5つのポイントがベタ飼育の柱ともいえるので、かならず意識して飼育環境を整えてあげてくださいね。
1.十分な水量のある水槽
魚の飼育では水槽がなければ始まりませんよね。
水槽は魚のサイズに合わせてなどシンプルに選びがちですが、じつはもっともっと気を付けるポイントがあります。
まず大切なのが水量。
人間からすれば小さな水槽は手入れしやすいのですが、水の量が少ない水槽では、汚れがたまりやすく、水質の変化が激しく、温度変化も大きく魚に取っていいことがありません。
しかしベタの飼育では、瓶やボトルでの飼育を勧められることも多いですよね。
実際、ベタは丈夫な魚なので、瓶やボトルでの飼育も不可能ではありませんが、これは管理をしっかりできる飼育上級者だからできることです。
とくに初心者の方は大きめの水槽がおすすめです。
具体的には最低でも5L以上、大きくても10L前後が適しています。
逆に大きすぎる場合、ヒレが異常に大きいベタでは泳ぐのが大変で、逆に弱ってしまうこともあるので要注意です。
2.落ち着ける環境
ベタはとても攻撃性の高い魚で、同種同士、そうでなくても外敵に対してかなり神経質な様子が見られます。
「敵がいる」という意識はストレスになるため、警戒心も高くなりますし、威嚇行動をとるので心身ともに休まりません。
ベタの場合「フレアリング」という行動がベタの健康にもつながりますが、これも敵意をもとにした行動なので、もちろんストレスになります。
ベタは比較的小さい水槽で飼育でき、管理も簡単なのでたくさん飼育することも多いですが、複数飼育する場合は隣のベタが見えないようにするのが基本です。
実際、常にほかのベタが見えている環境で飼育すると調子を崩しやすい傾向にありますし、ベタでなくてもほかの魚が見えないように安心できる環境に水槽を置いてあげましょう。
3.適切な温度管理
ベタは暖かい地域出身の魚なので、日本の気温では寒すぎることがあります。
適温は27度前後なので、とくに冬時期では室温では足りないこともありますよね。
基本的には熱帯魚用のヒーターを設置することになりますが、小さすぎる水槽であればヒーターの設置が難しい場合もあります。
このため、ヒーターの対応する水量とスペースを確保できるよう最低でも5Lの水槽をおすすめしています。
熱帯魚の温度管理では温度の変化が注意点になるので、ヒーターはできれば年中入れておいたほうが安心です。
温度が上がりすぎないか心配する方もいますが、基本的には設定温度になったときに電源が切れる設定になっているので問題になることはありません。
もちろん常に設定温度以上になるようなら必要ないので、夏場で室温がつねに27度以上になるのであれば、外してしまってもいいでしょう。
4.適切な量と栄養豊富な餌
生き物の健康には、餌の管理が欠かせません。
ベタの場合、ベタ専用の餌がたくさんあるため、基本的にはそれを与えていれば病気になることはないでしょう。
しかしそれだけでは味気ないですし、成長期だったり、繁殖を目的に飼育する場合はそれに限りません。
アカムシなど栄養豊富な餌が有効な場合もありますが、与え方や量を間違えるとベタの負担になってしまったり、水質に悪影響がある場合もあるので注意しましょう。
餌の質と同じぐらい重要なのが、量の管理です。
ベタは消化器官が弱いため、たくさんあげすぎたり、消化に悪い餌をあげすぎたりすると弱ってしまったり、病気になってしまうことがあります。
基本はベタの頭の大きさが胃のサイズの限界量といわれているので、消化器官への負担を考えて、その5~8割に調整します。
飼育しているベタのサイズや年齢に応じて、糞の排せつの様子も観察しながらえさの量を調整してあげましょう。
5.あまり手をかけすぎない
これは初心者の方にありがちなのですが、ちょっとした変化が気になって、なにかと手をかけてしまうことがあります。
もちろん調子を崩しているときはなにか対処をしなければいけませんが、人間もちょっと体調が悪いぐらいで入院したり手術したりはしませんよね。
ベタの場合、ちょっとした環境の変化が大きな負担になり、新たな不調を起こしたりすることも少なくありません。
最初にしっかり環境を整えてあげて、そのなかで不調を起こした場合は、病気など明らかに対処が必要な場合を除いてなるべく大きく環境を変えないであげるのも大切です。
弱った(年老いた)ベタの介護
ベタはほかの魚に比べて、年を取ると目に見えて動きに変化があります。
具体的にはあまり水面に上がらなかったり、浮いていてもヒレを活発に動かさなくなるなどの変化があります。
これはおそらく本来の体格からみると異常にヒレが大きく、体力が落ちるとそれが足かせになるからだと考えられます。
そうなったときに、どういった飼育方法をするべきなのか解説します。
消化しやすい餌
年を取ると、もともと弱い消化器官がより衰え、消化不良などが起こりやすくなってしまいます。
とくにフン詰まりが起こると回復する前に死んでしまうことがあるので、なるべく消化しやすい餌がおすすめです。
これは難しいことを考えずに、ベタ専用の人口餌を与えておけば問題ありません。
もし泳ぐのが辛そうで、なかなか水面まで来られないようであれば、ウーパールーパー用の餌のように、沈む餌を与えましょう。
基本的に肉食性の生き物(魚)用の餌であれば栄養は問題ありませんが、サイズが大きすぎることもあるので、砕いてからあげるようにしてくださいね。
病気にならない飼育管理
フン詰まり以外にも、年老いたベタでは体調に不調をきたすと治療中止に死んでしまうということが少なくありません。
この対処はやはり病気にしない飼育管理で、その基本は前項で紹介した水温や水質の管理にほかなりません。
年老いたベタを飼育するときは一度基本に立ち返って飼育環境を作り、管理してあげるようにしましょう。
アクアセイフなどの保護剤や、塩を入れるなどして体調を整えてあげるのも1つの方法ですね。
水質の安定
ベタは元来丈夫な魚ですが、年老いると環境に適応する能力も落ちてきます。
水質に対しても同じで、急な水質変化が死因になってしまうことも少なくありません。
小さい水槽で飼育することには変わりないので少し手間はかかりますが、なるべく水替えはこまめに少量ずつ、なるべくフンや食べ残しはこまめに取り除くようにしましょう。
まとめ
以上が、私の実践しているベタの飼育管理の基本です。
もちろん個体に合わせて細かく管理を変えることもあるのですが、どれもこの飼育方法を試したうえで調整するようにしています。
ベタは安価で飼育でき、気軽に飼える生き物だと思われがちですが、飼ってみると愛嬌がよく、死なせてしまってペットロスになる人もいるほどです。
ぜひ健康で長生きさせてあげて、末永く可愛がってあげてくださいね。
やさしい熱帯魚さんサテライトではこれまでもベタについての情報を公開していますので、興味がある方はぜひまた遊びに来てくださいね!