どんな生き物でも給餌が飼育の大事なポイントですが、その質の良し悪しが出やすいのがヒョウモントカゲモドキという生き物です。
プリプリの尻尾は、飼い主さんが餌を上手に与えているかの 指標にもなりますね。
今回はレオパの大好きな餌について解説します。
適切な給餌でプリプリ尻尾を目指そう!
どんな生き物を飼育するときも、適切な餌を適切に給餌するこは必須です。
とくにヒョウモントカゲモドキは、尻尾がエネルギーを蓄える役割を持っていて、栄養状態がいいとイモムシのようにプリプリになります。
これは飼い主の管理が上手くいっているかどうかの指標の一つとも言われていますね。
もちろん太らせすぎると良くないですが、ヒョウモントカゲモドキはわりと気分屋で、体調に関係なく餌を食べなくなることも珍しくありません。
そうなったときには、尻尾にため込んだ栄養が頼りになるので、やはり日頃からプリプリの尻尾が維持できる餌の管理は心がけたいですね。
野生のヒョウモントカゲモドキの食性は?
餌を与えるには、まずその生き物の食性を知らなければいけません。
ヒョウモントカゲモドキは簡単にいえば肉食性で、他の生き物を食べています。
乾燥地帯に生息しているということもあり、基本的には昆虫を中心に食べます。
一部、ネズミなど小型の哺乳類や、小型の爬虫類などを食べるという情報もありますが、それらを中心的に食べているわけではないでしょう。
肉食性の動物のイメージに違わず獰猛で、動くものに反応する習性があります。
しかし小さいこともあり、鋭い牙や爪もないので、その獰猛さは人間からすれば可愛さにも感じられますね。
ちなみに消化器官はそこまで強くなく、食べた餌は1日から2日かけて消化します。
餌をあげる時は消化も考えたうえで、床材の誤飲などにも気をつけると安心ですね。
ヒョウモントカゲモドキに与える餌
では、野生での食性をもとに、飼育下のヒョウモントカゲモドキがどんな餌を好むのか紹介します。
それぞれメリットデメリットあるので、飼い主さんの扱いやすさも踏まえて選んでみてくださいね。
ちなみに(活)と書いてあるものは活餌、つまり生きたまま与えるものです。
コオロギ(活)
コオロギは、虫を食べる爬虫類や両生類の餌として世界的に愛用されています。
比較的自家繁殖させやすいというメリットがありますね。
日本の場合、良く流通しているのは「ヨーロッパイエコオロギ」「フタホシコオロギ」の二種です。
どちらも基本は変わりませんが、フタホシはやや攻撃力が高いので、迷ったらイエコオロギをおすすめします。
ちなみに野原などにいるコオロギを採取して与えるのは、細菌や寄生虫などの観点から避けたほうが無難です。
デメリットとしては、足が鋭く怪我をする恐れがあり、管理がやや面倒なこと、良く死ぬので都度購入して与える場合はコスパが悪いことなどがあります。
とはいえ、基本の餌としては扱いやすい部類に入るでしょう。
ローチ(活)
なんだかお洒落な名前に見えますが、簡単に言えばゴキブリの仲間です。
とはいえ日本に生息するあのゴキブリとは見た目が少し違います。
ゴキブリだ!と思って見なければ、そこまで違和感はないと信じています。
ローチのメリットはなにより丈夫なことで、かなり雑な飼育をしても死にません。
爬虫類用の餌用としてよく流通しているのは「デュピアローチ」「レッドローチ」の二種です。
筆者は価格と流通の面でデュピアを与えていますが、成虫のデュピアはゴキブリ感が強いので、レッドローチを使う方も少なくありません。
しかしレオパ用と考えればデュピアもSサイズ程度なので、羽などもなく、まだゴキブリらしさはあまりありません。(写真もデュピアのSサイズです)
ちなみにやはりゴキブリであることには変わりないので、家の中に逃すと大変なことになる、というデメリットもあります。
コオロギのキープが難しい場合、コスト的に厳しいと言った場合はローチも検討してみましょう。
ハニーワーム(活)
蛾の幼虫のことで、他の餌に比べると虫らしさはあまりありません。短い芋虫といった感じですね。
レオパが最も喜ぶ餌と言っても過言ではありませんが、ハニーワームの味を覚えると今後ハニーワームしか食べなくなる上に、栄養バランスが悪いため、拒食で餌を食べないなど、どうしても使わなければいけない場合以外は与えないことを推奨されています。
管理面でも冷蔵保存になるので、家族の理解を得るのが難しいという方もいるかもしれませんね。
ミルワーム(活)
鳥の餌などでもおなじみの、ゴミムシダマシという甲虫の幼虫です。
見た目は完全にイモムシなので、虫嫌いな方もあまり抵抗もないかもしれませんね。
コスパも良くてレオパもよく食べてくれる餌でもあるのですが、カロリーが高く、リンの含有量が多いためカルシウムの給餌を阻害し、病気のリスクを上げるとも言われています。
カルシウムに関してはカルシウムパウダーで補助できますし、ハニーワームほどの嗜好性はないので、痩せ気味な時の補助として与えるといいかもしれませんね。
ちなみにミルワームは生の牛肉をかみちぎるほど顎の力が強いため、与える際にはなるべく体に穴を空ける、頭をとるなど下処理をしたほうがいいとされています。
また、ジャイアントミルワームという名前のものもありますが、こちらはかなり攻撃力が強いうえに、皮が厚く消化が悪いので、あまりレオパに与えるのはおすすめしません。
人工飼料(レオパフード)
ここまでは活きた虫でしたが、人工のレオパ用フードも増えてきました。
レオパ用としてはレオパゲル、レオパブレンド、グラブパイあたりでしょうか。
これらは栄養バランスもよく考えられていて、活きた虫に比べると保存はかなり楽です。(一部要冷蔵)
コオロギなどを毎回買うよりも、コスト的にも優れている場合もあります。
しかしどのレオパも必ず食べるというわけではなく、とくに成長した個体に初めて与えても食べることは少ないです。
なので、「虫が触れないからレオパフードで!」と思って飼育すると、食べてくれなくてレオパにも飼い主さんにも辛い思いをする可能性もありますので、餌虫は与える前提でレオパを迎えたほうがいいでしょう。
ちなみに我が家では、ベビーであれば50%がレオパゲルに慣れ、アダルトでは30%が慣れてくれました。
虫の缶詰
どうしても生きた虫がダメだという方には、コオロギやミルワームなどを、ボイルして缶詰にしたものもあります。
加熱で失った栄養価はビタミン剤で補助できますし、コスト面でも優れています。
ただし、やはり生きた虫に比べるとレオパの反応が悪いので、必ずしも食べてくれるというわけではありません。
また開封後は冷蔵保存ですが、少し臭いが気になるというデメリットもあります。
サイズも生きた餌虫よりは限定されてしまうので、アダルトでないと食べられないものも多いですね。
ちなみに我が家では飼育部屋に冷蔵庫がないので、缶詰はほとんど使っていません。
ダスティングとガットローディングとは?
餌については、結局のところ含まれている栄養素が重要になります。
いくら食べても栄養がスカスカでは意味がないですよね。
もちろん活き餌であれば活き餌自体が健康に飼育管理されていることも重要ですが、人間が食べるご飯、肉、野菜それぞれに栄養素が違うように、レオパの餌も栄養素が違います。
そこで、与える餌ごとに不足している栄養素を補ってあげるための作業が、ダスティングとガットローディングなのです。
栄養を振りかけて補給するダスティング
ダスティングの考え方はシンプルで、「栄養が足りないなら振りかけてあげればいいじゃない」という考え方です。
ビタミン剤やカルシウムパウダーを餌にまぶしてからレオパに与えるという考え方ですね。
問題は、餌によって粉がつきにくいというデメリットがあることです。
我が家でメインで与えてるデュピアや、おやつとして与えているミルワームの場合、殻がツルツルしているのでなかなか粉がつかなくて難儀します。(デュピアを霧吹きで少し濡らしてから振りかけると解決します)
ダスティングするのであれば、缶入りの虫か、活きたヨーロッパイエコオロギなどがおすすめですね。
ちなみに人工餌の場合、すでに必要な栄養は調整済みですので、ダスティングで追加してしまうと栄養過剰になる場合があるので、病気治療などの目的がなければダスティングの必要はありません。
栄養を蓄えてもらうガットローディング
ガットローディングは、昆虫に栄養価の高い餌などをあらかじめ与え続け、栄養を蓄えさせた餌をレオパに与える方法です。
餌の餌を気に掛けるという管理になりますね。
ビタミンやカルシウムだけでなく、餌虫を太らせて、根本的な栄養価を高める意図もあります。
しかし昆虫それぞれ代謝も違いますし、排泄前後でも摂取した栄養素の量は変わります。
このため確実に栄養価を高めるダスティングに対し、補助的に行う方法と言えますね。
逆に言えば、餌虫をキープするときに基本として意識しておくといいかと思います。
ガットローディングしやすい生体としては、ミルワーム、フタホシコオロギなど雑食性の強い昆虫です。
もちろん餌を食べない缶詰の虫や人工飼料にガットローディングはさせられません。
まとめ
今回はレオパの餌について解説してきましたが、写真を見てウッと思ってしまった人もいるかもしれませんね。
虫が嫌いであれば仕方がない反応ではありますが、その気持ちを押し殺すことはレオパの健康のために大切です。
みなさんも、親が人間の食事が嫌いだからと言って、得体のしれない栄養が足りないものを与えられる生活をしていたら、健康を維持できるはずがありませんよね。
なので、レオパを飼うなら虫は切っても切れない関係だということを改めて心得ておいてくださいね。
虫ごとに栄養素や注意点も違うので、コオロギ、デュピア、ミルワームあたりをローテーションして与える方も多いですし、人口餌を中心におやつとして活き餌を与える方もいます。
このあたりは筆者自身好みでも大丈夫だと思いますが、それぞれの餌の栄養素を把握して、適度にダスティングやガットローディングすることも必要になります。
重ね重ね生き物の健康の基礎は食事なので、しっかりとこだわって可愛いレオパの健康を維持してあげてくださいね。
やさしい熱帯魚さんサテライトでは今後もプロの方の意見も交えてヒョウモントカゲモドキについての情報を更新していきますので、興味のある方はぜひまた遊びに来てくださいね!