ベタの稚魚が死ぬ原因とその対策法を解説|プロが解説するベタの繁殖

ベタの稚魚が死ぬ原因とその対策法を解説|プロが解説するベタの繁殖

ベタの繁殖について、知り合いのショップ店員さんから相談されたので、今回紹介しようと思います。

お客さんが何回もベタの繁殖に挑戦してるみたいなんですが、どうにも稚魚のうちに死んでしまうそうです。
なにか原因や対策方法知りませんか?

もともと水草が有名なお店で、管理人ががあまりにベタベタいうもんだからベタを置きはじめ、お客さんもベタを真剣に飼う人が増えたそうです。

ベタ好きとしてはとてもうれしいお話ですね。

さて、やさしい熱帯魚さんサテライトの管理人は、もともとベタのホームブリーダーだったので、そこそこの数繁殖させていた経験があります。

実際、私も稚魚のうちに死なせてしまった経験は少なくなく、試行錯誤してなんとか1回の繁殖で50匹以上は残せるようになりました。

稚魚の死亡にはいくつかの原因があり、比較的はっきりした対策で大幅に生存率が上がります。

というわけで今回は、ベタの稚魚が死ぬ原因と、その対処法をやさしくご紹介します!

理想的な生存率は?

ベタ 稚魚 繁殖

理想を言えばもちろん生まれた稚魚はすべて生きていてほしいですが、自然の摂理で、それは望めません。

成熟したベタのメスは、1回の産卵で100~200個ほどの卵を産むようになります。

そのうち8割程度がふ化しますが、そのなかから生き残るのはもっと少なくなります。

経験上、稚魚の数の1/3残ればいいほうです。

200個ほど卵を生んだなら、成魚になるのは50~60匹程度ということですね。

それ以下だとなにか育て方に間違いがある可能性があるので、以下のポイントに注意して飼育しましょう。

稚魚が死ぬ原因①水質変化

水槽 グリーンウォーター

どの稚魚もそうですが、水質の変化には親よりも敏感です。

ベタは野生下での性質上かなり丈夫な部類ですが、誤った繁殖方法が広く知れ渡ってしまっていることでも激しい飼育水の劣化が起こりえます。

ベタの繁殖では濾過を行わないとの記載を私も見たことがありますが、経験上フィルターはつけておいたほうがいいです。

水質が悪化しないのはもちろん、濾過することで水替えを減らせますし、水替えによるダメージも減らせます。

実質スポンジフィルター限定ですが、稚魚が生まれて1週間ほど経ち、ブラインシュリンプを与える前にはスポンジフィルターを設置したほうがいいでしょう。

※追記

「フィルターの水流によるダメージもあるのでは?」という質問をいただきました。

たしかにまだ体が出来上がっていない稚魚には水流によるダメージもあるため、ごく弱い出力でスポンジフィルターを設置したり、フィルターの排水口から水が勢いよく流れないようにガードをつけるなどの配慮はしましょう。

もしどうしても水流によるダメージが避けられない場合は、水量を多くして水質悪化を防ぐ方法もありますが、餌が稚魚全体にいきわたらず餓死するリスクが上がり、十分いきわたる量を与えると結果的に食べ残しが増えて水質悪化につながるというジレンマもあります。

このバランスを考えて、管理人はフィルターからの水をスポンジで受け止める、壁に当てるなど工夫してフィルターを設置しています。

稚魚が死ぬ原因②水温変化

ヒーター

これは基本的な話ですが、水温変化による死亡ももちろんありえます。

我が家では繁殖のときに使うのは、26度設定のオートヒーターでしたが、これでまったく問題ありません。

ヒーターをつけることを考えれば水流は必須なので、やはりなんとか工夫してフィルターは付けたほうがいいですね。

ヒーター近くが部分的に高水温になると、そこに近づいたときに熱で死んでしまうので、フィルターで水流を作ってヒーター付近の水を常にかき混ぜてあげましょう。

もちろんこの場合も水槽内に強い水流が発生すると稚魚が死んでしまう可能性があるので、あくまでヒーター付近の水を動かす程度でOKです。

稚魚が死ぬ原因③親を離すのが遅い

ベタ 稚魚 繁殖 泡巣

これはベタ特有の注意点ですね。

ベタはオスが卵の手入れをし、稚魚も守ります。

しかし外敵のいない飼育下ではそこまでの手厚い育児は必要ないので、親の子守がむしろ稚魚へのストレスにもなります。

親は泡巣を離れた稚魚を口に含み、泡巣付近に吐き出しますが、これが稚魚にはダメージになるようです。

実際、吐き出された稚魚が力尽きてしまうシーンもよく見かけます。

ただし親を離すのが早すぎると、自泳できない稚魚が水槽の底に沈んで死んでしまいます。

このタイミングに正解はないですが、管理人は稚魚が泡巣を離れて横に泳ぎ始めたら、父親を別な水槽に移しています。

稚魚が死ぬ原因④エサが足りない

稚魚は大量にエサをに食べ、グイグイ成長していきます。

生まれて7~10日まではインフゾリアを、その後生きたブラインシュリンプを与えます。

これらのエサが少ないと簡単に餓死してしまいます。

インフゾリア
これがインフゾリアの拡大画像。いろいろな種類がいますね。

とくにインフゾリアは不足しやすいので、初期のエサ不足によって死んでしまう稚魚はかなり多いでしょう。

インフゾリアを増やし、不足ないように与えることが重要です。

稚魚が死ぬ原因⑤エサのあげすぎ

ベタ 稚魚

エサは不足してはいけませんが、多すぎてもいけません。

稚魚のうちはまだ内臓が弱く、旺盛な食欲に対応できずに破裂して死んでしまう個体もいるほどです。

とくにブラインシュリンプに移行したときに、食べ過ぎによる死亡がよく起こります。

ブラインシュリンプを与えるコツは、なるべくこまめに、かつ少量ずつ与えることです。

初期飼料のインフゾリアの給餌がうまくいって、稚魚がたくさん残っている場合には、全体にエサがいきわたっているか確認するのも大切です。

稚魚が死ぬ原因⑥コケや藻が絡まる

ベタ 稚魚 繁殖

これも初期に起こりがちですが、給餌し始めて、稚魚がフンをし始めると飼育水に養分がたまり、コケや藻が生えます。

また、バクテリアが増えることで、ガラス面や底にモヤモヤしたコロニーを作ります。

まだ泳ぐ力のない稚魚たちは、これらの障害物に絡まってしまい、死んでしまうことが珍しくありません。

これらの汚れ対策にはスポンジフィルターでは非力で、水流の負担も考えるとしっかりしたろ過システムを作るのは難しいです。

こまめに少量ずつの水替えと、定期的に飼育水ごと稚魚を別な水槽にやさしく移し替え、ガラス面の汚れを除去してあげると生存率が上がります。


以上が、ベタマニアの管理人が繁殖させるときに注意した稚魚の育て方です。

最近はベタの繁殖方法を取り扱うメディアも多くなりましたが、けっこう経験しなければわからないこともありますよね。

これからもやさしい熱帯魚さんサテライトでは、ベタの詳細な飼育方法について解説していこうと思います。

べたマニア予備軍の皆さんは、ぜひまた遊びに来てくださいね!

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