アクアリウムの楽しみの一つに、魚の繁殖があります。
稚魚たちはごく小さく、1㎜に満たないこともありますよね。
そんな稚魚たちのエサはより小さく、しかも生きているものしか食べない魚も多いです。
そんな稚魚たちのエサとして有効なのが、今回紹介するインフゾリアです。
インフゾリアも生き物なので増やすにはそれなりの準備が必要で、しかもアクアリウムに使うなら水槽に投入することも考えて培養しなければいけません。
今回はアクアリウムのためのインフゾリアの培養法をベタのホームブリーダーがやさしく解説します。
インフゾリアとは?
インフゾリアは簡単に言えば動物性プランクトンのことで、インフゾリアとひとまとめに言ってもさまざまな種類がいます。
とくに淡水魚の繁殖のときに用いられるエサで、管理人もベタのブリードではかならず添加しています。
最近ではインフゾリア自体を販売しているものもあり、単発的に繁殖させるときは購入するのもいいでしょう。
珍しいものではなくそこらの池でも採取できますし、もし継続的に小型の淡水魚を繁殖させるなら、自宅で培養するほうがコスト的には安くなりますね。
インフゾリアを食べる魚(稚魚)

インフゾリアは小型の淡水魚の稚魚の初期試料に使用されます。
具体的には、メダカ、金魚、ネオンテトラなど小型のカラシン、ベタ、ラミレジィ、アベニーパファ、コリドラス、ミナミヌマエビ、ビーシュリンプなどです。
基本的に1㎜程度で生まれる小型の魚は、ヨーサック(お腹にため込んだ栄養)を消費した後、しばらくインフゾリアを食べて成長しますね。
その後2~3㎜程度に成長すると、ブラインシュリンプなども食べ始めます。
インフゾリアを用意しないと、水槽内に自然発生したわずかなインフゾリアに頼ることになるため、成長不良や餓死でブリードがうまくいかない場合も多いです。
そのほかの熱帯魚に関しても、淡水であればインフゾリアが投入されても邪魔になることはなく、親魚でも食べることがあるので、与えておいて損はないでしょう。
インフゾリアの採取方法

インフゾリアは珍しい生き物ではなく、じつはそこらじゅうの水辺に存在します。
もし水槽のガラス面にも、小麦粉並みに小さいツブがうごめいていたら、それはきっとインフゾリアでしょう。
インフゾリアを採取する方法としては、水に流れがあまりない池や沼、田んぼなどの落ち葉をそのままバケツで掬えば十分すぎる数を確保できます。
管理人も近所の沼から採取したインフゾリアを培養して維持しています。
田んぼなど管理者のいる場所は必ず許可を得て、池や沼でも落ちたり環境を破壊しないよう十分注意してくださいね。
インフゾリアの培養方法

インフゾリアを採取したら、十分与えられるよう増やしてみましょう。
いろいろな増やし方があり、ネットでも情報が錯綜していますが、なかには実際に増えても、アクアリウム用には向かない方法もあります。
もちろんすべてが間違いではないので、基本的にはやりやすい方法でOKですが、当サイトでは与える魚にもダメージが少ないアクアリウム向けのインフゾリア培養法をご紹介します。
培養に必要な用品
インフゾリアを増やすには、3つの道具だけで十分です。
塩素を十分に抜いた水
なるべくカルキ抜きは使わず、汲み置いて2~3日天日にさらした水がおすすめです。
2L程度の容器
基本的には何でもOKですが、我が家ではペットボトルを使用しています。
酸素を供給するために振るので、しっかり密閉できるものがいいですね。
インフゾリアのエサ
これは諸説ありますが、個人的に一番失敗が少なく、今も使用しているのが「強力わかもと」や「エビオス錠」です。
匂いも少ないですし、安定して培養できるうえに低コストなのでおすすめです。
①塩素をしっかり抜いた水を用意
インフゾリアは塩素に非常に弱いため、ほかの魚の感覚で塩素を抜くと最悪全滅させてしまうため、まずは塩素をしっかり抜いた水を用意します。
インフゾリア培養用に水道水を入れて、2~3日天日にさらして塩素を抜きましょう。
管理人はカルキ抜きを使って全滅したこともあるので、基本的にはこの方法で塩素を飛ばしています。
②インフゾリアを投入
十分に塩素を抜いたら、インフゾリアを投入します。
落ち葉などまるごと持ち帰った場合は、その落ち葉の切れ端を入れるか、ライトで照らして集まったインフゾリアをスポイトで掬って投入しましょう。
採取した水を入れすぎると、必要のない微生物まで入ってしまうことがあるので、なるべく入れないほうが安心ですね。
水温があまりに違うと投入した先から死んでしまうこともあるため、飼育水も採取水も常温にしておくといいでしょう。
③インフゾリアのエサを投入
インフゾリアを入れたら、インフゾリアが増えるために必要なエサを入れてあげましょう。
先述した強力わかもとの場合、1/2錠程度を砕いて投入します。
エサがたまるとそこだけで増えて、コロニーができて魚に与えにくくなるので、1日1回程度振って撹拌しましょう。
酸素を供給するためにも振る必要がありますが、ごく微弱なエアレーションをしてもOKです。
④数日でインフゾリアが増殖
数字すると、インフゾリアが水槽内にうようよしているのが確認できると思います。
容器のガラス面にくっついているものもいますし、水中を漂うものもいます。
一切確認できないようであれば、どこかの段階で不備があった可能性が高いので、もう一度やり直しましょう。
インフゾリアを増やすポイント

インフゾリアの培養法には諸説あり、それを守っていても失敗することもあるかと思います。
管理人もそれぞれ試した結果、効果はあっても使えない方法もあるので、ひとつひとつ解説しておきますね。
Q.インフゾリアに適した水温は?
水温に関しては、比較的低めなほうが安定して培養できるように思います。
あえて保温する必要はなく、常温でOKでしょう。
具体的には20~25度程度がいいかと思います。
水温が高いとエサが傷んでしまい、酸欠の原因にもなるため、あまり加温はしないほうがいいでしょう。
Q.インフゾリアに牛乳はOK?
インフゾリアの餌として牛乳を入れる方法が紹介されることもありますが、効果的ではあれどおすすめしません。
腐敗がひどく、アンモニアが発生してインフゾリアを殺してしまうこともありますし、魚に与えたときにも悪影響があります。
そもそも匂いがひどくて家庭で培養する際におすすめできるエサとは言いにくいですね。
Q.インフゾリアに豆乳はOK?
同じくインフゾリアのエサとして豆乳が紹介されている場合もありますね。
牛乳に比べれば扱いやすいですが、強力わかもとほど効果的なエサではないように思います。
使うときは1Lに対して1~2㏄程度にするといいでしょう。
Q.インフゾリアにキャベツはOK?
インフゾリアのエサになるプランクトンを増やすためにキャベツなどの野菜も有効だといわれています。
これも有効ではあるんですが、十分に増やすためにはそこそこの量が必要で、腐敗させないのがやや難しいです。
こちらも少し匂いが気になりますね。
Q.インフゾリアの与え方は?
インフゾリアを増やしても、与えられなければ意味がありませんよね。
私はペットボトル3本にインフゾリアを沸かせて、軽く振ってそのまま水槽に投入しています。
もし豆乳を使っている場合、飼育水の水質を悪化させる可能性もあるので、ライトで照らしてインフゾリアを集め、スポイトで吸い取って与えるといいでしょう。
以上が、インフゾリアを沸かせる方法の基本です。
管理人はこの方法に落ち着いて、安定して培養させられていますが、もっといい方法があるかもしれません。
基本は適した水とエサなので、試行錯誤すればもっと手軽な方法も見つけられるでしょう。
熱帯魚のブリーダーを目指す皆さんは一つの登竜門になるので、ぜひインフゾリアの培養方法を確立して、熱帯魚のブリーディングを楽しんでくださいね。