元熱帯魚屋さん店員が、皆さんの質問にお答えするコーナーです。
今回は金魚マニアなら一度は考えたことがあるだろう「肉りゅう」についての質問をいただきました。
金魚の飼育に興味があります。
良く書籍などではオランダ獅子頭やランチュウなど、肉瘤が発達した立派な金魚の写真が載せられています。
しかし店頭で売られている金魚は、例え同じ品種だったとしても肉瘤があまり隆起していない個体が多いです。
店頭で肉瘤が発達していない金魚を買ったとしても、家で上手く育てていけば写真で見るような立派な個体になるのしょうか。
それともこうしたものは遺伝で決まってしまい、育て方ではどうにもならない問題なのでしょうか。
よろしければ教えて下さい。
両方大切ですが、育て方で結果が変わります!
またまた非常に面白い質問をいただきましたね。
さすがベテランだけあって、着眼点もツウですね。
オランダ獅子頭やランチュウなど、金魚の一部には「肉りゅう」と言われる特徴があります。
百聞は一見にしかず、下の画像を見てください。

これは典型的なオランダですね。
頭になにやらハンチング帽子のようなものをかぶっていますね。
これが「肉りゅう」と言われるもので、大きさがその金魚の価値を大きく左右します。
もともと金魚にはあまり興味のなかった私ですが、お店で一番売れるのが金魚だったので必然的に詳しくなり、なんだかんだ家で飼育した個体も青子を含めれば1000匹を超えたのではないかと思います。
一部はお店にも持ち出していたので、当然肉りゅうにもこだわって育てました。
世界中の金魚愛好家が日夜工夫して、それぞれオリジナルのこだわり育成方法を編み出している部分でもありますね。
というわけで、今回は私の経験で得た肉りゅうを大きくする秘訣を紹介しようと思います!
遺伝と飼育方法両立するのが大前提!
まず結論ですが、遺伝も飼育方法も両方大切です。
優良血統でも飼育方法が雑であれば立派な肉りゅうは育ちませんし、飼育方法が完璧でも血統が悪ければ優良血統には勝てません。
もちろん肉りゅうがよくなければ飼ってはいけないというわけではないですし、趣味で飼う上では可愛がって長生きさせてあげるための飼育方法も大切です。
ただし、繁殖させてよりよい固体を作出するためには、遺伝を重視し、最高の状態を引き出してあげる必要があります。
今飼っている金魚の肉りゅうを重視したいなら、以下で紹介する飼育方法を試してあげてくださいね。
遺伝の重要性

まずは遺伝の重要性について考えてみましょう。
優良な遺伝の金魚を購入するのはそう簡単ではありませんが、潜在的に肉りゅうが大きくなりやすい個体の選び方もあるので、ぜひ参考にしてくださいね。
遺伝によってどう変わる?
では、具体的に遺伝のよしあしで何が変わるのでしょうか。
一番の違いは、肉りゅうの最大サイズです。
肉りゅうのある種類であれば多かれ少なかれ肉りゅうは出現しますが、最大サイズに違いが出ます。
100%の状態になったときに、優れた遺伝の固体は、より大きな肉りゅうになると言うわけですね。
また、形にも違いが出ます。
プルンとした丸い肉りゅうを作るには、金魚の頭の骨格も重要です。
この2つが、遺伝による肉りゅうの違いですね。
肉瘤が大きくなりやすい固体の選び方
では、お店で肉りゅうが大きくなる固体を選ぶには、どういったポイントを選ぶべきなのでしょうか。
まず1つ目は、1歳以上の固体において、はっきり肉りゅうが盛り上がっていることが大切です。
流通する当歳ともなればある程度肉瘤が発現しているはずなので、それがないということはしぼんでしまった可能性も考えられます。
一度しぼんだ肉りゅうは、表皮が硬くなるのか胞の一つ一つがいびつな形になったり、その後あまり大きくなってくれることが少ないので、避けたほうが無難でしょう。
また、頭の骨格も大切です。
一番わかりやすい違いでいうと、目が離れていれば離れているほど肉りゅうはプルンと大きくなりやすいですね。
らんちゅうなど、フンタンや髭張りも意識する種類は頬の広さのバランスも重要ですが、肉りゅうを大きくしたい丹頂などは目の位置は大切です。
まれに流金のように鼻先がとがった丹頂が入荷することがありましたが、そのような個体はあまり肉りゅうの発達が期待できなかったですね。
育成方法の重要性

せっかく優良血統の金魚を探し当てても、飼育方法が適切でなければ肉りゅうは育ちません。
育て方による肉りゅうの成長度合いについては諸説ありますが、今回は私が実践していた方法を中心にご紹介します。
極力大きい水槽で
シンプルかつ最も重要と言えるのが、できる限り大きい水槽で飼育することです。
巷の噂とも言われていますが、なるべく肉りゅうをぶつけて損傷しないでほしいのがひとつ。
狭い水槽にしたから縮んだと言うことはないので、おそらく関係ないと思いますが、水質を維持しやすいのでいずれにせよ大きい水槽は理想的です。
体の形成には餌が欠かせませんが、栄養価の高い餌=水を汚しやすいので、水量を多くして水の汚れを抑える目的もあります。
プラ舟なんかもおすすめですね。
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小話レベルですが、ある養魚場関係者の方に伺った話だと、発泡スチロール箱にこだわって飼育しているとのことでした。
詳細はお聞きできませんでしたが、おそらく水温変化をより緩やかにするメリットも大きいのかなと思います。
ただやはり浸水のリスクを考えると、屋外限定になりそうですね。
大型の発泡スチロール箱もなかなか手に入らないようで、使っているうちにぼろぼろになって新しいのを探すのに難儀しているともおっしゃっていました。
いかによい餌を与えるか
金魚の成長に重要な餌も、最近は各メーカー専用の商品を発売していますね。
結論から言えば、栄養素を十分に含んでいる餌であれば、成長にそう大きな差は生まれないというのが私の結論です。
赤虫や糸ミミズ、ミジンコや、果てには卵までいろいろ試しましたが、最終的にはこれといって大きな違いがありませんでした。
こういったものに効果がないと言うわけではなく、おそらく人口飼料の質が高いと言ったほうが正しいのかと思います。
ちなみに、金魚の肉りゅうはコラーゲン繊維、つまりたんぱく質の一種なので、たんぱく質を重視するという考え方自体は誤りではないと思います。
ただ金魚としても吸収できる限界がありますし、体の代謝にはほかの栄養素も必須なので、あまりに偏りすぎるのもよくないですよね。
最終的に人口飼料はそういったバランスも考えられていますし、有効な選択肢の一つになるのではと思います。
正直個人のレベルだと、すべての餌を、データとして提出できるほど管理して与え続けられるスペースと予算が捻出できないので、この場ではあえてこの餌が肉流を大きくすると断言はしません。
ただ、キョーリンのらんちゅうベビーゴールドSはよく食べてくれますし、その効果とコスパ、また入手しやすさからいえば、ベースにするべき餌だと思い愛用していました。
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まとめ:田舎に土地を買おう
完全な極論ですが、よりよい形質を持つ金魚を作出するには、遺伝を把握し、適切な飼育方法で飼育するのがもっともいい方法といえます。
つまりは広い土地で、たくさんの数飼育し、さまざまなペアを絶えず繁殖させればその確立はよりあがると言うわけです。
そのためには田舎に土地を買い、質のいい湧き水が出ればいうことありません。
農作放棄地でハウスなんかあれば最高ですね。
という夢のお話ですが、実は金魚でないにしろ私は少しずつその夢に向かって歩いています。
もちろんそこまで出来ないという場合もあるでしょうから、まずは家庭で出来るレベルで大きい水槽を確保し、なるべく血統の優れた金魚を購入し、適切な管理と飼料を与えるのが基本になりますね。
途中紹介するのを忘れましたが、日本最大手の生体問屋と取引のあるショップだと、おそらく優良血統の金魚は仕入れてくれるのではないかなと思います。
もちろんショップによって取り寄せ不可と言う場合はありますが、時期が来ると入荷リストにブランド金魚の名前が載っていたりしました。
金魚に詳しい店員さんのいるショップと言う大前提はありますが、お店で相談してみるのもいいかもしれませんね。
というわけで、ちょっと語りきれていない部分もありますが、今回はこのへんで。
これからも皆さんの質問にどんどんお答えしていきます!