プロが答えるQ&A『熱帯魚の室温での飼育は可能?』

プロが答えるQ&A『熱帯魚の室温での飼育は可能?』

元熱帯魚屋さん店員が、皆さんの質問にお答えするコーナーです。

今回は20代男性から、コリドラスの室温での飼育について質問をいただきました。

コラドリスを飼育したいのですが、ヒーターなしで室温で飼育する事は可能でしょうか?
コラドリスは熱帯魚とのことなので、ヒーターを入れた方が良いと思うのですが、ヒーターが付けられない小型の金魚鉢に飼いたいと思っています。室温で問題ないなら金魚鉢で、ヒーターを入れた方が良いなら別の水槽で飼育しようと思っています。

環境と種類によっては可能ですが、ヒーターを入れたほうが簡単かも?




初心者の方にも参考になる非常にいい質問をありがとうございます!

熱帯魚を飼育するときに、ヒーターを入れたくないという方はとても多いですよね。

ヒーターの事故はアクアリストでなくとも耳にした事はあるでしょうし、私も大型水槽のワット数の大きいヒーターを留守のときも通電させておくのは、いまだに少し抵抗があります。

結論から言えば、種類と環境を選べば可能ですが、ヒーターを入れたほうが圧倒的に楽に飼育できます。


ヒーターを入れるべき理由とは?

熱帯魚水槽にヒーターを入れるのは、暖かい地域の魚のために、水温を上げてあげるためというのはイメージできますよね。

もう少し掘り下げると、水温の急激な変化をなくすためというのも大きな要素です。

じつは水温は低いことよりも、下がることによる負担がとても大きいです。

たとえば20℃まで平気な種類であっても、27℃から20℃まで急激に水温が下がると病気になったり、ショック死する可能性があります。

日本の住環境では、冬の室温変化は非常に激しく、魚にとっても負担になることが非常に多いです。

もしセントラルヒーティングなどで常時家の室温を保てているのであれば問題ないので、あらかじめ室温の推移を確認しておいたほうが安心ですね。

水温変化をなくすことが、ヒーターを入れる大きなメリットになるということを覚えておきましょう。


熱帯魚は種類で水温に対する耐性が違う!

水温計 ディスカス

熱帯魚は、熱帯地方に生息し、高い水温を好む魚だというイメージがありますよね。

では熱帯地方がひとつかというと、そうではありませんよね。

そう、熱帯魚も出身地は地球上のさまざまな暖かい場所で、それぞれの地域で気候が違います。

熱い地域に見えても、じつは冬は水温が下がったり、立地的にそこまで高水温にならないような場所もあります。

たとえば沖縄県は平均気温25℃程度とまさに熱い島ですが、冬の最低気温を見ると、まれに10℃を下回ることもあります。

出典:<a herf="http://www.jma-net.go.jp/okinawa/know/kaiyo/tenko/hontoukikou.html">沖縄気象台</a>
出典:沖縄気象台

熱帯魚の生息地でも同じことが起こりえるので、そういった地域出身の魚は、緩やかな変化であれば低水温でも生き延びることができます。

ここで「生き延びる」に引っかかったあなたはとても賢いですね。

そうです。「耐えられるから問題ない」というのはリスキーな考えなんです。

哺乳類ほど明確な冬眠がないとしても、魚も寒い冬をやり過ごすために活動しなくなったり、冬眠に近い状態になる種類がいます。

そういった種類の魚は、低水温が続くと体力が落ち、死んでしまうこともあります。

日本の室温は、熱帯魚の適温になるシーズンが非常に短いです。

もともと低水温に強い種類であれば耐えられますが、比較的高水温を好む種類であれば休眠期間が長くなり、その負担も大きくなりますね。

インターネット上や書籍などでおおよその適温は紹介されていますが、より魚のことを考えるのであれば、原産地域の年間平均気温を調べてみるのもおすすめです。


コリドラスは室温飼育OK?NG?

では、今回紹介されているコリドラスの場合はどうなのでしょうか。

イヌといっても柴犬やプードル、ドーベルマンなどさまざまな種類がいるように、じつはコリドラスにもいろいろな種類がいて、それぞれで水温への耐性は違います。

代表的なコリドラス・パレアタス(通称:青コリドラス)は、低温にも強く、私もメダカ水槽の掃除屋さんとして室温飼育した経験があります。

一方、初心者にも人気の種類にコリドラス・パンダがいますが、こちらはデリケートな個体が多く、注意して飼育していても死んでしまうほど。

もちろん青コリドラスも温暖な地域の出身なので、22度以下、また急激な水温変化では死んでしまうので、可能ならヒーターは設置してあげてほしいところです。


初心者におすすめの丈夫なコリドラス

比較的室温が安定していれば対応しやすい種類を紹介します。

もちろんヒーターがあるに越したことはないので、まだ飼育に不慣れな方はヒーターに頼ることをおすすめします。


コリドラス・パレアタス(青コリドラス)

すでに紹介した通り、非常に丈夫で一般的な種類のコリドラスです。

価格も安く流通量も多いので、初心者でも手を出しやすい種類ですね。

レイアウトになじみやすいカラーも魅力です。

コリドラスの中でも丈夫で、逸話がネタにされているほど。


コリドラス・アエネウス(赤コリドラス)

青コリドラス以上に流通量が多く、価格も安い人気の種類。

青コリドラスほど丈夫ではありませんが、初心者でも十分飼育できる種類です。

少し大きくなる種類なので買いごたえもありますね。


コルドラス・ステルバイ

赤コリドラスや青コリドラスに比べるとやや値段が高く、流通量もやや低いですが人気の種類です。

大きくなるにつれてやや橙色が強くなると非常に美しいコリドラスです。

私の感覚では青コリに次いで丈夫で、病気からの復帰率も高い種類です。

個体によりけりかもしれませんが、ほかのコリドラスよりも動きが落ち着いているので、レイアウトを崩しにくい掃除屋さんとしても重宝しました。


まとめ:できればヒーターは設置しよう!

室温が安定していれば、熱帯魚もヒーターなしで飼育できる種類はいます。

ただしその条件は難しく、室温変化の下調べも必要ですし、不意な悪天候で予想外の室温変化がある場合もあります。

ヒーターを設置すればそういった事態にも対応できるので、できればヒーターを設置するにこしたことはありません。

もしどうしてもヒーターが設置できなかったり、ヒーターを設置したくないという場合には、日本の気候にも対応できるメダカや金魚などの魚も考えてみましょう。

意外と知らない種類で、魅力的な魚もたくさんいますよ。

もうひとつ、長くなったので割愛しましたが、コリドラスは底面を動き回るので、金魚鉢での飼育はあまりおすすめしません。

高さがなくてもいいので、そこの面積が広い水槽をおすすめします。

せっかく大きい水槽を買うなら、やはりヒーターを入れてあげたほうが安心ですね。

というわけで今回はこの辺で。

今後もアクアリストのみなさんから質問にどんどんお答えしていきます!!

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