熱帯魚はご存じの通り、暖かい地域から日本に持ち込まれた魚がほとんどです。
つまり日本の気候では水温が寒すぎることが多く、飼育にはヒーターが必要になります。
ベタは飼育しやすい熱帯魚で、丈夫な魚だと評判ですが、水温に関してはどうなのでしょうか?
というわけで、今回は元熱帯魚屋さんで、かつベタブリーダーの経験もある筆者が、ベタの水温管理についてやさしく解説します!
ベタの水温管理を怠るとどうなる?
正直な話、ベタはそうとう低い水温にならなければ死なないほど丈夫な魚です。
とはいえ、生きているからと言ってベタにとってその環境が適しているとは限りません。
みなさんも、室温12℃でもきっと死なないですが、それが快適とはいえませんし、調子を崩すこともありますよね。
ベタも同じで、水温が理想的とはいえない環境では調子を崩すことがあり、以下のような状態になることがあります。
もしまだ水温管理をしていないという方は、ベタがこのような状態になっていないか確認してみてくださいね。
餌を食べなくなる
人間もそうですが、たいていの生き物は気温や水温が適切でないと代謝が落ち、食欲が落ちます。
ベタも水温が下がるととたんに餌を食べなくなってしまいます。
多少食べないぐらいなら問題はないのですが、あまりに長い間食べないと痩せてしまい、筋肉が落ち、寝たきりのような状態になったり、餓死につながることもあるので要注意です。
ちょっとの間我慢してもらって、食べるようになったら与えればいいと考える方も多いようですが、ベタのような小型魚の場合、一度痩せてしまうと食べ始めても体格が元には戻らないことが多いので、早急に対処してあげたいですね。
動かなくなる
餌を食べないのと同じく、代謝が落ちると活動量が減り、動かなくなることが多いです。
巣を持たないベタの場合は、底に沈んで動かなくなりますね。
ベタの場合は改良によってヒレが大きくなっている種類が多く、筋肉が本来の体格以上に必要になるため、体調が整っていないと動かなくなることが多いです。
あまりに動かない状態が続くとヒレの固着などを招き、美しい体格が維持できなくなるので、こちらも早めに対処してあげたいですね。
色が白くなる
ベタは美しい体色も魅力ですが、水温が低くなるとその体色が抜けてしまい、白っぽくなることがあります。
元々の色によっては逆に黒っぽくなることもあり、水質が合わない場合も同様の症状になることがありますね。
これに関しては一時的なものではありますが、負担がかかっている状態の表れでもありますので、体色が急に変わったら対処してあげましょう。
病気になりやすくなる
人間も寒いと風邪をひきやすくなるよう、水温は魚の免疫にとってとても重要です。
水温が低い状態になる、または水温が下がる傾向にあると調子を崩しやすくなり、病気になることが多くなります。
とくに尾腐病や白点病になることが多く、低水温だと治療の効果も出にくいので要注意です。
死んでしまう
上記したような病気になって死んでしまうこともありますが、水温低下そのもので死んでしまうこともあります。
人間でいうところの凍死ですね。
ベタはそうとう丈夫な魚なので、かなり過酷な環境にならなければ起こりにくいですが、ほかの不調と合わさって死んでしまったり、急激な水温低下で死んでしまうこともあります。
以上のような状態を避けるためにも、絶対に水温管理はしてあげるようにしましょう。
ベタの適正水温は?
水温を上げてあげる必要があるといっても、無尽蔵に水温を上げればいいわけではありません。
水温が上がりすぎると茹で上がってしまい、もちろん死んでしまいます。
ベタの場合は、水温24~28度が適正と言われています。
私の経験上28度がベストですが、もちろんピッタリこの水温にしなければいけないわけではなく、24~28度の間で、水温の変化が少ないようにしてあげましょう。
ベタ飼育での水温管理の方法
では実際に温度を上げてあげる方法ですが、ベタの場合ほかの熱帯魚とは違う方法が必要になるかもしれません。
というのも、ベタはグイグイ泳ぐ魚ではなく、水質悪化にも強いため、小さい水槽で飼育されていることが多いからです。
過度に小さくなければ(2L以下の水槽など)、水槽が小さいこと自体はベタに悪影響はないのですが、水温の管理は難しくなります。
その点も踏まえて、ベタの温度管理の方法を解説します。
熱帯魚用ヒーター
熱帯魚の温度管理で、もっとも一般的な方法が、水槽内に熱帯魚用のヒーターを設置する方法です。
電熱線の通ったガラス管で水温を上げてあげます。
水温センサーが内蔵されていて一定温度に上がると自動で電源をON/OFFする「オートヒーター」、任意で設定温度を変えられる「サーモスタット付きヒーター」などがありますね。
出力(ワット数)は水槽の水量に応じて選びます。
一昔前はベタの小型水槽に使えるものはごく少なかったのですが、最近では種類も増えてきましたね。
それでも大体4L以上は必要になるため、それ以下の瓶飼育などの場合は、水温が下がる秋冬だけでも少し大きい容器に移して、オートヒーターを入れるのが一番楽な方法なのではないかと思います。
パネルヒーター(シート型ヒーター)
大体の水槽では上記した熱帯魚用ヒーターを使用するのですが、じつは熱帯魚用ヒーターには欠点があります。
それは、熱源がヒーター管で、その周辺のみを重点的に温めてしまうという点です。
通常はフィルターの水流で温まった水がかき混ぜられるのですが、ベタは水流を嫌うので取り付けない場合が多いですよね。
その欠点を回避する方法の一つが、水槽の外から温める「パネルヒーター(シート型ヒーター)」を使用する方法です。
パネルヒーターは水槽の底に敷いて、水槽の底面から温めるため、熱帯魚用ヒーターのように局地的に高温になりすぎるリスクを回避しやすいので、ベタの水温管理にもおすすめです。
ただし、熱帯魚用と違い水温を検知する機能がないため、細かな水温管理は難しい欠点があります。
水温が上がりすぎるともちろんよくないので、やや弱めの設定にしておき、こまめに水温をチェックしてあげるようにしましょう。
エアコンで室温ごと管理
もしベタを複数飼育する場合、じつはエアコンで室温ごと管理したほうが電気代が安い場合があります。
というのも、熱帯魚用ヒーターにせよ、パネルヒーターにせよ、1つ10W以上は消費するものがほとんどなので、複数取り付けると思ったより電気代がかかってしまいます。
なので、数十と熱帯魚を飼育する方は、エアコンで室温ごと管理しているという人も少なくありません。
また、夏場の温度管理に関しても、エアコンであればクーラーで監視しておけば熱くなりすぎるということも少ないですね。
ただし、数匹だとほかの保温方法のほうがコスパはいいので、あくまで複数飼育したり、熱帯魚用ヒーターなどを使うのが火事の危険など心配な方におすすめな方法といえます。
温室
これも外気で温める方法の一つですが、温室にベタ水槽を入れてしまうという方法もあります。
温室というと野菜を育てる大きいものを想像するかもしれませんが、じつは同じく暖かい地域出身の観葉植物を育てるための小さな温室が売られています。
部屋にも置けるサイズなので、その中にベタを入れておけばその中は温度が下がりにくいので、水温管理も楽になるというわけですね。
温室用のヒーターもありますし、パネルヒーターなどと組み合わせることで電気代を抑制することもできるのでおすすめの方法です。
そこまでのものを置きたくないという方は、カラーボックスに透明シートをマジックテープで貼り付けても同様の効果があるので、DIYで代用することもできます。
我が家の場合は、複数飼育していたとき衣装ケースの中に並べて温室代わりにしていました。
まとめ
というわけで、今回はベタの水温管理のイロハについてでした。
ベタは丈夫な魚とはいえ、水温は体調の維持に必須で、それをできるのは飼い主さんだけです。
他の魚に比べるとやや面倒な部分があるとも言えますが、それでもそう難しいことはありません。
美しく短いベタの一生を快適に過ごさせてあげるためにも、今日から水温管理を気にかけてあげてくださいね。
やさしい熱帯魚さんサテライトでは、ベタを健康に飼育するための知識をたくさん紹介しているので、興味のある方はぜひまた遊びに来てくださいね!