熱帯魚水槽の底砂に「赤玉土」は使える?│プロが答えるQ&A

熱帯魚水槽の底砂に「赤玉土」は使える?│プロが答えるQ&A

元熱帯魚屋さん店員が、皆さんの質問にお答えするコーナーです。

今回はベテランアクアリストのみきたにさんから、水草水槽の底材について質問いただきました!

熱帯魚や水草の水槽を始めてから数年は経ち、ある程度の経験はあります。

しかし、水槽歴が長くなると考えるのは、高価なアクアリウム用品をできるだけ使わず、他の安価な用品で代用できないかということです。


今考えているのは、水草用のソイルを園芸用の赤玉土で代用できないかということ。

赤玉土には水の中でも崩れない硬質のものもあり、これを水槽で使えればコストが5分の1以下に減らせます。

赤玉土にはイオン吸着作用や軟水化作用があり、水草にも適しているとは思うのですが、使用した経験がないので実際にどうなのかわかりません。

水草に赤玉土を使用するのは上手くいくのでしょうか。

また、使用可能な場合、注意点などはありますでしょうか。よろしければ教えて下さい。

今回もいい質問をありがとうございます!

まず「飼育暦が長くなると安価な代用品を探し始める」、これめちゃくちゃ気持ち分かる方も多いのではないでしょうか。

私も、日夜ホームセンターや百円ショップで、熱帯魚飼育に使えるものないかなぁと徘徊しています。

ショップで使っていた用品も百円ショップの商品ばかりで、お客さんに聞かれたときに百円ショップばかり紹介していた記憶もあります。

今回の質問は底材の質問で、具体的に「赤玉土」はどうなのかということですが、これは実際に試して紹介してみようと思います。

赤玉土とは?

赤玉土 熱帯魚

赤玉土は園芸用の土としてよく流通しているもので、ガーデニングでは定番の用土です。

とくに水をあまり必要ない多肉植物によく使われていますね。

基本的に赤玉土自体に養分は含んでおらず、養分を吸収しやすい特性を持っているので、肥料を添加して使う用途が一般的です。

価格も安く、大量に購入できることから、最近アクアリウムや爬虫類界隈でも注目されていますね。

筆者もレオパードゲッコーの床材に使用していますが、吸水性が高いうえに通気性が高いのでカビにくく、こまめに加湿できるならおすすめの床材といえます。

水槽用の床材として赤玉土を使う場合のメリット

赤玉土は水槽に使ってもOKで、とくにメダカの繁殖などによく用いられていますね。

熱帯魚用としてもメリットが多く、最近使う方が増えてきました。

まずは人気の理由でもある赤玉土のメリットを解説します。

価格が安い

赤玉土のメリットは、今回の質問者様もいっているとおりコストの安さにあります。

ソイルに比べて1/5程度の価格のものもあるので、使えるならかなりのコスト削減につながりますよね。

筆者が使っている赤玉土も5㎏で700円ほどで、ソイルに比べればかなり格安です。

弱酸性の水を作る

水槽の砂利には水質を調整する効果も重要になりますが、赤玉土は熱帯魚用にぴったりの水質に調整してくれます。

我が家の水槽ではpH6.4程度と、やや酸性の水質に安定しています。

とくにこの「安定している」というのがポイントで、ソイルに比べてもpHの調整能力は高いように思います。

水草が栄える

赤玉土はその名のとおり赤茶の土の塊なので、見た目的に水草との相性が非常にいいです。

大磯砂などに比べると、かなり明るく見えますね。

もちろん熱帯魚との相性も良く、白い底材だと色が抜けてしまう魚にもぴったりです。

水草の根張りがいい

赤玉土はソイルに比べて粒子が大きく、水草の根が張りやすいです。

ソイルと比べてみると、赤玉土のほうが表面がざらついているのがわかりますよね。

バクテリアの定着を助ける

赤玉土は多気功なので、バクテリアが定着しやすい特性があります。

ソイルもバクテリアが定着しやすいと言われますが、不規則な形状で通水性は赤玉土のほうが高いので、よりバクテリアにとって理想的な環境といえますね。

あまりろ過装置を使わないメダカの飼育環境において、このメリットは非常に大きいですよね。

通水性がよく底面フィルターとの相性がいい

赤玉土は小粒タイプでも通水性がよく、底面フィルターとの相性が非常にいいです。

バクテリア定着も助けますし、水も水作エイトを使ったとき同様にキラキラになるのでおすすめですね。

ただ以下で紹介するようなデメリットもあるので要注意です。

水槽用の床材として赤玉土を使う場合のデメリット

熱帯魚用の底材としてもおすすめの赤玉土ですが、もちろん気になる点もあります。

メリットをつぶしてしまいかねないデメリットもあるので、使う前にはよくチェックしてから使ってくださいね。

水槽に使えるものが少ない

赤玉土は基本的に園芸用で、水槽用に販売されているものを管理人は見たことがありません。(リパッケージングして販売しているものはあります)

通常の赤玉土では水を吸った後、つぶれやすくなってしまうため、石組レイアウトなどはしにくいです。

硬質タイプのなかでも水に強いものを選ぶ必要があり、筆者もいいものに出会うまではいくつか試して失敗も経験しました。

崩れやすい

赤玉土は指で簡単につぶせるほど柔らかく、レイアウトする時にも気を付けないとつぶれてドロになってしまいます。

水を吸った後はあるていど形を保ちやすくなりますが、それでもブニュっとつぶれてしまうので、やや扱いにくさは否めません。

金魚など砂利を吸う魚には使えないと考えたほうがいいですね。

水草にも使いやすいメリットはありますが、ソイルと同じように山を作って石を乗せるようにレイアウトするのは少し難しいかもしれません。

濁りが出る

パッケージの中で削れたり、水槽に入れるときにすれて崩れたりして、かなり濁りが出やすいです。

赤玉土 熱帯魚

ソイルも濁りは出やすいですが、赤玉土のほうがはるかに出やすいですし、粒子が細かいので落ち着くまで時間もかかります。

ろ過フィルターで除去しようとすると目詰まりしてしまうので、やさしくかつ入念に洗って、かつ丁寧に投入しなければいけません。

寿命が短い

もともと水に入れる用途ではないため、水槽の底材として使うと寿命が未知数です。

管理人が使っている感覚としては、丁寧に掃除したいのであれば1年もしないうちに水槽の底に赤玉土が崩れた泥が厚くたまり始めるので、その前に交換したほうがいいでしょう。

交換も面倒なことを考えると、扱いにくさは否めないですよね。

肥料のバランスが難しい

赤玉土は吸着系ソイルよりも養分を吸着するため、水草育成を考えると肥料の添加がシビアです。

その分水質を安定させる効果は大きいですが、せっかく水草との相性がいいのですこし気になるデメリットですよね。

とくに固形肥料のバランスが難しく、多すぎると水草が焼けてしまい、少なすぎると枯れてしまうので液肥でよく注意しながら調整してあげるといいでしょう。

ソイルと赤玉土を実際に使って比較!

赤玉土 水草

今回この質問が来て、そういえばソイルと比較して使ったことがなかったので、思い立って比較してみました。

比較方法はシンプルで、同じ量で同じ水草を植え、同じ量の肥料を入れて2週間置いています。

水草の育成方法としては適していないため、赤玉土の効果がどうかという比較ではなく、どういった違いがあるのかを比較するための検証です。

今回は15㎝のアクリルケースで実験です。

水深的にCo2の濃度を確保できないので、肥料の影響が露骨に出そうですね。

赤玉土には吸着効果があるので、ソイルも吸着系のカスタムソイルで検証します。(それぞれ約100g)

水草は、本当なら成長がわかりやすいアナカリスあたりでやりたかったんですが、手ごろに余っていたラージパールグラスで。

それぞれ20株ずつ植えつけます。

固形肥料を適正量添加しました。

~2週間後~

結果ですが、Co2を添加しなかったこともあり、あまり大きく成長していませんが、細かく見てみるとやや違いがありました。

ソイル 水草

ソイルのほうは新芽がまだ出ていませんね。古い葉が落ちかけているのも見られるので、あまり状態は良くなさそうです。

しかもちょっと藻が生えていますね。

赤玉土 水草

一方、赤玉土のほうは新芽や根が出ていて、緑色も濃くて状態がよさそうです。

理由は正直わからないのですが、一つ考えられるのはソイルだと固形肥料がしばらくその場にとどまっていたため、全体にいきわたらなかったのが一つの理由かなと思います。

にもかかわらず、ソイルだけに藻が生えてしまったのは、赤玉土の強い吸着効果で余分な養分が吸い取られた効果も期待できますね。

今回の実験ではあくまでも小さなケースのなかでの実験なので、ソイルが劣っているというわけではまったくなく、水を動かせばまた違う結果になったかなと思います。

ただ、この実験においては赤玉土のほうがうまくいっているので、使い方によっては赤玉土でも水草の育成は十分可能なのかなと思います。


というわけで、赤玉土を水槽に使うメリットとデメリット、また簡単な実験の結果のご紹介でした。

実験は正直思うようにいかなかったですが、近い状態で使っても差が出たのが興味深いですね。

アクアリウムは何かとお金がかかる趣味なので、こういったジェネリック的なアイテムがあれば、貴重なお小遣いを浪費せず楽しめるようになります。

今後もまた興味深い質問があればどんどん回答していきますので、今後とも優しい熱帯魚さんサテライトをよろしくお願いします!

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