プロが教えるQ&A『金魚水槽に砂利は必要?不要?』

プロが教えるQ&A『金魚水槽に砂利は必要?不要?』

元熱帯魚屋さん店員が、皆さんの質問にお答えするコーナーです。

今回は金魚を飼育しているmaruさんから、底砂についての質問をいただきました!

金魚を飼っているのですが、見た目をよくするため底砂利を綺麗な色の天然石にしています。

しかし、金魚の餌の食べ残しやフンがろ過しきれず底に溜まりやすく、時折埃のように舞いあがってしまいます。

砂利も最初のうちは綺麗なのですが、藻や汚れがついてだんだん汚らしくなってきます。

水質的には底砂利はほとんど敷かない方が良い状態を保てそうなのですが、金魚達は餌を食べ終わると、一斉に底砂利を口ですくっては出しという動作をせわしなくし始めます。

餌をさがして食べる習性の代償行為のようにも思え、多少水質が荒れて、砂利が汚れて見た目が悪くなっても、このまま砂利は敷いておいた方が金魚達にとっては良いでしょうか。

なくても大丈夫ですが、入れておいた方が安心かも?

おそらく金魚(和金)は日本で最も飼育されている観賞魚で、そのぶん最も不遇な扱いを受けている魚といえるかもしれません。

しっかり飼育してもらっているmaruさんのお宅の金魚は幸せですね。

さて今回は底砂、一般的に言えば「砂利」についての質問です。

たしかに入れてあげると水槽も明るくなりますし、魚も生き生きして見えますよね。

じつは、水槽に入れる砂利には、見た目をよくする以外にも大きな効果があります。

今回は水槽に入れる砂利の効果と、もし入れない場合の注意点を解説します。

砂利はなんのため?

金魚 ピンポンパール


魚を飼うときの3種の神器は、「水槽」「砂利」「ぶくぶく(ろ過装置)」です。

私がショップで勤めていたときも、近所でお祭りがあるとこの3つが飛ぶように売れたので、大目に入荷する必要があり、地域のお祭り情報に詳しくなってしまいました。

ではそもそも、砂利を入れる習慣はどこから来たのでしょうか。

砂利はろ過のために入れるべし!

大半の方が、砂利は見た目のために入れるものだと思っているかもしれませんが、それならコストやメンテナンスの面を考えて入れないというひとがもっとも多いはず。

ではなぜ砂利を入れるべきで、ここまでさまざまな商品があるのかというと、砂利には非常に大きなろ過能力があるからです。

大きなごみを吸い取ってくれるというわけではなく、maruさんの水槽でも砂利から浮き上がる汚れが気になっていますよね。

ではなにをキレイにしてくれるのかというと、目に見えない水中の毒素です。

正確には、「毒素を食べてくれる微生物の住処になる」が正しいです。

アンモニアなどの毒素は魚のえさやフンから発生しますが、魚にとって猛毒です。

それを食べてくれるのが水中に住む微生物で、彼らが住むのが砂利なのです。

砂利を入れないとどうなるの?

金魚 らんちゅう

では、微生物の住処になる砂利がないとどうなるのでしょうか。

微生物は水中では十分に増えることができない、難しい表現をすれば「定着」できないので、十分に毒素を分解してくれません。

こうなると水の浄化作用が足りないので、においが出るだけでなく、魚に負担がかかって病気が頻発したり、死んでしまったりします。

微生物はろ過装置などにも住み着きますが、やはり面積が大きい砂利の効果は大きいです。

個人的な感覚では、どんなにろ過装置に工夫しても、砂利を敷いてあげるほうが手っ取り早く、効果的です。

どうしても砂利を入れたくない場合は?

砂利の掃除が面倒だったり、見た目へのこだわりでどうしても砂利を入れたくない場合もありますよね。

砂利を入れる恩恵は大きく、理由がなければ入れるほうがいいですが、入れないで飼育するのももちろん不可能ではありません。

肉食魚や大型魚の水槽では、いわゆる「ベアタンク」といわれる砂利のない飼育環境も一般的です。

まずは、水の量が十分にある、大きな水槽を用意しましょう。

水量を増やし、毒素の濃度を落としてあげる意味があります。

つぎに、ろ過装置も大きなものを用意します。

砂利の変わりに、ろ過材に微生物を住ませてあげるというわけです。

金魚であれば「上部フィルター」がおすすめで、具体的なメリットは以下で紹介しているのでチェックしてみてくださいね。

砂利は抜かない方がいい?

今回の質問では「砂利は今から抜いていいの?」というご質問でしたが、結論から言えば、ただ抜いてしまうと悪影響が大きいといえます。

現状、金魚も健康に生活できているようですので、微生物も十分定着しているのではと思います。

ここで砂利を取り除いてしまうと微生物が急激に減ってしまうので、突然水質が悪化する可能性もあります。

もし何らかの理由でどうしても取り除かなければいけないなら、ろ過装置を増設してから抜いてあげるか、砂利を抜いた後にこまめな水替えが必要になります。

この手間を考えると、やはり砂利はそのまま置いておいてあげたほうがよさそうですよね。

大きな汚れはろ過装置(フィルター)に任せよう

金魚 コメット

今回砂利を取り除きたいと思った動機は、砂利から垢のような汚れが舞ってくることでした。

砂利にも上記したようなろ過能力がありますが、目に見えるような大きな汚れは積もってしまい、今回のような問題が出てしまいます。

この問題の対処法は、ひとえにろ過装置の増強です。

現在ろ過装置があるかどうか質問の文面からはわかりませんが、大きな汚れはろ過装置にお任せしましょう。

金魚は大食漢で、汚れも大量に出す魚です。

このためろ過装置もすぐに詰まってしまいますが、下手に水替えするのは微生物にも魚にも悪影響なので、やはりろ過装置に任せる方がいいと思います。

いわゆるぶくぶくなど、水の中に入れるろ過装置は手入れが大変になるので、やや大掛かりに見えても上部フィルターがおすすめです。

上部フィルターなら、蓋を開ければろ過材がすぐに交換できるので、仮にすぐ詰まってしまっても手入れが幾分楽になりますし、性能も高いです。

長い目で見ればろ過材などのコストも安く済むので、上部フィルターの導入がおすすめです。

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さいごに:ろ過装置のこだわりが水槽へのこだわり

というわけで、今回は金魚水槽砂利についての質問でした。

砂利は見た目以外にも、意外な大役を任されているんですね。

微生物に関してはまた別途紹介する予定ですので、もし興味があればぜひチェックしてくださいね。

ちなみに砂利を吸って出す金魚の行動は本能的なものです。

川や池だと泥の中に食べ物が混ざっているので、それを探すための行動ですね。

金魚が楽しいと思っているかどうかはアクアマンにでもならないとわからなそうですが、本能的にやっている行動なら、やはりやらせてあげたほうがよさそうですね。

ろ過装置へのこだわりは、本格的なアクアリストへの第一歩です。

初心者の皆さんは、ぜひ各社のフィルターを血眼になって比較する末期のアクアリストを目指して、ろ過の奥深い世界に足を踏み入れてください。笑

というわけで今回もこの辺で。

少しでも皆さんの参考になれたなら幸いです。

今後もアクアリストのみなさんから質問にどんどんお答えしていきます!!

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