プロが答えるQ&A『ピラニアに隠れ家は必要?』ピラニア水槽のレイアウト

プロが答えるQ&A『ピラニアに隠れ家は必要?』ピラニア水槽のレイアウト

元熱帯魚屋さん店員が、皆さんの質問にお答えするコーナーです。

今回は26歳男性の方から、ピラニアのシェルターについて質問いただきました!

現在ピラニアナッテリーの飼育をして3か月くらいが経過しているのですが、飼育当初はずっとシェルターに隠れていたのに今では全くシェルターに入っている様子はありません。

これはおそらく今の環境にピラニアナッテリーが慣れてくれたからだと思うのですが、この場合はシェルターを取り除いても良いのでしょうか?
それとも一応シェルターは置いたままの方が良いのでしょうか?

抜いてもいいですが、入れておいたほうがいいかも?

肉食魚のレイアウトは、どの種類でも結構悩みどころですよね。

肉食魚はどれも筋肉質でパワフルなので、レイアウトを崩してしまうこともあります。

今回のピラニアに関しては、ほかの肉食魚とは少し違う意味でレイアウトに悩むかもしれません。

というわけで今回は、ピラニア水槽のレイアウトについて解説していきます!

水槽のレイアウトは、初心者の方だと「見て面白い」から入ってしまうことが多いかと思います。

趣味のアクアリウムにおいてそれももちろん重要なのですが、見て面白くする上でも土台になる考えが必要です。

それが「魚の生態を知ること」

魚の生き生きした姿を観察し、ストレスを軽減するには必須の考えです。

もちろん頭のいい魚であれば、人間の手がけたレイアウトに合わせて活動してくれますが、それでも本来の体のつくりや本能に合わせたレイアウトをしてあげることは、魚にとって非常に重要です。

ピラニア・ナッテリーの生態は?

ピラニア ナッテリー

ではピラニアの生態はというと、肉食魚の中では少々特殊です。

たとえばアロワナやポリプテルス、スネークヘッドなどは、わりと幼魚期からぶいぶい水槽の中を好き勝手に泳いでいる印象が強いかと思います。

一方ピラニアはというと、これらに比べると神経質な種類が多いですよね。

今回はナッテリーとのことですので、この種類も神経質で臆病な印象があるでしょう。

ナッテリーはピラニアの中でも臆病な性格で、今回質問者様の水槽でもしばらく陰に隠れていたことからもわかります。

群泳が難しくない種類で、どちらかというと食物連鎖の下位にいる魚の行動をします。

生態から考えるピラニアナッテリーのレイアウトは?

ではその生態を元にナッテリーに適したレイアウトを考えてみましょう。

レイアウト水槽の写真の手持ちが少ないですが、なるべく画像を添えてご紹介しようと思います。

隠れ家の有無は単独・群泳によって違う?

ナッテリーですが、群泳が難しくない種類と紹介しましたが、むしろ可能なら群泳を推奨したい種類です。

というのも、自然下では比較的群れを形成して泳ぎたがる魚だからです。

つまり数匹いることでストレスが下がり、隠れ家がなくても悠々泳いでくれることが多いです。

群泳させる場合にも、なにか水槽にシンボルになるような水草付き流木などがあると、その周りに固まりやすくなりますね。

逆に単独の場合、ナッテリーからすれば一匹で不安な状態です。

より神経質になっている可能性が高いので、しっかり体を隠せるレイアウトがおすすめです。

今回質問内容には飼育数がなかったのですが、質問への答えはまず「ナッテリーの飼育数で判断してみましょう」ということになりますね。

慣れはあくまで慣れなので、不意に刺激が与えられるとまた臆病に戻ってしまうこともあります。

単独飼育でなにかあったときに隠れられる環境にして置いてあげたほうがナッテリー的には安心だと思います。

ナッテリー向きのレイアウトは?

では神経質で、群泳したいナッテリーにおすすめのレイアウトですが、少し見栄えとしては悪くなってしまうかもしれません。

ナッテリーは比較的小型の種類とはいえ、順調に成長すれば15cm以上になる種類です。

そこにドーンとレイアウトしてしまうと、泳ぐスペースがほとんどなくなりますよね。

ピラニアの泳ぎ方はカラシンらしくギュンギュンとした年寄りの運転のような泳ぎ方で、あまり徐行を考えない泳ぎ方をします。

泳ぐスペースが少ないと驚いたとき壁にぶつかり、それに驚いてさらに暴れるような場合も考えられますね。

このため、大きい流木を組むようなレイアウトよりは、水草の生い茂るようなレイアウトのほうが安心です。

ピラニア ナッテリー

水草は管理が面倒くさいとか、色味が明るくなっていやだという場合もあるでしょう。

もちろん流木をゴツゴツと組んだレイアウトもかっこいいですし、ブラックウォーターでピラニアにも合う水質になります。

ただ、体の薄いピラニアにとっては、ブロック状のゴロッとした流木よりは、このように枝上の流木を組んであげたほうが、泳ぎやすく、かつ身を隠しやすいかもしれません。

流木 レイアウト

シェルターを取り去る代わりに、流木で簡単にレイアウトしてあげるのがいいかもしれませんね。

まとめ:魚の気持ちになれるのが一流アクアリスト!

というわけで、今回はピラニアナッテリーのレイアウトについてでした。

質問への回答が少しぼやけてしまいましたが、

  • 種類別にピラニアの生態を考えてみよう
  • ナッテリーは単独飼育ならレイアウト推奨
  • 泳ぎやすい隠れ家にしてあげよう

ポイントはこの3つですね。

質問者様のナッテリーはすでに慣れて、隠れ家を必要としていないようですので、ストレスの少ない環境であれば必ずしも隠れ家やレイアウトは必須ではないと思います。

ただ不意に驚いたときにやはりあったほうが安心なのかなとは思います。

レイアウトがあったほうが見た目にもうれしいですしね。

私がショップ勤めのときに、もちろん差別していたわけではないのですが、安心して商品や魚を勧められるかどうかは、そのお客さんが「魚の立場に立って考えているかどうか」でした。

自分本位の飼育方法だとどうしてもボロがでて、そこに自己中心的な性質が重なると店のせいにしてクレームとして帰ってくることが多かったからです。

逆に魚本位で考えられるお客さんは、メリットデメリットのある場合でも、飼育している、飼育しようとしている魚にとってどちらが大きいのかを判断してくれるので、とても案内しやすかったです。

飼育年数ではなく、魚に対する考え方で初心者か上級者か見極めるという販売員も多いのではないかと勝手に思っています。

今回のレイアウトの話も、「魚にとってどうなのか」を考えてみると、おのずと理想の形が見えてくるかなと思います。

もちろんそれは飼育環境によるので、絶対に何が正しいと言うことはなく、今回紹介した内容も、場合によってはしっくり来ないこともあるかと思います。

そこはぜひ「魚の気持ち」になって考えてみて、どっちが魚のためになるかで判断していただければ幸いです。

というわけで今回の回答はいかがでしたでしょうか。

質問者様や、ほかの読者様の参考になれば幸いです!

今後も質問にバシバシ答えて行きますので、皆さんからのご質問お待ちしています!

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