エンゼルフィッシュは数いる熱帯魚のなかでも代表的な種類ですね。
熱帯魚らしい鑑賞的な価値も高いうえに、丈夫で飼いやすいので初心者にもおすすめの魚です。
筆者も、はじめて飼育したのはミックスのエンゼルフィッシュでした。
今回は元熱帯魚屋さんが、エンゼルフィッシュの飼育方法をやさしく解説します!
覚えておくべきエンゼルフィッシュの特徴

エンゼルフィッシュはアマゾン川水域原産の、シグリッドの仲間です。
とくにブラックウォーターと呼ばれる酸性の強い水域を好むといわれていますね。
体長は最大で15cmほどで、ひし形で平たい体が特徴的です。
シルバーの体に黒いタテジマが入ったカラーが代表的ですが、品種改良でさまざまなカラーやボディパターンが流通しています。
肉食性の魚で、昆虫や小魚、甲殻類などを好んで食べるため、混泳はやや難しい魚といえますね。
比較的大きくなる魚でありながら、あまり激しく泳ぐ魚ではないので省スペースでも飼育が可能です。
水槽内での繁殖も可能で、繁殖させるのを楽しみにエンゼルフィッシュを飼育する方も少なくありません。
以上のような特徴を考えて、エンゼルフィッシュを飼育する水槽を立ち上げてみましょう!
エンゼルフィッシュにおすすめの餌
エンゼルフィッシュは肉食性の強い魚ですが、一般的な熱帯魚用の餌で飼育できます。
管理人のお店では、テトラミンやネオプロスなどを与えていました。
エンゼルフィッシュは高水温を好みますが、水温が高いと代謝が高まり、カロリーを消費するため、赤虫やミジンコなども与えるといいでしょう。
いずれにしても大量に食べて水を汚しやすいので、水量を確保するか、十分なろ過システムで飼育しましょう。
エンゼルフィッシュを飼育する水槽

エンゼルフィッシュは丈夫な魚なので、比較的小さな水槽でも飼育できますが、よく食べて水を汚すので、管理を考えると大きめの水槽がおすすめです。
背びれが高く体高があるので、ある程度高さがあるほうがいいですね。
大きな隠れ家を好むので流木を組むレイアウトがおすすめなので、レイアウトすることも考えると大きめの水槽がおすすめです。
水槽の大きさに対して推奨するエンゼルフィッシュの数は以下の通りです。
エンゼルフィッシュの数 | 推奨する水槽の大きさ |
~1匹 | 30㎝キューブ水槽(約24L) |
~2匹 | 45cm規格水槽(約32.5L) |
~4匹 | 60cm規格水槽(約64L) |
エンゼルフィッシュにおすすめのフィルター
エンゼルフィッシュはタンパク質豊富な餌を好み、平たい体のわりによく食べるので、ろ過システムは重要です。
とくにメンテナンス性を重視し、物理ろ過をしっかり行えるフィルターを選びましょう。
外掛け式フィルター
水槽のふちに引っ掛けて使うタイプのろ過装置。
メンテナンス性もよく使いやすいですが、専用ろ過材はコストが高いので、水をよく汚すエンゼルフィッシュに使うには少しコスパが悪いかもしれません。
ストレーナースポンジを付けることでろ過材の寿命を延ばせますが、目詰まりしないよう定期的にメンテナンスしてあげましょう。
比較的小さい水槽であれば、外掛け式フィルターがおすすめです。
上部フィルター
水槽の上に乗せて使うタイプのろ過装置。
濾過能力が高く、メンテナンスもしやすいので人気のろ過装置ですね。
エンゼルフィッシュにも最適で、多くのエンゼルフィッシュ愛好家が使っています。
小型水槽用のラインナップが少ないので、比較的大きな水槽で使用されます。
外部式フィルター
水槽の外にタンクを設置するタイプのろ過フィルターです。
メンテナンス性は上部フィルターに劣りますが、ろ過能力が高く、水槽内もすっきりするのでおすすめです。
本体価格が高いのでコストは気になりますが、水草水槽などとも相性がいいので、持っていて損はないフィルターですね。
エンゼルフィッシュにおすすめのヒーター

エンゼルフィッシュは熱帯魚の中でも高水温を好む魚なので、ヒーターは必須です。
26℃程度でも飼育できますが、28℃程度まで上げてあげたほうが体調を整えやすいですし、成長も促進できます。
28℃程度だとオートヒーターでは力不足なので、サーモスタットを使用するヒーターが理想的ですね。
適切に水温を維持するには水量に対するワット数が重要なので、適切な出力のヒーターを選びましょう。
出力(ワット) | 水槽の水量(リットル) |
10W | ~4L |
30W | ~10L |
50W | ~18L |
80W | ~30L |
100W | ~40L |
120W | ~48L |
150W | ~60L |
エンゼルフィッシュにおすすめの砂利

水質的にはソイルが適していますが、エンゼルフィッシュはよく汚すので洗える砂利がおすすめです。
色飛びを抑えるためには黒色が適しているので、少し大きめで黒っぽい砂利がいいでしょう。
ただしメンテナンス性を考えると砂利の掃除は大変なので、砂利を入れないベアタンク飼育という方法もあります。
ベアタンクの場合はろ過バクテリアが定着しにくいので、大きめの水槽にするか、ろ過システムを重視した水槽にするのがおすすめです。
エンゼルフィッシュにおすすめのレイアウト

エンゼルフィッシュは弱酸性のブラックウォーターを好むので、ブラックウォーターを再現できる流木がおすすめです。
ゴロっとしたレイアウトがあると落ち着くようなので、大き目の流木を入れてあげるといいでしょう。
水草に卵を植え付けるので、アマゾンソードなど面が広く、丈夫な水草もおすすめです。
ただし卵を産んだ状態で水草が枯れると卵もダメになってしまうので、産卵を狙うなら人口の水草や、産卵用の産卵筒などを入れてあげるといいですね。
エンゼルフィッシュと混泳しやすい魚
エンゼルフィッシュは肉食性の強い魚なので、混泳は難しい魚です。
よくネオンテトラなどを入れてしまい、食べられてしまうというトラブルを聞くことも少なくありません。
それでも一部混泳できる魚もいるので、もし産卵を狙わないようなら混泳水槽もおすすめです。
プレコ

水槽のガラス面のコケを食べてくれるナマズの仲間。
掃除屋さんとしても人気ですが、小型の種類はエンゼルフィッシュに吸い付くこともあるので要注意。
コリドラス

底の汚れを掃除してくれるナマズの仲間。
エンゼルフィッシュのテリトリーを侵害しないのでケンカになりにくいですが、狭い水槽だと目をつけられることもあるので要注意。
ヤマトヌマエビ

コケなどを食べてくれる小型のヌマエビ。
エビもエンゼルフィッシュの好物ですが、ヤマトヌマエビは5㎝程度の大きなエビなので、食べられる心配は少ないです。
小さい個体や弱っている個体は食べられることもあり、高水温が苦手なので飼育環境も注意しましょう。
エンゼルフィッシュの繁殖方法
エンゼルフィッシュは水槽内の繁殖の難易度も低く、繁殖する姿も独特なのでおすすめです。
成熟したオスメスを同じ水槽に入れるとペアになります。
ペアができたら、混泳しているエンゼルフィッシュやほかの魚は別な水槽に移したほうがいいでしょう。
ペアになったエンゼルフィッシュは産卵する水草などの掃除をはじめ、卵を産み付けます。
26℃設定だと3日ほどで孵化し、親がしばらく面倒を見ます。
最初は水草にくっついて生活しますが、ふ化後7日程度で泳ぎ始めるので、このタイミングでブラインシュリンプを沸かして与えましょう。
1か月程度で小型のテトラ程度に成長するので、人工飼料に切り替えて、3か月程度でエンゼルフィッシュらしい体に成長します。
稚魚を多く残したいのであれば、卵を隔離して孵化させる方法もおすすめです。
エンゼルフィッシュを飼育する際の注意点

根本的には丈夫な魚で、初心者でも簡単に飼育できる魚だといえます。
ただし好戦的な性格が災いし、怪我を負うことも多いです。
水を汚しやすいため水槽内に病原体も蔓延しやすく、傷から病気になることも少なくありません。
まずは魚が安全に暮らせる環境を確保したうえで、水質を安定させることが重要です。
お店ではサンプル水槽で小型の水槽にエンゼルフィッシュを飼育していることもありますが、慣れているからこそできる技ともいえます。
初心者の方は、なるべく大きい水槽で、ゆったりと飼育することで魚も健康に生きやすく、メンテナンスもしやすくなります。
エンゼルフィッシュは飼育しやすい魚で、当時小学生だった筆者も十分に飼育できるほど初心者にお勧めの魚です。
ただし水をよく汚すので掃除が大変で、混泳に失敗し悲しい思いもしたある意味印象に残った魚でもあります。
そういった注意点を除けば、繁殖まで楽しめますし、アクアリウムの基本も教えてくれるので、ぜひ初心者の方は検討してほしい魚ですね。