希少な淡水飼育できるフグなうえに、小さくて愛らしく大人気の魚アベニーパファ。
初心者でも飼育可能ですが、小型魚なのでやや水質に敏感なところも多く、基本を押さえた飼育が必要です。
今回は元熱帯魚屋さんが、アベニーパファの飼い方をやさしく解説します!
覚えておくべきアベニーパファの特徴
アベニーパファはインド原産の、小型の淡水フグです。
体長は3㎝ほどで、世界最小の淡水フグといわれていますね。
フグはやや飼育が難しいですが、淡水棲ということもあり、初心者の方でもしっかり環境を整えれば飼育は可能でしょう。
小さいながらも肉食性で、ほかの魚をかじってしまうこともあるので混泳は難しいですが、逆に貝類などを食べるため、水槽に沸くスネールを除去するために飼育されることもあります。
好むのは弱酸性の水で、水質にはやや敏感ですが、基本的な飼育方法を守れば飼育は難しい種類ではありません。
温暖な地域の出身なので、保温は必須になります。
ほかのフグと同じく水流には弱いため、レイアウトなどでフィルターの水流を抑えてあげるといいでしょう。
以上のような特徴を踏まえて、アベニーパファの水槽を立ち上げてみましょう!
アベニーパファにおすすめの餌
アベニーパファは肉食性の魚で、基本的に冷凍赤虫が主食になります。
冷凍赤虫は解凍するとどんどん劣化していくので、ミニキューブタイプがいいでしょう。
同じく冷凍のブラインシュリンプや、生きたイトミミズなども好んで食べますね。
人口飼料もありますが、経験上食べてくれる個体は少ないので、基本は冷凍赤虫やブラインシュリンプを与えるのがおすすめです。
アベニーパファを飼育する水槽
アベニーパファは至極ちいさな魚なので、小型水槽での飼育も可能です。
むしろ大きすぎる水槽は管理が難しくなるかもしれませんね。
肉食性のエサを与えることを考えると水質管理も難しくなるので、しっかりバクテリアを定着させてから飼育するほうがいいでしょう。
アベニーパファの数に対する推奨する水槽サイズは以下の通りです。
アベニーパファの数 | 推奨する水槽の大きさ |
~3匹 | 20cmキューブ水槽(約7L) |
~7匹 | 30㎝キューブ水槽(約24L) |
~10匹 | 45cm規格水槽(約32.5L) |
~20匹 | 60cm規格水槽(約64L) |
アベニーパファにおすすめのフィルター
アベニーパファは肉食性のエサを食べるので、水の汚れは比較的多いです。
また水質変化にやや弱いので、水質を安定させなければいけません。
このためある程度のろ過能力が必要ですが、水流には弱いです。
選ぶポイントとしてはろ過能力が高く、かつ水流が弱い(弱められる)フィルターです。
スポンジフィルター
ろ過材のスポンジが露出したタイプの、エアリフト式ろ過装置。
エアリフト式なので強い水流が生まれず、ろ過材がそのままストレーナースポンジの役割をはたすので、小さなアベニーパファを吸い込む心配がありません。
大型水槽だとやや非力ですが、小型水槽でアベニーパファを飼育するのであればベストなフィルターといえますね。
モータ式投げ込みフィルター
本体を丸ごと水中に設置するタイプのろ過フィルター。
モーター式ですが水流は弱めで、排水も工夫次第で弱くできます。
メンテナンスはやや面倒で、ろ過材のコストも高めですが、アベニーパファを飼育する水槽にはおすすめのろ過フィルターですね。
底面フィルター
水槽の底に設置し、砂利をろ過材にするろ過フィルターです。
バクテリアの定着を助けるので、アンモニアなどの除去する能力に優れ、水質を維持する能力に優れています。
エアリフト式なら水流も弱いので、アベニーパファにも適していますね。
底面フィルターを使う場合は、砂利も水通しがいいものを使用しましょう。
アベニーパファにおすすめのヒーター
アベニーパファは温暖な地域に住んでいるため、保温しなければいけません。
26℃程度あれば十分なので、安価で扱いやすいオートヒーターで十分でしょう。
むしろ経験上高水温のほうが調子を崩しやすいので、夏場にクーラーの設置も検討してあげてくださいね。
出力が合わないヒーターも高水温の原因になるため、しっかり水槽の大きさに合わせたヒーターを使ってあげましょう。
出力(ワット) | 水槽の水量(リットル) |
10W | ~4L |
30W | ~10L |
50W | ~18L |
80W | ~30L |
100W | ~40L |
120W | ~48L |
150W | ~60L |
アベニーパファにおすすめの砂利
アベニーパファは弱酸性の水を好むので、ソイルが最も適しています。
水通しもよく、バクテリアも定着しやすいので水質も整えやすいですね。
アベニーパファは水草とも相性がいいので、水草の育成にも有効なソイルがおすすめです。
ただし初心者の方にはやや扱いが難しいので、天然砂利やろ過砂利などもおすすめです。
ろ過砂利には白っぽいものが多く、アベニーパファもそれに合わせて色が薄くなってしまうことがありますが、健康に悪影響はありません。
アベニーパファにおすすめのレイアウト
アベニーパファは水流に弱いので、ろ過フィルターの水流などをなるべく抑えてあげるために、レイアウトはあったほうがいいでしょう。
水草を植えるのも有効ですし、流木を入れるのも水質を弱酸性に傾けてくれるのでおすすめです。
ただし偽物の水草は意外と葉先鋭く、ウロコのないアベニーパファに傷をつけてしまうこともあります。
過度な心配は必要ありませんが、小さな傷から病気になるリスクもあるので、できれば避けてあげたほうが安心ですね。
アベニーパファと混泳しやすい魚
アベニーパファは小さくても肉食魚で、好奇心旺盛な魚です。
自分より大きい魚でもヒレをかじってしまったり、食べられそうなら食べてしまうことも少なくありません。
アベニーパファ自体も小さくほかの魚に危害を加えられてしまうことがあるので、混泳には注意が必要です。
少ないながらも混泳できる魚はいるので、ようすを見ながら混泳にチャレンジしてみましょう。
オトシンクルス
ガラス面のコケを食べてくれるお掃除屋さん。
警戒心がかなり高い魚なのでアベニーにかじられることも少なく、あまり動かない魚なのでアベニーの注目も集めません。
数少ないアベニーと安心して混泳させられる魚といえますね。
クーリーローチ
東南アジアのドジョウの仲間。
かなり警戒心が強い魚で、そもそもあまり姿を現さないためアベニーのターゲットになりにくいです。
管理人の水槽では仲良くできていますが、サイズ的にはリスクが高そうなので、よく注意して混泳させてくださいね。
アベニーパファの繁殖方法
アベニーパファの繁殖は、やや難しいですが家庭でも可能です。
オスメス十分な数が水槽内にいる必要があります。
オスメスの簡単な見分け方は、頬にあるシワです。
シワがあるのがオスで、ないのがメス。この写真の個体はオスですね。
水温が安定して水質が適切であれば、メスのおなかに婚姻色が出て、水草などにばらまくように産卵します。
ウィローモスなどに産み付けることが多いですね。
卵はサテライトなどに移し、5日ほど経過したら稚魚が生まれます。
小さすぎて初期試料は謎ですが、おそらくインフゾリアを食べているのではと思います。
1週間ほどするとブラインシュリンプを食べられるようになるので、沸かせて与えましょう。
おおよそ3か月ほどで、アベニーパファらしい体つきになります。
アベニーパファは魅力たっぷりの魚で、管理人もいままで何度も飼育し、いまも自宅で飼育しています。
お店でもよくお客さんを魅了して、初心者の方が買っていき、それにたいして万全のサポートをしてきましたが、それでも失敗してしまう人は少なくありません。
エサの部分であったり、水質の面などややほかの魚よりデリケートな部分も否めないので、安定するまでは少し注意して飼育したほうがいいかもしれませんね。
小さく存在感は薄いですが、飼い込めば奥が深く、魅力たっぷりの魚なので、ぜひしっかり飼育して愛らしい動きと表情を楽しんでくださいね。