盆栽飼育とは
大型肉食魚などを、飼育方法で小さく維持する方法。
本来大きくなる木を選定して小型に維持する盆栽になぞらえてそういわれます。
自然と盆栽飼育になることもありますが、無理に成長を止めると寿命を短くしてしまうこともあるので要注意。
大型肉食魚を家庭でも飼育できる裏技
プールのような水槽を悠々と泳ぐ大型肉食魚にはロマンがありますよね。
しかし、超大型水槽の維持には莫大な予算がかかり、なかなか個人でできるものではありません。
盆栽飼育はそういったシチュエーションでよく行われる方法です。
たとえばレッドテールキャットは全長1mを超えることで有名ですが、お店の常連さんで盆栽飼育して50㎝程度に維持し、10年以上飼育した例もあります。
ほかにも、様々な生き物で盆栽飼育は可能ですが、デメリットも多い手法です。
盆栽飼育のデメリット
盆栽飼育は一見魅力的な方法に思えますが、その実いいことばかりではありません。
本来の成長を無理に止めるに他ならないため、魚に悪影響が起こることもあります。
1.突然死のリスク
盆栽飼育すると、突然死するリスクが少なからずあります。
管理人は客が盆栽飼育していたカブトニオイガメを譲り受けて飼育したことがありますが、寿命の1/5も生きずに突然死んでしまい、悔しい思いをしたこともありました。
これは体の成長に反して内臓が成長してしまったり、逆に成長しなかったなど、病気を生み出してしまうことがあるからです。
また、一部の生体では、幼魚期の特性が残ったままになってしまうなど外見からも見受けられる異常が残ることもあります。
2.体色が変になる
盆栽飼育された生き物によく起こるのが、発色が本来の成魚と違う形になってしまうことです。
たとえばピラルクは成魚になると美しい緑色と赤の体色になりますが、盆栽飼育では発色がかなり劣ることが多いです。
体色が特徴的な魚や、成魚と稚魚の色が違う魚だと、まったく別な魚のようになってしまうリスクもあります。
3.背曲がり
アロワナなどでよく起こる背曲がりも、盆栽飼育の弊害として起こりえます。
背曲がりと栄養には密接な関係があり、給餌量を減らす盆栽飼育では、そのリスクが大きくなります。
もちろん背曲がりは魚にも飼い主にもいいことはないので、避けたいですよね。
4.短命
盆栽飼育はどのような方法を取っても、無理な飼育ということに変わりありません。
上記したような症状と併発することもありますが、総じて短命になるリスクは多いです。
もちろん平均寿命と同じぐらい生きることもありますが、人間の都合で寿命が短くなるリスクを追わせてしまうことには違いありません。
盆栽飼育の方法
そういったデメリットを理解したうえで、大型魚を小さく飼育しなければいけない事情がある場合は、以下のような方法を試してみましょう。
もちろん盆栽飼育する以上リスクは避けられず、紹介した通りにやったとしても問題が出たり、大きく成長することもあることも理解の上で実行してください。
水槽サイズを小さくする
生き物は、泳げるスペースに合わせて成長することは知られていますよね。
それを逆手にとって、水槽のサイズを小さくすることで、成長スピードを落とし、止まることもあります。
ただし水質管理が難しくなるので、ろ過システムに本来かける以上の予算をかける必要があります。
また無理に小さいサイズの水槽で飼育すると、背曲がりや激突することによって鼻がつぶれてしまったり、飛び出し事故のリスクも大きくなります。
無理に小さいサイズに詰め込まず、本来水槽を大きくしてあげるタイミングを落とすなどの対処が必要です。
餌の量を調整する
生き物が成長するには食べ物が必須なので、餌の量を調整することで成長を遅らせることもできます。
ただし必須になる栄養素が足りなければ、背曲がりや餓死のリスクも上がるので、調整が難しい方法でもあります。
全体の量を減らしつつ、ビタミンなどの栄養は補給しなければいけないため、健康維持と成長させないバランスに注意しましょう。
水温を下げる
生き物の成長には代謝が影響しますが、水温が高くなると活発になり、低くなると低調になります。
熱帯魚の場合おおよそ25℃は必要ですが、それを22℃程度まで落とします。
魚が病気になるリスクは低水温よりも水温の変化が大きいので、安定させれば耐えられる魚も多いです。
ただし免疫が弱くなることには違いなく、低水温で活発になる病原体もいるので、リスクがないわけではありません。
最後に
以上が盆栽飼育のリスクと方法についてです。
ただ、個人的には盆栽飼育は反対派です。
魚にとってリスクがある方法ですし、盆栽飼育が100%成功するわけではないため、盆栽飼育を前提に飼育し、大きくなってしまった場合に飼育できる確証がないからです。
大型魚が魅力的なのは私もよくわかりますが、盆栽飼育しようとして、失敗し、お店に泣きついてくる客も少なからず見てきました。
ひとつの方法としてはアリだと思いますが、飼いたいという欲に負ける前に、もし大きくなったときのことまで考えて飼育してほしいと切に思います。