昨今コロナ禍において、熱帯魚の売り上げが上がっているそうです。
実際あまり実感はないのですが、メディアでは小型の哺乳類や爬虫類、熱帯魚に人気が集まっているそうで、同業者の一人としてうれしいような、自分の懐に入らないもどかしさもあるような感情です。
そんなわけで初心者の方が増えているそうですが、初めて熱帯魚を飼うときに、皆さんはどこへ出向きますか?
専門店はもちろん、ホームセンターや通販という選択肢もありますよね。
玄人はもちろん馴染みのお店や、状態のいい生態を見極めて購入しますが、初心者はそうもいきません。
買っても死んでしまうという場合、もしかするとお店に原因があるのかもしれません。
そこで今回は、これからアクアリウムを本格的に始めたいという方のために、初心者はどこで飼うべきか?いいお店の選び方は?など、皆さんの疑問を元熱帯魚屋店員がバシッと解説します!
ショップによって何が変わる?

どこで買っても熱帯魚は熱帯魚でしょ?というわけではなく、私に言わせれば初めてのお店ですべてが変わるといっても過言ではありません。
あくまでも趣味なので、失敗してしまうとその後のモチベーションにも大きく影響しますよね。
私自身、いいお店に出会った後のアクアリウムライフはとても充実したもので、いまでは仕事としてアクアリウムに携われたようになれたのも、そのお店のおかげだと感謝しています。
そこまでとは言わないものの、アクアリウムを始めるとき、ショップ選びで具体的に何が変わるのか解説します。
逆に言えばこのポイントを抑えていればいいお店だとも言えますね。
値段が変わる
何をするにしてもやはり予算には限りがあり、予算に余裕があれば設備にお金をかけて、いい状態で生体を飼育することにもつながります。
しかし安ければいいというわけではなく、生体の状態をよく保つためにお金をかけ、その分値段が上がる分にはそれはいいお店といえるでしょう。
相談のしやすさ
初心者の方でなにより重視するべきが、店員さんとの関係です。
このサイトも含め、ネットで紹介する情報はあくまで一般論で、細かく紹介するのは難しい部分もあります。
もちろん下調べしてから行くのは大切ですが、自分のイメージする飼育方法と実際の飼育方法をすり合わせするためには、店員さんのアドバイスは必須だともいえます。
相談しやすく、的確なアドバイスを貰えるショップを選ぶのは、なにより重視するべきポイントかもしれませんね。
生体の状態
どんなに設備が整っていても、そもそも連れ帰った魚が弱っていれば、その後の病気のリスクは上がってしまいます。
残念ながら一部のショップでは管理がおろそかで、次々に連れ帰った魚が死んでしまうということもありえます。
店員さんが信用できるお店はたいてい生体の管理も最低限の質を保っているので、その部分でも店員さんを見極める目は大切になってきますね。
商品の揃えやすさ
熱帯魚の飼育には多少なりとも専用の用品が必要になるので、飼育用品の充実も大切なポイントです。
用品がそろっていないお店だとなかなか通うことができず、お店といい関係を築くのもむずかしくなりますよね。
いろいろとわかってくれば通販なども使えますが、最初のうちは店員さんと相談しながら購入できるお店を見つけるといいでしょう。
良い熱帯魚ショップの特徴

では上記したようなポイントを元に、いいショップと悪いショップを見極めてみましょう。
これも一つの指標であって、私の価値観によってしまいますので、実際に足を運んで、自分のフィーリングと合うかどうかも大切にしてくださいね。
私が重視しているのは、お店の雰囲気と店員の雰囲気、水槽の雰囲気です。
1.店の雰囲気
お店の雰囲気としては、じめっとしていて、においが強いお店はなるべく避けています。
どうあがこうと熱帯魚屋さんも接客業なので、客に不快感を与えないという考えで運営していないところは、かなりな確率でとっつきにくいお店だったりします。
もちろん水槽の本数が多かったり、建物の構造上湿気やにおいが充満しやすいという場合もあるので一概には言えないのですが、今いい関係を築けているお店は熱帯魚がどうこう以前に、店づくりを重視したお店ばかりです。
2.店員さんの雰囲気
店員さんの雰囲気に関しては、最低限のいらっしゃいませと、声をかけたときに嫌な顔をしないなど、ごく普通のことです。
残念ながらマニア向けのお店は常連さん優先になりがちなので、それが望めない場合もありますが、それが悪いとも言い切れません。
しかし初心者に関しては、質問も多くなりますし、疑問を残したまま帰ると飼育に失敗することもあるので、初めのうちは店員さんの対応でお店を選ぶのも大事だといえます。
3.水槽の雰囲気
水槽の雰囲気に関しては、水の透明度や、魚の状態など、上級者であればすぐに見て気づくポイントですが、初心者の方には見極めが少し難しいですよね。
初心者の方が見てわかりやすいポイントとしては、
- 異常なコケの生え方
- 魚の死骸が残っている
- 魚の発色が落ちている
こういった状態の水槽が多数ある場合、少し注意したほうがいいかもしれません。
これは私の持論ですが、ベタがしっかり飼育されているお店はいいお店の可能性が高いです。
ベタは個別飼育なので管理が面倒で、ほっといても丈夫な魚なので店員にも無視されがちですが、いいお店はベタ瓶1つ1つがしっかり管理されていて、ヒレの状態もよく、ベタ自身も生き生きしていることが多いです。
私は今も初めてのお店に行くときは、ベタの管理を真っ先に見に行きます。(単純に好きだからというのもありますが)
各熱帯魚取扱店の特徴

最近はかなり減りましたが、専門店に限らずいろいろな場所で熱帯魚が売っています。
その場所それぞれの売り方があり、メリットデメリットもあります。
私の勤めていたお店のように、ホームセンターの中に入っているにもかかわらず専門店以上の管理を心がけている場所もあるのでこれも一概にも言えませんが、一つの傾向として覚えておくといいでしょう。
熱帯魚専門店
熱帯魚専門店は、熱帯魚を売ることで売り上げを作らなければいけないので、魚に対しての信頼性はとても高いです。
価格が高い魚もいますので、死なせてしまうと損失も大きいですし、お客さんに悪い状態の魚を売り渡して評判が悪くなると、たちまち業績にも影響するからです。
価格はやや高めな傾向がありますが、これは魚を売ることで利益をあげなければいけないこと、管理に手間をかけているからで、やや仕方ない部分もあります。
接客に関してはお店の方針によりけりで、初心者はあまり歓迎されないところもあれば、初心者にも間口が広いお店もあるので何とも言えません。
よく知られた魚が多いお店は割と初心者歓迎で、一種類に特化しているとすこしとっつきにくいお店になる傾向があるといえるかもしれません。
さまざまな魚が見られるということもあり、初心者の方もぜひ出向いてみてほしいですが、雰囲気が合わないと思ったり、店員さんとフィーリングが合わないと思ったら、無理にそこで買う必要はありません。
知識が付いてくると、合わないと思ったお店がすごくいいお店に見えることもあるので、ぜひ経験を積んでまた出向いてみてくださいね。
ホームセンター
専門店の次に熱帯魚をよく扱っているのがホームセンターでしょう。
ホームセンターは専門店と少し価値観が違い、実は多くの企業で魚を売ることを重視していません。
どちらかというと用品で儲けたいという傾向にあるので、用品をたくさん扱っているお店が多いですよね。
用品で儲けたいために、専門店よりもあえて生体の価格を抑えている場合もあります。
魚を飼ってもらってこその用品なので、魚の利益は度外視というわけです。
用品や生体のセールも積極的に行っているので、予算的な負担は小さくなることも多いですね。
初心者に対しても間口が広く、比較的相談にも真摯に答えてくれる場合が多いでしょう。
これは本来接客業として勤めている方が多く、基本の接客態度などについて最低限の心得があるからと言えます。
しかし知識という面に関してはあまり重視しておらず、昨日まで工具の担当だった人が、突然魚を任されたということも少なくありません。
なので、相談しやすくとも話をうのみにしない方がいいということもあります。
あらかじめネットや書籍で下調べしておくといいでしょう。
管理に関しても同様で、知識のない人がなんとかやっているということも少なくないため、魚の状態や管理方法が間違っていて、連れ帰ってから問題が出ることもあります。
間口は初心者に向けられているものの、知識的な面で不安があるため、一概におすすめはできませんが、知識のある店員さんがいて、熱帯魚をしっかり扱っているホームセンターにあたればとても心強いといえますね。
通販
最近では、通販でも当たり前のように熱帯魚が購入できるようになりました。
charmさんはもう言わずと知れた大手の熱帯魚販売通販サイトで、私もよくお世話になっています。
お店だとどうしても種類が限られてきますが、種類も豊富で価格も安い傾向にあります。
場合によっては店舗の半額程度ということもあり得ます。
もちろん用品も多く、お店で見たことのないようなものも豊富にあります。
用品だけで言えば、Amazonや楽天といった大手通販サイトでも購入できますね。
デメリットとしては、店員さんに相談しながら買うということができないこと。
Charmさんでは飼育についての問い合わせも受け付けていますが、返信まで待たなければいけないですし、すべての通販サイトが相談を受け付けているわけではありません。
また時間をかけて発送するため、どうしても死着(輸送中に魚が死んでしまうこと)がつきものです。
死着保障がある通販サイトも多いですが、やはり初心者のうちは死んでしまった魚を見るのがつらいということもあるでしょう。
こういったデメリットを考えると、通販利用はアクアリウムに慣れてからの方がいいかもしれませんね。
まとめ
以上がお店選びの基本です。
最初に言った通りお店選びは初心者の方にこそ重要で、その後のアクアリウムライフを左右するといっても過言ではありません。
今回紹介したポイントはあくまで私の経験によるものですが、1つ注意してほしいのがお店のレビューがその店を正確に表しているとは限らないということです。
個人的な恨みで書かれている場合もありますし、レビューを受けて改善している場合もあります。
行ったからと言って命を取られることもないですし、アクセスできるお店であればなるべく実際に出向いて自分の直感で判断することも大切です。
まずはじっくりとお店を選んで、アクアリウムを楽しめるよう願っています。
やさしい熱帯魚さんサテライトでは今後も初心者アクアリスト向けの記事を充実させていきますので、興味がある方はぜひまた遊びに来てくださいね!